「民間準拠」「人勧尊重」の不満な回答
= 春闘統一要求で政府・人事院と最終交渉 =
2月17日に提出した「2025年春闘統一要求書」をめぐって、公務労組連絡会は3月24日に人事院と、また、26日には政府・内閣人事局との最終交渉に臨みました。
春闘要求に対する最終回答をふまえて公務労組連絡会は、「従前の回答から一歩もでない内容」とする幹事会声明(別掲)を発表、引き続き切実な諸要求の前進にむけて奮闘する決意を内外に明らかにしました。
(人事院)今年の勧告にむけて課題は山積
人事院との交渉には、公務労組連絡会の宮下副議長を先頭に、香月事務局長以下幹事会6名が参加、人事院は、給与局第一課の橋本課長補佐、職員福祉局職員福祉課の上村課長補佐らが対応しました。
宮下副議長の求めに応じ、人事院側は以下のような最終回答を示しました。
【人事院最終回答】
1.賃金の改善について
まず、賃金の改善についてです。人事院は、労働基本権制約の代償措置としての勧告制度の意義や役割を踏まえ、情勢適応の原則に基づき、必要な勧告を行うことを基本に臨むこととしています。
俸給や一時金は、国家公務員の給与と民間企業の給与の実態を精緻に調査した上で、その精確な比較を行い、適切に対処します。
諸手当は、民間の状況、官民較差の状況等を踏まえ、必要となる検討を行っていきます。
2.労働時間の短縮、休暇等について
次に、労働時間の短縮、休暇、休業についてです。超過勤務の縮減については、勤務時間調査・指導室において、超過勤務時間の適正な管理について指導を行うとともに、他律部署と特例業務の範囲が必要最小限のものとなるよう指導を行ってきています。令和6年度には調査・指導を更に充実させており、引き続き適切に各府省に対する指導を行っていきます。
両立支援、職員の休暇、休業等については、これまでも民間の普及状況等を見ながら改善を行ってきました。引き続き、職員団体の意見も伺いながら必要な検討を行っていきます。
勤務間のインターバル確保については、制度の内容の各職場への浸透が重要です。調査・研究事業の結果も踏まえながら、引き続き周知・取組の強化を図ります。
3.非常勤職員の処遇改善について
次に、非常勤職員の処遇改善についてです。非常勤職員の任用、勤務条件等については、その適切な処遇等を確保するため、法律や人事院規則等で規定しており、これまでも民間の状況等も考慮しつつ改善を行ってきました。引き続き、職員団体の意見も伺いながら必要な検討を行っていきます。
非常勤職員の給与については、指針に基づく各府省の取組が進んでいます。指針に基づく各府省の取組状況については、定期的にフォローアップし、必要な指導を行うなど、引き続き、常勤職員の給与とのバランスをより確保しうるよう取り組んでいきます。
4.高齢者雇用について
次に、高齢期雇用施策についてです。定年の引上げについては、定年の段階的引上げに係る各種制度が各府省において円滑に運用されるよう、引き続き、制度の周知や理解促進を図るとともに、運用状況の把握に努め、適切に対応します。
定年の引上げに伴う、給与カーブの在り方については、公務における人事管理の変化や、民間における高齢層従業員の給与水準の状況等を注視しつつ、職員団体の意見も伺いながら、職員の役割・貢献に応じた処遇の観点から、他の制度と一体で引き続き検討を行っていきます。
5.女性参画の推進及び多様性の確保について
次に、女性参画の推進及び多様性の確保についてです。女性参画の推進については、これまで柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の整備、超過勤務の縮減、仕事と生活の両立支援策の拡充やハラスメント防止対策など、男女ともに働きやすい勤務環境の整備を積極的に進めてきました。引き続き、各府省の具体的な取組が進むよう支援していきます。
性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性の確保については、性的指向や性自認に関する偏見に基づく行動がセクシュアル・ハラスメントに含まれることを制度上明確にし、典型的な言動を示すとともに、研修等による周知・啓発や相談体制の整備などの施策を講じています。今後も、LGBT理解増進法に基づく基本計画や指針等の策定に向けた政府全体での検討を踏まえながら、適切に取り組みます。
6.健康・安全確保等について
次に、健康・安全確保等についてです。ハラスメントの防止については、今後も、各府省のハラスメント防止対策の実施状況を把握するほか、セミナーの開催や研修用教材の改訂など、各府省に対する支援・指導を行っていきます。
カスタマー・ハラスメント対策については、研修等を通じて、各府省に対し、カスタマー・ハラスメントから職員を守る責務があることについて認識を広げていくとともに、更なる対応について研究するなどして、各府省を支援していきます。
官民比較企業規模の引き上げを強く求める
以上の回答を受け、公務労組連絡会側は主に次の点を柱にして追及しました。
○ 賃金改善の勢い、流れを公務にもしっかり反映するためにも、官民比較企業規模の1000人以上への引き上げを求める。また、人事行政諮問会議の最終提言は、賃金に新たな格差や分断を持ち込むことは断じて認められない。公務の現場からすると、机上の空論でしかない。
○ 「給与制度のアップデート」は、十分な労使協議がおこなわれなかったとことは極めて不満だ。今後の見直しの検討作業において労働組合の意見が反映されるよう求める。
○ 長時間労働の是正は、働き続けられるようにするためだけでなく、家庭責任を有する労働者が働き続けるためにも重要だ。若手職員の離職の増加の要因ともなっており、長時間労働の是正を求める。
○ 非常勤職員の雇用安定と処遇改善は、人材確保や行政サービスの安定につながる。公募制の廃止は強い要求であることを重ねて申し上げておく。加えて、年次有給休暇の採用時からの付与を強く求める。
○ 人事院勧告が、労働基本権制約の「代償措置」ならば、公務労働者の立場に立った検討がなされるべきなのに、そうした実感がない。私たちの要求に対して、最終回答のどこに反映されているのか。
締めくくりに宮下副議長は、「人事院は切実な要求を真摯に受け止めよ。勧告に向けた要求については、改めてとりまとめたうえで提出するので、誠意ある対応を求める」とのべ、春闘期の交渉を閉じました。
(内閣人事局)使用者責任なく人事院に丸投げ
内閣人事局との交渉には、公務労組連絡会は桜井議長を先頭にして臨み、内閣人事局は駒崎総括参事官補佐ほかが対応しました。
交渉の冒頭、桜井議長は組合員の切実な要求を真摯に受け止めるよう求めたうえ、駒崎総括参事官補佐は、「本日は大臣多忙のため、私からこれまでの検討結果を踏まえた最終回答をさせていただく」と断ったうえで、以下の最終回答を示しました。
【内閣人事局・最終回答】
● 優秀な人材を確保し、国家公務員の職員の皆様が働きがいをもって生き生きと働けるよう、私の立場からも国家公務員の処遇改善に向けて取り組んでいきたいと思います。引き続き、現場の実情を含め、皆様からもご提案をいただきながら、前に進めますので、皆様方のご協力をお願いします。
● 令和7年度の給与については、人事院勧告を踏まえ、国政全般の観点から検討を行い、方針を決定したいと考えています。その際には、皆様とも十分に意見交換を行います。
● 非常勤職員については、引き続き、適正な処遇が確保されるよう、関係機関とも連携して、必要な取組を進めてまいります。
● 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆様と誠実に意見交換しつつ、慎重に検討してまいります。
● 最後になりますが、今後とも皆様とは誠意を持った話合いによる一層の意思疎通に努めてまいります。
なお、その他の要求事項への回答については、中間回答で申し上げたとおりです。
ILO勧告ふまえ労使協議の場を設けよ
これに対して、公務労組連絡会側は主に次の点を中心に追及しました。
○ 賃上げ要求に対して、人事院勧告を踏まえるとの回答にとどまったが、使用者としてそれでいいのか。勧告制度があったとしても、賃金改善は政府の責任だ。人材確保のために初任給改善は当然としても、中高齢層の賃金改善が放置されている。生活を守る責任はないのか。
○ 55歳超職員の昇給停止をやめるよう繰り返し求めてきたが、最終回答では示されなかった。業務内容でも、責任の度合いでも、ベテラン職員の役割は前にも増して重くなっている。なのに昇給がストップされるのは不合理だ。若い職員も将来の希望を失う。55歳職員の昇給停止に関わって再回答を求める。
○ 業務量に見合った必要な正規職員の配置をすることを前提にしつつ、非正規公務員の雇用安定にむけて、民間と同様に無期転換制度の導入をはじめ、任期の定めのない短時間公務員制度の創設などを求める。
○ 労働本権回復の要求は、昨年と一字一句文言が変わらない回答にとどまった。ILO勧告をふまえ労働基本権をめぐる労組協議の場をすみやかに設けるべきだ。
これに対して内閣人事局側は、「給与改定にあたっては、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢だ」とするこれまでの回答を繰り返すのみで、また、高年齢の昇給抑制も、「人事院における所要の検討の内容を踏まえ適切に対応する」などとのべ、使用者責任は見られませんでした。
さらに、強く求めてきた労働基本権回復にむけた労使協議については、「自律的労使関係制度について多岐にわたる課題がある」とし、「慎重に検討を進める必要がある」などと、問題解決へ前に進む姿勢はありませでした。
最後に桜井議長は、引き続く公務労組連絡会との真摯な対応を求めて、春闘期における政府交渉を閉じました。
以 上
(別添)25年春闘最終回答への幹事会声明