公務ネットニュースNO.1153(10/1)

誰もが安心してくらせる社会の実現へ
=全労連公務部会第35回・公務労組連絡会第69回定期総会を開催=

 全労連公務部会・公務労組連絡会は10月1日、都内で定期総会を開催し、次年度の運動方針と役員体制を確立しました。
 総会には加盟単産の代議員21名と地方組織から19名、役員などを含めて72名が参加。討論では、5単産・10地方組織の16名から発言があり、運動方針を豊かに補強しました。

あらゆる分断を団結の力で跳ね返そう

団結ガンバロウを三唱する参加者 全労連公務部会の日巻直映代表委員(郵政ユニオン委員長)が開会あいさつし、議長団には内田みどり(自治労連)と森川息吹(国公労連)の両代議員を選出しました。

 主催者あいさつに立った桜井眞吾代表委員・公務労組連絡会議長(自治労連委員長)は、「7月の参議院選挙後、2ヶ月以上の政治空白の間も国民生活は悪化をし続けている。選挙で大敗しても自民党は裏金などの反省もない。国際的な分断の流れが日本でも生まれている。分断に団結で対抗するために、本総会を職場と地域で団結をひろげる大きなきっかけにしてほしい」と呼びかけました。

 総会には、来賓として全労連から清岡弘一副議長、全労連民間部会から廣瀬肇建交労書記長、日本共産党塩川鉄也衆議院議員が駆けつけ、連帯と激励のあいさつを受けました。その後、香月直之事務局長が向こう1年間の運動方針案をはじめとした議案を提案、西芳紀事務局次長が「鳥取方式短時間勤務制度」にかかわる現地調査の報告をしました。

 その後の各単産・地方組織による討論(別掲)を受けて、香月直之事務局長が総括答弁に立ち、政治を転換するチャンスが生まれているなかで、公務労働者の要求実現に向けて奮闘する決意を表明しました。提案された各議案は拍手で採決され、最後に総会宣言(別掲)を採択してすべての議事が終了しました。

 総会の締めくくりに浅野龍一代表委員(国公労連委員長)が閉会あいさつし、檀原毅也代表委員(全教委員長)の発声による団結ガンバロー三唱で今後1年間を意気高くたたかう決意を固めあい、定期総会は閉幕しました。

■討論(要旨)
○ 国公労連・関口中執
 今年の人事院勧告は比較企業規模の引き上げがあったが、本府省と地方との機関間格差の拡大は到底容認できるものではない。非常勤職員と常勤職員との格差は、女性に対する間接差別とも言える。均等待遇・ 均衡待遇を一刻も早く実現させる決意だ。

○ 全教・金井書記長
 労基法の原則を踏みにじる給特法改定が強行された。現場の声を聞かず、授業準備や学校行事などの切り捨てで時短しようとしている。たたかいの舞台は今後各自治体になり、条例化を許さない取り組みを強めていく。

○ 自治労連・嶋林中執
 賃金講座を月1回の頻度で開いている。賃金制度を語れる役員を増やし、学習を広めていく流れが生まれてきている。非正規職員の実態調査で、公募要件の撤廃が自治体では進んでいないことが明らかとなった。雇用が守る取り組みをすすめる。

○ 長野県公務労組連絡会
 寒冷地手当改善を求めて、2月に県議会が全会一致で意見書を採択。7月には全県を寒冷地手当の支給対象とする、異例の人事委員会勧告が出された。強く要求してきた反映であり、大きな成果に運動への確信を感じている。

○ 埼玉公務共闘
 地域手当の格差解消求め、地元選出国会議員に要請。24年人事院勧告で県内の手当無支給の地域はなくなったが、依然として自治体間の格差は解消されてない。最低生計費は大都市も地方もほぼ同じ。将来的には地域手当の廃止を求めていく。

○ 高知県公務労組連絡会
 高知県知事は9月、一般行政事務を含めた「短時間勤務職員」採用枠の新設や、時間外勤務手当の割増率を25%から50%へ引き上げる方針を発表した。時間外勤務手当の引き上げについて人事委員会は、管理職の意識を変え時間外の抑制に繋げるとしている。

○ 北海道公務共闘
 北海道人事委員会と2度の交渉に取り組んだ。給特法の改定について重点を置いて追及し、国会で採択された付帯決議で、人事委員会が対応するとなっていることを一つずつ確認してきた。形式的な回答ばかりで、引き続き追及していく。

○ 富山県公務共闘(準備会)
 富山県内の地域手当は富山市が3%で他は無支給だ。県内一律の地域手当を求めて、日教組や自治労傘下の組合とも共同して、県人事委員会委員長と教育長あての統一署名に4年ぶりに取り組んだ。なんとしても成果を出したい。

○ 千葉県公務労組連絡会
 25人勧では、地域最低賃金を下回った場合は補填する手当支給が勧告された。これまで自治体当局や人事委員会は、公務員は最低賃金法の適用外であると回答してきた。公務員も最賃を下回ってはいけないと認めさせた意義のある勧告だ。

○ 郵政ユニオン・谷川中執
 非正規社員の寒冷地手当支給を求めた集団訴訟で、東日本訴訟に続いて北海道訴訟でも最高裁が控訴棄却の不当判決を出した。正社員との格差を司法が是認したもので、とうてい納得できない。引き続き格差是正を求めてたたかっていく決意だ。

○ 日本医労連・櫻井中執
 25春闘では5万円以上の賃上げ要求を掲げ、全国の仲間がストに決起してたたかう姿を社会に示した。診療報酬の臨時改定を求める署名には多くの賛同が寄せられた。秋闘は「ケア労働者の大幅賃上げアクション」で奮闘する。

○ 自治労連・吉田書記次長
 医療や介護で働くケア労働者の処遇改善は、自治体職場の重要な課題となっている。ケア労働者の賃金や労働条件の問題は、地域住民の命と暮らしに深く関わっており、公共を取り戻す運動と一体で進めていくことが重要だ。

○ 滋賀公務共闘
 近畿公務共闘として、人事院近畿事務局と3回交渉をしてきた。特に交通用具利用者の通勤手当引き上げを重点に追及した。滋賀公務共闘としては、9月に学習会を実施した。香月事務局長を講師に招き、地方公務員の確定闘争へたたかう決意を固めた。

○ 大阪公務共闘
 大阪公務共闘と大阪労連民間部会は人事院近畿事務局への要請行動に取り組み、官民の共同を実感することができた。8月の人事院勧告の翌日には、合同庁舎前で大阪国公が開催した緊急抗議集会に連帯して結集した。

○ 山口県公務共闘
 山口では地域手当が県内の全市町が0%となっている。市町村会への要請行動を通して、県内のどの自治体も人口流出に強い危機感を持っていることがわかった。地域手当は公務労働者だけではなく地域全体の課題だ。

○ 佐賀県公務労組連絡会
 給与制度のアップデートによって、行政職と教育職の格差が大きくなるのではないかと懸念している。行政職と高校教員では昇格スピードに大きな格差があり、高校の場合は2級で採用されて2級のまま定年を迎える職員が9割を超えている。

以 上


総 会 宣 言

 私たちは、全労連公務部会第35回定期総会および公務労組連絡会第69回定期総会を開催し、この一年間の闘いを総括するとともに、2025年度運動方針を確立した。総会では、憲法尊重・擁護の義務を負う公務労働者として、憲法改悪・大軍拡を許さず、国民犠牲の政治を転換させるため、全国の職場と地域から全力で闘う決意を固めた。
 
 この間、新自由主義による公共部門の再編・統廃合、民営化・業者委託化、非正規化、人員削減が進められ、日本の公務員数は世界最低水準となっている。こうした公務・公共サービスの無差別な削減の弊害が、頻発する大規模災害や事故で露呈し、公務労働者の存在と役割が再認識された。しかし、政府はこうした実態を無視し、デジタルトランスフォーメーション(DX)や官民連携を推進して、さらなる人員削減と公的サービスの縮小を狙っている。私たちは、公務労働者・労働組合としての役割を存分に発揮し、「公共を取り戻す」運動を住民とともに進め、政府の総人件費抑制方針を転換させ、公務・公共サービス、教育の拡充を実現する。
 
 今年の人事院勧告は、34年ぶりに改定率が3%を超えた。俸給表については、若年層に重点を置きつつ、全ての級・号俸で2.7%以上の引き上げを実現させた。しかし、賃金改善は25年春闘平均引上げ率にも満たず、生活改善を実感できる水準からは程遠い。また、「最終提言」を金科玉条とし、キャリア官僚優遇、裁量労働制の導入、いわゆる「ジョブ型」給与への移行などを期限を切って急ぐ人事院の姿勢は、労働基本権制約の「代償機関」とは到底言えない。人事院勧告の制度疲労は明らかであり、労働基本権の回復は喫緊の課題である。引き続き、政府への追及を強めるとともに、国内外の世論に訴える取り組みを旺盛に展開していく。
 
 いま私たちは、戦争か平和か、急激な少子化、広がる貧困と格差の拡大、気候危機など、さまざまな困難と課題に直面している。職場に目を向けると、深刻な人手不足、能力・実績主義の強化、長時間過密労働が横行し、医療・介護・福祉の職場で働く労働者の低賃金構造も放置されたままだ。その根本には、「財界・大企業優遇」「アメリカいいなり」の自公政権とその補完勢力の政治姿勢がある。
 加えて、7月の参院選挙で外国人差別を声高に主張する極右・排外主義の勢力が伸長し、政治の逆行が懸念されている。「スパイ防止」の名の下で公務労働者と国民の監視を強め、取り締まろうとする危険な動きも強まっている。
 こうした状況を打開するため、国民・住民が主人公の政治への転換は避けて通れない。職場の切実な要求実現のため、何としても自民党政治の抜本的転換を果たそう。
 
 全労連公務部会・公務労組連絡会は、この間の運動の成果を確信に、大軍拡・憲法改悪阻止、公務・公共サービスと教育の拡充、ジェンダー平等など、誰もが安心してくらせる社会の実現に向け、職場・地域から全力を挙げて奮闘するものである。

 以上、宣言する。

2025年10月1日

全労連公務部会第35回・公務労組連絡会第69回定期総会

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