公務ネットニュースNO.1147(7/24)

使用者責任が見られない不満な回答
= 夏季重点要求で内閣人事局と最終交渉 =

 公務労組連絡会は7月24日、「2025年夏季重点要求書」に対する最終交渉を行いました。
 交渉には、公務労組連絡会の桜井議長を先頭に、檀原副議長、香月事務局長以下幹事会6名が参加、内閣人事局・次田亜美総括参事官補佐ほかが対応しました。

賃上げも非常勤職員の処遇改善も人事院まかせ

政府交渉 交渉の冒頭、桜井議長が「中間交渉の際、回答は不満であり、さらなる検討を行うよう求めてきた」とのべ、最終回答を求めました。
 次田総括参事官補佐は、以下の回答を示しました。

【内閣人事局最終回答】
「1 賃金・昇格等の改善」に関し、国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の適正な処遇の確保や、国民の理解を得る観点からも、また、労働基本権制約の代償措置といった観点からも、第三者機関としての人事院が専門的見地から行った官民比較に基づく人事院勧告を尊重することが政府としての基本姿勢である。
 今後も、諸情勢を踏まえつつ、対応していく。

「2 非常勤職員制度の抜本改善」に関し、非常勤職員の任用については、例えば期間業務職員に関して、人事院において、各府省や職員団体の意見等も踏まえながら、制度官庁と協議をした上、各府省における円滑な運用に資するよう「期間業務職員の採用等に関するQ&A」を昨年11月に作成したと承知している。これを踏まえ、内閣人事局としては、昨年11月に各府省に対し、期間業務職員の再採用に当たって適切に運用を行うよう周知を行ったところであり、引き続き各府省の運用を注視しつつ、必要に応じて適切な対応を検討してまいりたい。

 非常勤職員の給与については、人事院において、常勤職員との均衡をより一層確保することを目的として、一昨年4月に非常勤職員の給与に関する指針を改正し、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて改定するよう努める旨を追加し、この指針に沿った適切な給与支給が行われるよう、各府省を指導していくものと承知している。なお、給与の遡及改定については、昨年12月に人事院と内閣人事局から改めて周知を図ったところである。

 非常勤職員制度については、非常勤職員には様々な勤務形態や類型があることから、一律に検討することは困難と考えられるが、人事院において適切な運用の在り方について検討されるものと承知しており、内閣人事局としては、人事院における検討を踏まえ、適切に対応してまいりたい。

「3 国民本位の行財政・司法の確立」に関し、定員管理については、国民のニーズを踏まえて、新たな行政需要に的確に対応していくためには、既存の業務を不断に見直し、定員の再配置を推進していくことが重要である。
 その上で、新たな行政課題や既存業務の増大に対応するため、各府省官房等から現場の実情を聴取しつつ必要な行政分野に必要な増員を行っているところである。

 引き続き、既存業務の見直しに積極的に取り組みながら、内閣の重要政策に適切に対応できる体制の構築を図ることとしている。

「4 高齢期雇用・定年延長」に関しては、シニア職員がその知識・経験を存分に発揮し、働き方改革等にもつながるよう、各府省等における状況や取組などに関しての府省等横断の情報共有、シニア職員の意識改革・貢献意欲向上のための研修の実施等の取組を計画的かつ着実に進めてまいりたい。

「5 民主的公務員制度と労働基本権の確立」に関して、自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、慎重な検討が必要と考えている。皆様とは誠実に意見交換をする中で、さらに意思疎通を深めてまいりたい。

「6 労働時間短縮など働くルールの確立」に関し、超過勤務の縮減のため、各府省等は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、業務の廃止・効率化、デジタル化、マネジメント改革推進のための取組等を進めている。今後とも、勤務時間などの基準を定めている人事院と連携して超過勤務の縮減に取り組んでまいりたい。

「7 両立支援制度の拡充、男女平等・共同参画の推進」に関し、育児休業については、昨年の民間労働法制の改正により民間労働者に認められた措置に相当するものとして、国家公務員の育児休業等に関する法律を改正し、新たな選択肢を追加するなどの制度改正を行ったところである。引き続き、民間労働法制の動きを注視してまいりたい。

「8 健康・安全確保等」に関し、内閣人事局としては、各府省の取組を補完するため、パワー・ハラスメントやカスタマー・ハラスメントを含むハラスメント防止講習を提供しているところ。

 引き続きハラスメントに係る研修や講演会等の啓発活動を行うとともに、カスタマー・ハラスメント対策については、各府省等における実態や取組の事例の調査を実施し、調査結果を共有すること等により、各府省の取組を支援してまいりたい。

「物価上昇を上回る賃上げ」が実現できるのか

 以上の回答を受け、公務労組連絡会側は以下のような点を中心に追及しました。

○ 人勧尊重だけでは、「物価上昇を上回る賃上げの普及・定着」という政府の目標は達成できない。実質賃金のマイナスに歯止めをかけるためにも、公務員賃金の政策的な引き上げが求められている。使用者として大幅賃上げを政府は決断せよ。

○ 正規職員を大幅に削減し、非正規職員に置き換えてきた国の政策をあらためよ。正規職員の増員をはじめ、非正規から正規職員への任用替え、「任期の定めのない短時間勤務公務員制度」の創設など、非正規公務員の雇用不安を根本から解消せよ。

○ 従来の定員管理の方法をあらため、人件費総額の範囲で各省各庁の長に裁量権を与える方式にするなど、新たな考え方の導入を検討を求める。その際、定員管理は労働条件に密接に関わることから、労働組合との協議は不可欠だ。

○ 労働基本権の回復・自律的労使関係制度について、対等な労使関係の実現するうえでも、私たちが求めている労使協議の場を求める。ILOが何度も勧告してきた「社会対話」に向けて政府は一歩を踏み出せ。

 桜井議長は最後に、「自民・公明の与党が参議院でも少数になり、公務を取り巻く状況も大きく変化しようとしている。そのなかで、全体の奉仕者としての公務労働者の役割が揺らぐことがあってはならない。まもなく行われる人事院勧告の取り扱いにかかわっては、あらためて要求書を提出するので、真摯な対応を求める」とのべ、夏季重点要求をめぐる交渉を閉じました。

以 上

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