2020年月例給の人事院報告にあたっての幹事会声明
2020年10月28日
公務労組連絡会幹事会
1、人事院は本日、政府と国会に対して、国家公務員の月例給に関する報告をおこなった。報告では、「△164円、△0.04%」と希少な較差であることから月例給の改定を見送った。
月例給の改定見送りは、特例法による賃金引き下げの期間を除けば、2008年の勧告に続く12年ぶりのものとなる。改定の見送りは、新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止や自然災害などにおいて、国民のいのちとくらしを守るため奮闘する公務員労働者の志気を失わせるに十分なものであるといわざるを得ない。公務員労働者の生活改善を求めるわれわれの要求に一切答えない勧告であり、厳重に抗議する。
2、改定が行われないことから、最低賃金を下回るような時間単価となっている高卒初任給など、人材確保にも影響している若年層の賃金をはじめ、公務員労働者の生活改善がなされない。
加えて、一時金と月例給を分けて勧告したことは、労働基本権の代償措置としての役割よりも使用者たる政府の意向を優先したものと思わざるを得ない。契約の原則は、対等な力関係にあることが基本であり、労使関係においては団結権・団体交渉権、そして団体行動権が保障されて初めて成り立ち得るものである。
3、実質賃金の低下が著しい高齢層は、生活悪化が著しく、退職金の減額とともに高齢期の生活に対する不安が増す一方である。2021年度の退職者は、特別支給の年金が65歳からに引き上げられている。定年引き上げの先送りは、多くの公務員労働者に大幅な労働条件低下となる再任用で働く道を選ぶだけとなり、将来不安を拡大させる。
公務労組連絡会は、政府が使用者としての最低限の責任を果たすため、速やかに賃下げのない定年引き上げを行うよう求める。
4、大多数の地方人事委員会は、一時金と月例給の勧告を分けて行っている。わずかではあるものの、通常どおりの勧告を行う人事委員会もある。今回の異例な勧告は、各方面に混乱を生じさせた。地方自治体や独立行政法人等は、賃金・労働条件の決定にあたり、自主性・主体性をもって対応すべきである。同時に、政府は国家公務員賃金制度を画一的に地方自治体や独立行政法人などへ押し付けてはならない。
5、10月26日から臨時国会が召集されている。政府は12月の期末手当削減に間に合わせるため、法案の準備を進めていると思われる。新型コロナウイルスによる感染症の拡大防止や自然災害などに対し、国民のいのちとくらしを守るため奮闘する公務員労働者の生活改善と地域経済活性化につなげるため、大幅賃上げとなる法改正を行うよう政府に求める。
公務労組連絡会は、国民のいのちとくらしを守るため、大企業優先、経済重視の政治からの転換をめざし、みずからの要求と結びつけて、憲法改悪を阻止するために全力をあげる。そして、憲法を擁護し、遵守する責務を負う公務労働者として、憲法を守りいかすために職場と地域から奮闘する決意である。
(参考資料)(PDFファイル)
月例給に関する報告の骨子(人事院)