ILOでは結社の自由部に要請、担当責任者のカレン・カーチス氏らに「追加情報」として直近の春闘交渉における政府・人事院の回答ぶりや、人事院がねらう「給与制度のアップデート」の検討状況などを説明し、労働基本権制約の「代償措置」とされる人事院勧告制度の矛盾と限界は明らかであり、すみやかな労働基本権回復にむけた尽力を求めました。
また、自治体職員の災害時等における長時間労働、会計年度任用職員、教職員の長時間労働、消防職員の団結権保障などをめぐる最新の状況について報告しました。
カーチス氏は、「有益な情報提供に感謝する」とのべ、「人勧や消防委員会などの代償制度が機能していない具体的かつ詳細な実態を、秋までに報告してほしい」「日本政府の頑なな姿勢を崩すためには、労組による提案型の情報発信が有効ではないか」など、貴重なアドバイスも受けました。その後も要請団との意見交換が続き、きわめて有意義な要請となりました。
国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会では、政治学者のピチャモン・エオファントン氏とオンラインで懇談しました。
国公労連の代表は、「日本政府に雇われる非正規公務員の70%が女性。専門性、スキルがあっても、女性は非正規に誘導されている。非正規公務員は短期で不安定な雇用の上に、最低賃金に近い低賃金で働く人が多い。また再契約のときに公募が強要されている。調査では、非正規公務員のハラスメント経験率は正規の倍である。手当や休暇制度においても正規との間に不合理な格差がある」と報告しました。
自治労連の代表は、非正規雇用の劣悪な労働が女性の自立を妨げている実態や、学童保育の民間委託問題の状況、大阪市の人事評価による職員への人権侵害などを訴えました。さらにみずからが経験した育児ハラスメントを伝えて、ジェンダーギャップを無くしていく決意を述べました。
エオファントン氏は、「人権理事会に提出する訪日調査報告書は完成。今後も日本政府に問題提起していきたい。オーストラリアでも、公務組合が賃上げ凍結について抗議のストライキしている。公務部門もスト権も含めて労働基本権が保障されることが理想的だ。今日の懇談の内容について、作業部会として取り組みを進めていきたい。今後も情報提供いただければ助けになる。日本の公共部門が、犠牲を払い使命感を持ち働いていることがわかった。組合が格差是正について努力していることを、詳しく聞けたことは有意義だった」とのべました。