公務労組連絡会は7月26日、6月から交渉を重ねてきた「2024年夏季重点要求書」をめぐって、政府・内閣人事局との最終交渉を行いました。
交渉には、公務労組連絡会の桜井議長を先頭に、宮下副議長、香月事務局長以下幹事会8名が参加、内閣人事局は駒崎総括参事官補佐ほかが対応しました。
最終交渉にあたって桜井議長は、「中間交渉の際に、使用者・政府として誠意ある検討を求めてきた。そのことをふまえて、夏季重点要求に対する回答を示してもらいたい」とのべ、回答を求めました。
駒崎総括参事官補佐は、「先月17日に提出された要求書について、最終的な回答を行う」とのべ、以下の回答を示しました。
【内閣人事局の最終回答】
「1、賃金の改善等」に関し、国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の適正な処遇の確保や、国民の理解を得る観点からも、また、労働基本権制約の代償措置といった観点からも、第三者機関としての人事院が専門的見地から行った官民比較に基づく人事院勧告を尊重することが政府としての基本姿勢である。
今後も、国の財政状況、経済社会情勢などを踏まえて対応していく。
「2、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善」に関し、昨年の人事院の「公務員人事管理に関する報告」において、表明された「非常勤職員制度の適切な運用の在り方等についての検討」に関係して、先月、いわゆる「3年公募要件」の見直しに係る通知が人事院から各府省に対して発出されたものと承知している。 内閣人事局としては、制度の円滑な運用に向け、適切に対応してまいりたい。
非常勤職員の処遇改善に関して、給与については、人事院において、常勤職員との均衡をより一層確保することを目的として、昨年4月に非常勤職員の給与に関する指針を改正し、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて改定するよう努める旨を追加し、この指針に沿った適切な給与支給が行われるよう、各府省を指導していくものと承知している。
なお、給与の遡及改定については、昨年11月に人事院と内閣人事局から改めて周知を図ったところ。
引き続き、人事院とも連携し、各府省に対して、非常勤職員に関する給与や休暇等の制度の適切な運用を促してまいりたい。
「3、国の責任による公務・公共サービス、教育の拡充」に関し、定員管理については、国民のニーズを踏まえて、新たな行政需要に的確に対応していくためには、既存の業務を不断に見直し、定員の再配置を推進していくことが重要である。
その上で、新たな行政課題や既存業務の増大に対応するため、各府省官房等から現場の実情を聴取しつつ必要な行政分野に必要な増員を行っているところ。
引き続き、既存業務の見直しに積極的に取り組みながら、内閣の重要政策に適切に対応できる体制の構築を図ることとしている。
「4、高齢期雇用・定年延長」について、シニア職員がその知識・経験を存分に発揮し、働き方改革等にもつながるよう、一昨年3月に策定した「国家公務員の定年引上げに向けた取組指針」を踏まえた取組を計画的かつ着実に進めてまいりたい。
「5、民主的公務員制度と労働基本権の確立」に関して、自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆様と誠実に意見交換しつつ、慎重に検討してまいりたいと考えている。
「6、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立」に関し、超過勤務の縮減のため、各府省等は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、ルーティン業務の廃止・効率化・デジタル化、マネジメント改革推進のための取組等を進めている。今後とも、勤務時間などの基準を定めている人事院と連携して超過勤務の縮減に取り組んでまいりたい。
「7、健康・安全確保、両立支援制度拡充等」の健康・安全確保については、内閣人事局としては、各府省の取組を補完するため、メンタルヘルス及びハラスメント防止講習を提供しているところ。
また、「国家公務員健康増進等基本計画」では、各府省における相談窓口の実施状況や利便性等をフォローアップすることとしており、この結果を踏まえ、各府省の取組を支援してまいりたい。
育児休業については、国家公務員の育児休業等に関する法律や人事院規則の改正により、一昨年10月から育児休業・育児参加のための休暇が取得しやすくなったことを踏まえ、内閣人事局としても、人事院と連携し、引き続き、各府省に対して休暇・休業制度及び育児時間・育児短時間勤務制度の適切な運用を促してまいりたい。
以上の回答を受け、議長以下、参加者から以下のとおり追及しました。
○ 賃金の大幅な引上げが、政策的に求められている。歴史的な物価高のもとで、実質賃金の低下に歯止めをかけ、経済の好循環、持続的な賃上げを実現するためには、人事院勧告に頼らず使用者として決断せよ。
○ 非常勤職員の処遇改善と雇用の安定を図るよう強く求める。「3年目公募」は撤廃しましたが、雇止めの不安が解消されたわけではない。「任期の定めのない短時間勤務公務員制度」の創設など雇用不安を根本からなくせ。
○ 通常業務ですらギリギリで、絶対的に人員が不足している。そのことが職員の健康悪化、公務能率の低下をおよぼし、ひいては国民の命や暮らし、安全が守れない大きな要因となっている。非常時でも対応できる体制強化が必要だ。大幅増員を強く要求する。
○ 労働基本権に関する回答は、これまでの内容と何ら変わっておらず、極めて不満だ。意見交換すると言うのなら、今すぐにでも議論の場を設けよ。
桜井議長は交渉の締めくくりに、「要求からして極めて不満な回答だ。労働基本権の回復は、日本の平和と民主主義を守るうえで重要な課題だ。過日のILO総会での議論もふまえ、引き続き労使協議の場を求める」とのべ、この時期の交渉を終えました。
公務労組連絡会では、近々出される人事院勧告をうけて、その取り扱いをふくめて、あらためて政府・各省に要求書を提出し、交渉を強めることにしています。