声明・談話

一般職の国家公務員給与法の成立にあたって(談話)

2025年12月16日 
公  務  労  組  連  絡  会
事務局長 香月   直之

1.本日、第219回臨時国会において、一般職国家公務員の給与法案が参議院本会議で可決・成立した。

 法案の内容は、2025年人事院勧告に基づき、大卒初任給12,000円、高卒初任給12,300円の引き上げをはじめ、若年層に重点を置きつつも全職員の俸給月額を改善し、一時金を0.05月分引き上げるものである。全世代での賃金改善が実現したことは、私たちの要求と官民共同の運動が反映された結果ではある。しかし、長引く物価高騰が家計を圧迫するなか、今回の改善幅は生活の維持・改善には到底及ばない。

 また、私たちが強く求めてきた定年引上げに伴う高齢層職員や再任用職員の基本給・一時金の抜本的改善は見送られた。「骨太方針2024」で「同一労働同一賃金の更なる徹底」を掲げた政府は、高齢層職員が年金支給開始年齢まで安心して働き続けられるよう、不合理な格差の解消を早急に図るべきである。

2.自民党総裁選やその後の連立協議の影響で、公務労働者の生活に直結する賃金改善が昨年に続き大幅に遅れたことは極めて遺憾である。労働基本権制約の「代償措置」とされる人事院勧告制度の実効性が厳しく問われる事態であり、政府は猛省し、今後このような事態を繰り返さないよう強く求める。

 法案審議では、官民給与の比較対象企業の規模見直しについて質疑が集中した。物価高を上回る賃上げの実現と人材確保のため、企業規模を全国一律で「1,000人以上」に引き上げるべきとの指摘を、政府・人事院は重く受け止めるべきである。

 また、非正規公務員の処遇改善や常勤化を求める質疑が相次いだ。これに対し、人事院は「どういう形で常勤化への道を拡大できるのか、しっかり研究していきたい」と答弁した。職場の実態と大きく乖離した非正規公務員制度の抜本的な見直しが、強く求められている。

 あわせて、国立病院や国立大学等において職員の賃金改善が進まない実態も露呈した。政府が国会審議で改善を約束したことを踏まえ、各法人当局は労働組合との誠実な協議を速やかに行い、確実な賃上げを実施することを強く要求する。

3.2026年国民春闘のたたかいは、既に幕を開けている。政府・人事院は「人事行政諮問会議」の最終提言を盾に、能力・実績主義の強化やジョブ型雇用の導入、裁量労働制の拡大などを狙っている。しかし、今求められているのは、制度の複雑化や選別ではなく、正規・非正規を問わず全ての公務労働者が誇りを持って働き続けられる賃金・労働条件の確立であり、あらゆる格差の解消である。

 公務労組連絡会は、民間労働者との共闘をいっそう強化し、公務に関連するすべての労働者の生活改善、公務・公共サービス、教育の拡充、そして労働基本権の回復をめざし、全力で奮闘する決意である。

以 上