2020年人事院勧告にあたっての幹事会声明

2020年10月7日
公務労組連絡会幹事会

1、人事院は本日、国会と内閣に対して、国家公務員の一時金に関する勧告と人事管理に関する報告をおこなった。勧告は、一時金を0.05月引き下げるものである。

 今回の勧告は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、異例のものとなっている。感染拡大の防止や感染予防など、日夜奮闘している公務労働者の現場実態を顧みず、生活を改善するものでもなく、われわれの要求に一切応えない極めて不満な勧告である。

2、月例給については、民間給与実態調査が9月30日まで実施されていたこともあり、現時点で判明していない。こうした状況の中、一時金のみを先行して勧告したことは、極めて政治的なものといわざるを得ない。人事院勧告は、公務員労働者の労働基本権制約の代償措置であり、政治的な思惑によって左右されるべきものではない。新型コロナウイルスの感染拡大により、民間給与実態調査が大幅に遅れ、勧告そのものが大幅にずれ込んだことはやむを得ないが、暴挙にも近い異例の対応といわなければならない。

 われわれが重視する非常勤職員の処遇改善においても、全くのゼロ回答であり、この点でも代償機関としての責任を果たしていない。改めて、月例給の改定を含め、われわれの要求に応える勧告を行うよう求める。

 加えて、人事管理に関する報告の中で、「能力・実績に基づく人事管理の推進」が述べられているが、成績主義強化を図る政府に追随する姿勢を示すものであり、容認できない。人事院の姿勢は、労働基本権の代償機関としての役割との関係で問題があるといわざるを得ない。

 公務労組連絡会は、地方人事委員会での改善勧告をめざすとともに、確定闘争、独立行政法人での賃金改善を勝ちとるため、公務大産別の団結を強めてたたかいを継続・強化していく。

3、10月1日から順次、地域別最低賃金が改定されているが、7都道府県では改定が見送られた。改定されたところでもわずか1円から3円の引き上げにとどまったため、加重平均で902円と昨年からわずか1円の上昇にとどまった。一番低い地域で2円引き上げられ、最高額の東京が改定されなかったが、時間額で221円もの格差が残っている。

 新型コロナウイルスの感染拡大による営業自粛で明らかになったとおり、貯蓄の余裕がない労働者にとって、最低賃金の水準は低すぎる。地域経済の循環につなげるためにも最低賃金を大幅に引き上げることが求められる。同時に中小企業に対する国による支援の強化が必要である。

 全労連が全国各地で行っている調査では、全国どこでも生計費は変わらない。地域間格差を是正するためにも『全国一律、めざせ1500円』の要求は、当たり前の要求として、社会的にも注目を浴びている。公務労組連絡会は、全国一律最賃制の実現と公務職場の地域間格差の解消に向けて全力をあげてたたかうものである。

4、公務が果たしている役割が社会的に注目された。一方で、行政や医療・福祉などの分野における脆弱さが露呈するとともに、長時間過密労働で懸命に働き続ける実態に、体制拡充を求める声が高まった。職場の切実な声は、政府あての「体制拡充要求署名」と人事院あての「公務員賃金改善署名」として全国から寄せられ、昨年を上回る12万筆を集約した。

 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、中央行動をはじめとするたたかいを大幅に縮小せざるを得なかった。参加者を大幅に絞りながら人事院前や官邸前で職場の切実な声を上げ、諸要求前進めざして奮闘してきた。こうした要求と運動の到達点をふまえ、たたかいを強化しなければならない。

5、菅首相は、日本学術会議が推薦した会員候補6名の任命を拒否した。政権発足にあたって「安倍政治」の継承を掲げていたが、意向にそぐわないものを排除することなど、まさに強権的な政治姿勢を現している。

 収束が見えない新型コロナウイルス感染症は、インフルエンザの流行と重なることが懸念されている。国民のいのちに関わる厳しい状況が続いているにもかかわらず、政府は経済対策を重視する姿勢に転換した。そのため「Go toキャンペーン」などを拡大させている。さらに、感染防止策が不十分であるにもかかわらず、海外からの入国制限を徐々に解除してオリンピックの強行開催をもくろんでいる。いずれの政策も、一部のものだけが恩恵を受け、最も支援が必要な国民に届いていない。

 公務労組連絡会は、国民のいのちとくらしを守るため、大企業優先、経済重視の政治からの転換をめざし、みずからの要求と結びつけて、憲法改悪を阻止するために全力をあげる。そして、憲法を擁護し、遵守する責務を負う公務労働者として、憲法を守りいかすために職場と地域から奮闘する決意である。

以 上

(参考資料)
(PDFファイル)
  (1) 給 与 勧 告 の 骨 子
  (2) 公務員人事管理に関する報告の骨子