公務ネットニュースNO.1139(3/14)

生活守る賃上げへ使用者責任を果たせ
= 春闘要求実現求め内閣人事局交渉 =

 公務労組連絡会は3月14日、「2025年春闘統一要求書」および「労働基本権回復など公務員制度等に関する要求書」をめぐって、政府・内閣人事局と中間交渉を行いました。
 交渉には、公務労組連絡会の桜井議長を先頭に、宮下副議長、香月事務局長以下幹事会6名が参加、内閣人事局は駒崎総括補佐ほかが対応しました。
 交渉にあたって、「政府の責任で物価高騰から生活を守る大幅賃上げ等を求める署名」の第一次分集約として、7,911名分を提出しました(写真)。

賃金も時短も人事院だのみの不満な回答

署名を手渡す桜井議長(左) 桜井議長は、「石破首相は『賃上げこそが成長戦略の要』とのべているが、ならば使用者として、公務員賃金こそただちに上げるべきではないのか。政府が率先して、政策的な賃上げを行うことを求める。また、国民の安全・安心を守るうえでも、大幅な増員を強く求める」とのべ、現時点における内閣人事局からの中間的な回答を求めました。

【内閣人事局中間回答】
1.賃金・昇格等の改善
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の適正な処遇の確保や、国民の理解を得る観点からも、また、労働基本権制約の代償措置といった観点からも、第三者機関としての人事院が専門的見地から行った官民比較に基づく人事院勧告を尊重することが政府としての基本姿勢である。
 今後も、諸情勢を踏まえつつ、対応していく。

2.非常勤職員の雇用の安定・処遇改善
 非常勤職員の常勤化・定員化については、国家公務員の場合、
・非常勤職員の官職は、常勤の官職とは、業務の性質や職務の内容が異なるものであること
・また、非常勤職員を常勤職員の官職に任用するためには、国家公務員法に基づき、採用試験などにより、常勤職員としての能力の実証を行う必要があること
 から、困難であると考えている。

 無期転換制度については、国家公務員の場合、常勤職員として採用するには、国家公務員法に基づき、採用試験などによって、常勤職員としての能力の実証を行う必要があることから、困難であることを御理解いただきたい。

 なお、非常勤職員についても、公開・平等の採用試験など常勤職員としての能力の実証を行う手続に応募する機会は広く与えられており、こうした手続を経て常勤職員として採用されることはあり得るものと考えている。

 また、非常勤職員の任用については、人事院において、各府省や職員団体の意見等も踏まえながら、制度官庁と協議をした上、各府省における円滑な運用に資するよう「期間業務職員の採用等に関するQ&A」を昨年11月に作成したと承知している。
 内閣人事局としては、まずは各府省の運用を注視しつつ、必要に応じて対応を検討してまいりたい。

 非常勤職員の処遇改善に係る取組として、まず、給与については、人事院において、常勤職員との均衡をより一層確保することを目的として、一昨年4月に非常勤職員の給与に関する指針を改正し、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて改定するよう努める旨を追加し、この指針に沿った適切な給与支給が行われるよう、各府省を指導していくものと承知している。
  なお、給与の遡及改定については、昨年12月に人事院と内閣人事局から改めて周知を図ったところ。

 また、休暇・休業については、昨年の国家公務員の育児休業等に関する法律の改正により、育児時間について、新たな選択肢を追加し、対象となる子の範囲を拡大するとともに介護休暇等の取得要件の緩和などの制度改正を行うなど、着実に整備を進めてきているところである。

 引き続き、人事院とも連携し、各府省に対して、非常勤職員に関する給与や休暇等の制度の適切な運用を促してまいりたい。

3.国民本位の行財政・司法の確立と要員確保等
 定員管理については、国民のニーズを踏まえて、新たな行政需要に的確に対応していくためには、既存の業務を不断に見直し、定員の再配置を推進していくことが重要である。

 その上で、新たな行政課題や既存業務の増大に対応するため、各府省官房等から現場の実情を聴取しつつ必要な行政分野に必要な増員を行っているところ。
 引き続き、既存業務の見直しに積極的に取り組みながら、内閣の重要政策に適切に対応できる体制の構築を図ることとしている。

4.高齢期雇用・定年延長
 シニア職員がその知識・経験を存分に発揮し、働き方改革等にもつながるよう、「国家公務員の定年引上げに向けた取組指針」を踏まえた取組を計画的かつ着実に進めてまいりたい。
 また、定年引上げ期間中においては、令和6年度から2年に1度、定年退職者が発生しないことによる新規採用への影響を緩和するための措置を行うこととした。

5.民主的公務員制度と労働基本権の確立
 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆様と誠実に意見交換しつつ、慎重に検討してまいりたい。

6.労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立
 超過勤務の縮減のため、各府省等は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、業務の廃止・効率化、デジタル化、マネジメント改革推進のための取組等を進めている。今後とも、勤務時間などの基準を定めている人事院と連携して超過勤務の縮減に取り組んでまいりたい。

 また、性的マイノリティをめぐる職場環境の改善等については、平成28年以降、各府省等の人事担当者等を含む全職員を対象とした勉強会等を開催し、国家公務員の性的指向・ジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解の促進に取り組んでいるところ。

 今後も全ての職員が働きづらさや不安を感じることなく、安心して働き続けることができる職場にしていくよう取り組んでまいりたい。

7.両立支援制度の拡充、男女平等・共同参画の推進
 育児休業については、昨年の民間労働法制の改正により民間労働者に認められた措置に相当するものとして、国家公務員の育児休業等に関する法律を改正し、新たな選択肢を追加するなどの制度改正を行ったところである。引き続き、民間労働法制の動きを注視してまいりたい。

8.健康・安全確保、母性保護等
 内閣人事局としては、各府省の取組を補完するため、パワー・ハラスメントやカスタマー・ハラスメントを含むハラスメント防止講習を提供しているところ。なお、ハラスメント防止に関する研修は管理職員、課長補佐、係長に加え、幹部職員、課長等への昇任時にも受講を必修としている。
 また、「国家公務員健康増進等基本計画」では、各府省における相談窓口の実施状況や利便性等をフォローアップすることとしており、この結果を踏まえ、各府省の取組を支援してまいりたい。

誠意なく「人事院勧告を尊重」を繰り返す

 以上の中間回答に対して、公務労組連絡会側は、全世代が生活改善を実感できる賃上げ、非正規公務員の無期雇用化・正規化、増員による長時間過密労働の解消、業務量に見合った人員配置などを中心に内閣人事局を追及しました。

 これに対して駒崎総括参事官は、「給与改定にあたっては、国家公務員の給与を情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢だ」との回答を繰り返し、非常勤職員の処遇改善については、「人事院における検討を踏まえ、適切に対応したい」とし、また労働時間短縮にかかわっても、「休暇・休業制度及び育児時間・育児短時間勤務制度などの勤務条件に関する内容については、まずは人事院において検討されるものだ」などとのべ、使用者として責任ある態度は見られませんでした。

 最後に桜井議長は、「検討途上とはいえ、不満な回答だ。人事院勧告まかせにするのではなく、すべての公務労働者の生活を守るため、使用者としてただちに大幅賃上げを実施せよ。人員増を求める声は切実なものになっている」とのべ、要求についてさらに検討し、25年春闘統一要求に対する最終的な回答を示すよう求めて中間交渉を閉じました。

以 上

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