公務ネットニュースNO.1155(11/11)

25年人事院勧告の「完全実施」を回答
= 人勧の取り扱いめぐり内閣人事局と最終交渉 =

 公務労組連絡会は11月10日、25年人事院勧告の取り扱いおよび「公務員賃金等に関する要求書」をめぐって政府・内閣人事局と最終交渉に臨みました。内閣人事局側は、翌11日の閣議において勧告通りの実施を決定すると回答しました。

 交渉には、公務労組連絡会から檀原議長を先頭に、福島副議長、香月事務局長以下幹事会5名が参加、内閣人事局は次田総括参事官補佐ほかが対応しました。

 勧告の「完全実施」の閣議決定をうけて、公務労組連絡会は11日に幹事会声明(別記)を発表しました。

勧告実施だけでは物価上昇に対応できない

最終交渉に臨む交渉団 最終交渉にあたって檀原議長は、「正規・非正規すべての公務労働者の労苦に報いるために、早期の賃金改善、地域間格差解消を求めてきた。その他の要求をふくめて誠実な回答を求める」とのべ、次田総括参事官補佐からは以下の回答が示されました。

<政府・内閣人事局の最終回答>
● 本年度の国家公務員の給与の取扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、検討を続けた結果、明日、勧告どおり令和7年度の給与改定を行うとの取扱方針が決定される方向である。
 その上で、後日、給与改定に係る法律案についても決定されることとなる。

●  国家公務員の働き方改革については、多様な働き方を実現し、職員がやりがいを持って、高い成果を効率的に上げられるようにすることが優秀な人材の確保のためにも重要であると考えている。こうした取組については、現場の実情を含め、皆様からもご提案をいただきながら、しっかりと前に進めるのでご協力をお願いしたい。

 以上の最終回答をうけて檀原議長は、「要求をしっかりと理解したものとは思えず、きわめて不満だ。物価上昇を上回る賃上げの必要性を高市首相がのべているように、政府として人事院勧告の水準にとどまるのではなく、公務員賃金の積極的な引き上げを決断すべきだ」と表明しました。

 また、香月事務局長はじめ交渉参加者からは、勧告直後の8月8日に提出した要求書をふまえつつ、賃金改善とともに、非正規職員や再任用職員の処遇改善、長時間労働の解消、公務職場の大幅増員、労働基本権の回復などを求めました。

 職場の実態をふまえた切実な要求にもかかわらず、政府・内閣人事局側からは「皆様方の御意見はしっかりと承った。引き続き、皆様方との意思疎通に努めてまいりたい」と、型どおりの発言にとどまりました。

 最後に檀原議長は、「人事院の報告では、職務・職責をより重視した新たな制度への転換が示されたが、理不尽な格差を持ち込むことに反対する。正規・非正規の格差をはじめあらゆる格差の解消は、引き続く重点課題だ。臨時国会での議論を注視していく」とのべ、内閣人事局交渉を閉じました。

以 上


25年人事院勧告実施の取扱方針決定にあたって(声明)

2025年11月11日
公務労組連絡会幹事会

 政府は本日、国家公務員の賃金を3.62%引き上げ、一時金を0.05月分改善するとともに、通勤手当や本府省業務調整手当の見直しなどを含む、2025年人事院勧告の取扱方針を決定した。

 今年の勧告は、昨年を上回るベースアップに加え、職場が強く求めていた中高年層の賃金大幅改定が行われた点において、私たちの要求が一定程度反映されたものといえる。特に、職種別民間給与実態調査における「官民給与の比較対象となる企業規模」を「100人以上」に回復させたことは、私たちの強い要求を反映したものとして評価できる。

 しかしながら、今回の俸給引き上げ額は、異常な物価高騰のもとで公務労働者の生活改善には依然として不十分な水準と言わざるを得ない。

 公務労組連絡会は、勧告直後に政府へ要求書を提出し、職場の仲間の声に基づいて交渉・追及を行ってきた。

 公務員賃金については、「物価上昇を上回る賃上げ」を掲げる政府として、全世代を対象とした大幅な賃上げを決断すること、さらに再任用職員の一時金引き上げや、非正規公務員の休暇制度の拡充、雇用の安定などを強く求めてきた。

 しかし政府は「人勧尊重」の基本姿勢に固執し、勧告どおり2025年度の給与改定を行う方針を11月11日に決定した。

 本日の取扱方針決定の後、閣議決定が行われ、給与法改正案などが臨時国会で審議される。昨年のような、公務員の賃金改善の大幅な遅れは、二度と繰り返してはならない。

 業務量の増加と人員不足により長時間過密労働が蔓延するなか、非正規を含む公務労働者の奮闘によって日々の公務・公共サービスが支えられている。加えて、公務員採用試験の申込者数の減少や若手職員の退職増加などにより、公務における人材確保の困難さは一層深まっている。こうした厳しい公務職場の実態を踏まえ、政府として公務員賃金引き上げの重要性及び緊急性を丁寧に説明し、国民の理解を広げるための対応を強く求める。

 同時に、国との均衡などを理由に、地方公務員や独立行政法人職員等の給与決定に対する介入・干渉を行うことなく、地方自治および労使自治の原則を尊重するよう求める。

 公務労組連絡会は、2026年春闘を見据え、国民全体の奉仕者として、また憲法擁護の責務を負う公務労働者として、公共の再生、あらゆる格差の是正、憲法改悪阻止、全国一律最低賃金制度の確立、そして政治の民主的転換をめざしてたたかう決意である。

以 上

(参考資料)
 ・公務員の給与改定に関する取扱いについて(25年11月11日閣議決定)
 ・内閣官房長官談話
 ・地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(総務副大臣通知)

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