最近の声明・見解

 


一般職国家公務員給与法の成立にあたって(談話)

2023年11月17日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 香月直之

1.第212回臨時国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で賛成多数によって可決・成立した。

 法案の内容は、2023年人事院勧告にもとづいて、大卒初任給を11,000円、高卒初任給を12,000円引き上げるなど、若年層に重点を置きながら、全職員の本俸を改善、一時金を0.1月引き上げるものであった。再任用職員も含めた全職員の賃金改善は、春闘期における「緊急勧告」をはじめとした私たちの要求と運動の反映ではあるが、異常な物価高における生活改善にはほど遠いものであり、政府によって実質賃金の低下に歯止めをかける努力が求められていることを指摘しなければならない。

2.「大卒・高卒の初任給をともに10,000円を超えて引き上げるのは33年ぶり」とされるが、国公高卒初任給を時間単価に換算すると992円であり、先般改訂された最低賃金額の全国加重平均1,004円を下回る。

 政府は、初任給が最低賃金を下回ることがないよう、直ちに特別の措置を行うべきである。また、中高年層の賃上げが僅かにとどまったことは、生活と労働の実態とまったく乖離しており、職務給原則や生計費原則を重視した賃金の引き上げを行う必要がある。

3.非正規公務員については、正規職員の改定にあわせ見直しを行うこととされているが、本年4月の改正非常勤職員給与指針をふまえ、すべての職場で4月遡及が徹底されることを強く求める。

 再任用職員の一時金及び生活関連手当については、何の改善も行われなかった。政府は「同一労働同一賃金の徹底」を「骨太の方針2023」にも掲げているが、再任用職員の理不尽な処遇は放置されたままである。俸給月額が3割削減される「60歳に達した職員」も含め、年金支給開始年齢まで誰もが安心して働き続けられるよう、不合理な格差の是正が早急に求められている。

4.24人勧に影響を及ぼす2024国民春闘のたたかいは、すでに始まっている。人事院は昨年からの「給与制度のアップデート」の具体化に続き「新時代の公務員人事管理のあり方」を検討する「人事行政諮問会議」を設置し、能力・実績主義の強化、日本型ジョブ型雇用の導入などを狙っている。しかし、いま求められているのは、すべての公務員労働者が誇りを持って働き続けられる賃金・労働条件の確立であり、あらゆる格差の解消である。

 公務労組連絡会は、民間労働者との共同のとりくみを強め、すべての公務及び関連する労働者の生活改善、公務公共サービス・教育の拡充、そして労働基本権の回復をめざし、全力で奮闘する決意である。

以 上