物価高を上回る大幅賃上げの実現を!

= 臨時総会を開き24春闘方針・要求を確立 =

 全労連公務部会・公務労組連絡会は1月31日、都内で臨時総会を開き24春闘方針と政府・人事院への要求を確立しました。
 総会には、6単産・19地方組織から69名が参加しました。活発な討論を通して、物価高騰のなか今こそ大幅賃上げをめざそうと意思統一しました。

主体的なたたかいで要求を前進させよう

臨時総会

 主催者を代表してあいさつした桜井眞吾公務労組連絡会議長(自治労連委員長)は、「能登半島地震の被災者のみなさんにお見舞い申し上げるとともに、被災地で復旧のために奮闘している公務の仲間に敬意を表する。住民の命とくらし、なりわいを大切にした人間の復興を政府・自治体に求めていく。24国民春闘では、公務の主体的なたたかいで大幅賃上げ、格差解消を実現させることの意思統一をはかろう」と呼びかけました。

 来賓として全労連の黒澤幸一事務局長、全労連民間部会の岩城伸生協労連副委員長、日本共産党の井上哲士参議院議員がかけつけ、連帯のあいさつを受けました。

 香月直之事務局長による24国民春闘方針案、および、「月額27,000円(6.6%)以上」の賃金引き上げをはじめとする政府・人事院への要求案の提案をうけ、17人の発言(別記)で議論を深め、議案は満場一致で議案は採決されました。さらに「24国民年春闘アピール(別掲)」を採択しました。

 宮下直樹代表委員(全教委員長)が閉会あいさつし、九後健治代表委員(国公労連委員長)による団結ガンバローで締めくくり、24春闘を意気高くたたかう決意を固めあいました。

【討論(要旨)】
(1) 長野県自治労連

 いざというときには全国どこでも派遣されて働くのが自治体労働者。地域間格差の是正、地域手当の廃止を求める。寒冷地手当の見直しが出されるが、長野県民には納得できないデータにもとづくもの。人事院交渉に積雪寒冷地の代表参加の検討を。

(2) 千葉県公務労組連絡会
 房総市の国保病院の一方的な民間委譲に反対し、労働組合を結成。市民による「守る会」の結成で2万近い署名を集約するなか、計画を白紙撤回させた。地域医療を守り、公共を取り戻す運動をすすめていきたい。

(3) 高知県公務労組連絡会
 街頭に出て宣伝行動に取り組んでいる。消防署員や地域の民間労組も対象に、ハラスメント問題の学習会を継続的に開催してきた。ハラスメント問題に取り組む実行委員会を結成して、さらに運動を広げていきたい。

(4) 愛媛県公務員共闘
 松山市の職員退職不補充の方針のもとで、粘り強く訴えて現業の正規採用を勝ち取った。市立病院の指定管理への移行では、職員に加入を呼びかけ、会計年度任用職員など23人が加入。公務公共を取り戻す取り組みを住民とともに進めていく。

(5) 大阪公務共闘
 6月に公共を取り戻すシンポジウムを開催する。「万博開催よりも被災者支援を」という世論が高まっている。異常な維新政治をストップするために、万博中止を求める署名に取り組んでいる。

(7) 富山県公務共闘(準)
 春の政府宛賃金署名では、公務員の賃上げ要求をストレートに押し出したほうがいい。夏の署名は人事院と政府の両方に提出する従来の形式に戻してはどうか。

(8) 山口県公務共闘
 毎年10月に自治体キャラバンを実施。会計年度任用職員の賃上げの4月遡及実施で要請。会計年度任用職員の単価は、前年度末の正規職員賃金を準用すると条例化した自治体も。3月議会にむけても成果を出したい。

(9) 京都公務共闘
 京都市長選挙では、公共を取り戻す公約を掲げる福山候補の勝利をめざす。現在の門田市政は大型公共事業をすすめる一方、公務のリストラと福祉の切り捨てを行ってきた。全国からの支援を要請する。

(10) 北海道公務共闘
 郵政ユニオンがたたかってきた「20条裁判」にかかわって、非正規社員の寒冷地手当支給を求めた訴訟で、支給を認めない判決が札幌地裁で出された。時給の中に寒冷地の加算はあるとの判断で、7月の東京地裁判決を踏襲する不当判決だ。

(11) 全教 波岡知朗副委員長
 教職員は長時間過密労働で学校を休まざるをえず、教育に穴が空く状況。給食費・教育費無償化の拡充の運動も広がっている。現在、30ほどの自治体で懇談会など地域の活動が行われている。さらに広げて、先につなげいきたい。

(12) 日本医労連 森田進書記長
 診療報酬や介護報酬で2.5%のベースアップ実現を盛り込んだ改定は初めて。なんとしても大幅賃上げを勝ち取る必要がある。医労連としては、3月14日にストをかまえ、全医労は3月1日にもストを予定している。全国の国立病院のたたかいの支援を。

(13) 国公労連 笹ヶ瀬亮司中央執行委員
 年明け早々の能登半島地震と羽田事故で公共の役割と重要性が顕在化した。24年の国家公務員定数は783の純増。2%の削減は行えなかった。24年春闘では定員削減中止を求め、団体署名に取り組み、2月には院内集会を開催する。現場からの情報発信を強める。

(14) 自治労連 小川裕子副委員長
 会計年度任用職員の賃金改定の4月遡及を求めるなか、自治労連単組の6割で実現。非正規職員は職場の重要な担い手であり、任用上限や公募義務づけなど不安定な雇用の改善にむけて、切実な要求を実現したい。

(15) 全教 金井裕子副委員長
 給食の民間委託がすすめられ、学校から給食の先生がどんどん減っている。センター化、献立の内容、残留農薬など問題がある。学校給食は教育の一環だ。昨年12月の給食無償化を求める集会には170名をこえる参加。国の責任で無償化を求めていく。

(16) 郵政ユニオン 谷川紀子中央執行委員
 能登半島地震の被災地において、郵便局は郵便物の配達や貯金、保険の非常取扱いをおこなっている。昨年は、正規非正規を同じ金額の特別一時金を郵政ユニオンの要求によって実現した。24春闘もストライキを背景にたたかう決意だ。

(17) 自治労連 小山国治副委員長
 能登半島地震では、政府の初動体制の遅れや、避難所の拙悪な環境に怒りの声が出ている。石川県知事は、能登2市2町の公立病院の機能を統合し、空港隣地に新たな病院建設をねらっている。住民のいのちとくらしを守り切るために奮闘する。

以 上

2024国民春闘アピール

 はじめに、1月1日に発生した能登半島地震で亡くなられた方に哀悼の意をささげるとともにすべての被害に遭われた皆さんにお見舞いを申し上げます。また、地震発生直後から住民の救出や避難、復旧に向けて公務の仲間が昼夜を分かたず奮闘されていることに敬意を表します。
 政府に対しては、1日も早く復旧・復興できるよう全力で対策を講じることを要請する。

 本日、私たちは臨時総会を開催し、2024年国民春闘方針を確立した。いま、実質賃金は20か月連続マイナスが続き、生活悪化がすすんでいる。一方、大企業の内部留保は約555兆円にも達している。内部留保の一部を賃金や国民生活にまわすなど大企業に社会的責任を果たさせれば、大幅賃上げは十分可能である。23国民春闘でつくった賃上げの流れを24国民春闘で大きく発展させよう。生活改善につながる大幅賃上げ、全国一律最賃制と今すぐ最賃1,500円、ジェンダー平等推進、あらゆる格差の解消など積極的に要求をかかげ、実現にむけて職場や地域で諸行動を展開しよう。

 公務職場では限界まで削減された人員体制のなかで、長時間労働が横行している。同時に多くの非正規公務員が雇用不安と不合理な格差のなかで働いている。住民のいのちとくらしを守るために人員増による長時間労働の解消と、非正規公務員の雇用安定と処遇改善をかちとろう。また、「給与制度のアップデート」に対しては、すべての公務で働く仲間の賃金引き上げ、地域間格差解消、誰もが定年まで安心して働き続けられる制度の実現のためにたたかおう。さらに、政府には、ILO勧告にもとづいた労働基本権回復にむけた労使協議を直ちに開始することを強く求める。

 今も続く国際法違反のロシアのウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ地区への無差別殺戮に対して憲法9条をもつ政府として即時停戦と対話による解決にむけて積極的に働きかけるべきである。岸田首相は8兆円に迫る軍事費の拡大で戦争の準備をすすめているが、武器や戦争で国民の平和や安全を守れない。また、沖縄では辺野古の米軍新基地建設をめぐり、国が設計変更の承認を代執行して工事着工を強行したことは地方自治の否定である。

 莫大な軍事費を国民生活にまわし、消費税減税・インボイス廃止、医療、介護、年金など社会保障や教育費無償化等、公務公共サービス、教育を拡充すべきである。こうした国民の声に背を向け、金権腐敗にまみれた自民党と岸田首相にもはや政権を運営する資格はない。

 この間、全国の公務の仲間は新型コロナ感染拡大の下で、国民のいのちやくらし、教育を守るために現場で奮闘し、公務に対する信頼や理解を広げてきた。そして、すべての労働者の大幅賃上げ、非正規公務員の雇用安定と均等待遇などの私たちの運動は、マスコミも注目し、共感や世論を広げ、政治や行政を動かしてきた。

 24国民春闘で労働者・国民の諸要求実現、国民が主人公の政治へ転換させるために、全労連・国民春闘共闘・地域労連とともに国民春闘を展開しよう。

 2024年1月31日

全労連公務部会第32回・公務労組連絡会第66回臨時総会