公務労組連絡会は10月26日、「2020年夏季重点要求書」で残されていた月例給等にかかわる最終的な交渉を人事院とおこないました。人事院側は、官民較差がわずかであることから月例給にかかわる勧告はおこなわないと回答しました。諸手当の改善についても回答は示されませんでした。
交渉には、公務労組連絡会から桜井議長を先頭に、宮下副議長、秋山事務局長以下幹事会6名が参加、人事院は給与局第一課福田圭介補佐、職員福祉局職員福祉課の本田英章補佐が対応しました。
桜井議長が回答を示すよう求めると、人事院は以下の通りのべました。
● 公務労組連絡会から7月31日に提出のあった要求のうち、月例給の改定について回答します。
● 月例給に関する報告の日程は、10月28日(水)となる予定です。
● 本年4月分の給与について、官民較差を算出したところ、国家公務員給与が民間給与をわずかに上回っていました。官民給与の較差が小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定を行うことが困難であることから、月例給の改定は行わない予定です。
これに対して秋山事務局長は、「新型コロナウイルスの感染拡大防止や緊急事態宣言のもとで、国民のいのちとくらしを守るため奮闘してきた公務員労働者の期待を裏切るものであり、抗議する」とのべ、以下の点を中心に追及しました。
○ 家庭生活を犠牲にして長時間過密労働を続けている職員や、時には感染の恐れがあるとして、家族のいる自宅に戻らずホテル生活をした職員もいる。処遇改善がされないことは、公務労働者としての役割を果たそうとがんばっている職員たちを失望させるものだ。
○ 非常勤職員の雇用の安定・処遇改善の要求について、まったくのゼロ回答であったことに厳しく抗議する。最高裁では過日、非常勤職員の扶養手当、住居手当、病気休暇の有給化などを求める判決が出た。均等待遇は政府の政策でもある。改めて、労働時間・労働契約期間に関わらず、同じ仕事をおこなうのであれば、待遇は同じとするよう強く求める。
○ 長時間労働の是正について、必要な指導を各省庁に確実におこなうことや、検証と分析など人事院としての役割を発揮するよう求める。また、不妊治療に対する通院休暇の制度化など休暇制度の改善をあらためて求める。
交渉参加者からは、「月例給改善見送りは、コロナ禍で献身的に働く公務労働者の労苦に見合うものではない」「職員の奮闘に冷や水を浴びせる勧告だ。民間労働者の今後の賃金にも否定的な影響をあたえる」「過日の人事院報告で人材確保の困難性にふれつつも、優秀な人材確保が困難となる状況を人事院みずからが作っているのではないか」など賃上げ見送りを厳しく追及しました。
以上の発言を受け、人事院側は次のとおりのべました。
◯ 現場の労苦にみあうものではないという厳しい意見をいただいた。非常勤職員を含めて処遇改善についどのように進めるのか、引き続きご意見をふまえ対応していきたい。
◯ 勤務環境の整備等にかかわる要求については、人事院としてもしっかりと進めたい。なお、不妊治療に関する職場環境のアンケートを実施することとしている。
◯ 最高裁判決は、民間の労働法における判断と受け止めている。公務は労働契約法の適用外ということではあるが、内容を精査しつつ今後の議論や民間の動向を注視しながら検討していきたい。
桜井議長は最後に、「公務労組連絡会の要求に対して、あまりにも不十分な回答であり不満だ」とのべ、交渉を締めくくりました。