魅力ある職場づくりへ力を合わせよう

= 公務労組連絡会・公務部会が定期総会を開催 =

 公務労組連絡会・全労連公務部会は9月27日、東京都内で定期総会を開催し、次年度の運動方針と役員体制を確立しました。
 総会は4年ぶりに対面形式で開催され、単産22名と地方組織18名、役員などを含めて64名が参加、熱心な議論を経てすべての議案が決定され、大会宣言を採択して閉会しました。

確定闘争など秋のたたかいへ決意固め合う

定期総会

 全労連公務部会の宮下直樹代表委員(全教中央執行委員長)は開会あいさつを行い、議長団には金井裕子代議員(全教)と大門晋平代議員(国公労連)の両氏を選出しました。

 主催者あいさつに立った公務労組連絡会の桜井眞吾議長・公務部会代表委員は、「今夏の人事院勧告では、満足とは言えずとも賃上げ勧告となり、各地の最低賃金審議会では、地方組織の奮闘で中央最賃審の目安を上回る改定を勝ち取っている。秋の地方確定闘争で人勧を上回る成果を全国で実現しよう。非正規公務員の処遇改善にむけた流れをさらに大きくしていこう」と奮闘を呼びかけました。

 全労連から黒澤事務局長、民間部会から全労連・全国一般の林副委員長、日本共産党から塩川鉄也議院議員の3名の来賓がかけつけ、激励のあいさつを受けました。その後、香月直之事務局長が、むこう1年間の運動方針案を提案しました。

 討論では、6単産4地方組織から13名が発言し(要旨を別記)、討論のまとめに立った香月事務局長は、政治を転換するチャンスが生まれているなかで、公務労働者の要求実現に向けて奮闘する決意を表明しました。

 すべての議案が満場の拍手で採択され、総会宣言(別掲)を採択したあと、公務労組連絡会の九後健治副議長(公務部会代表委員)が閉会あいさつし、日巻直映代公務部会表委員の発声による団結ガンバロー三唱でたたかう決意を固めあい、定期総会が閉幕しました。ました。

地域手当・最賃改善にむけて奮闘(討論要旨)

(1)富山県公務共闘(準)
 地域手当の問題では、県内の格差に不公平感が高まっている。特に人事異動に関連する問題が深刻であり、職場では不信感や不満が積もっている。人事院の「給与制度のアップデート」にむけて地域手当の廃止を求めていく。

(2)自治労連 吉田 佳弘 代議員
 コロナ禍のもとで、保健師や児童福祉司などの人員増を求めてきた。長らく改善されていない保育士配置基準の改正を求め、子供たちに必要な保育士を確保するための活動が全国に広がった。住民との協力を通じて、民主的自治体の構築をめざして奮闘する決意だ。

(3)全教 壇原 毅也 代議員
 教員の過重労働改善を求める運動で、教育予算の不足や教員の危機的状況を社会問題化することができた。教育研究者など教育関係者と共同して集会を開催するなど、国民世論の形成を通して、中教審の議論に影響を与えることをめざしている。

(4)郵政ユニオン 谷川 紀子 代議員
 正規社員と非正規社員の給与格差が拡大している。すべての時給正社員に時給1400円以上を求めて交渉を進めている。民営化以降の数々の事業失敗とサービス改悪は、国民的にも看過できない問題。国民と連帯し、安心して働ける環境を目指してたたかう決意だ。

(5)滋賀公務共闘
 県内において、地域手当が支給されている市町村とされていない市町村が存在し、特に地域手当を支給されない町村では人材確保に苦しんでいる。地域手当の格差の解消と水準向上をめざし、地域全体での共闘を呼びかけていく。

(6)佐賀県公務労組連絡会
 地域手当の県内格差の解消へ、一昨年から6町の当局と協議を開始。自治体ごとに異なる手当水準が均等になるよう、運動を進めていく。地方最低賃金のたたかいでは、中央の目安額を上回り、47円の引き上げで時給900円を達成した。官民共同の運動の成果だ。

(7)愛媛県公務員共闘
 地域最低賃金の決定に、県自治労連と県教組で共同して異議を申し立てた。を行いました。意義は通らなかったが、労働側の意見への理解はひろがった。今年の人事院勧告はプラス勧告となったが、物価指数を見れば賃金引き上げは不十分だ。

(8)国公労連 笹ケ瀬 亮司 代議員
 高卒初任給が引き上げられたが、時給換算で見るとまだ最低賃金を下回る地域もある。使用者である政府の責任で、ただちに解決を求める。給与制度のアップデートの議論がすすむなか、地方の意見も反映させながら、地域の共同で社会的な賃金闘争を推進していく。

(9)長野県公務労組連絡会
 長野県は寒冷地で燃料費の急騰が負担となっている。寒冷地手当は10年に1度見直されまるが、見直しの基準やデータに疑問がある。生計費原則に基づき、寒冷地域に適切な支援を求める幅広い運動を提起していきたい。

(10)自治労連 嶋林 弘一 代議員
 過日の自治労連大会では、長時間労働、人員不足、地域間格差など、自治体労働者が直面している課題への適切な対策を提案。公務の魅力を高め、職員の健康と働きがいにむけた運動を重視し、「命を守る3Tアクション」にとりくむ。住民の生活を豊かにするために、すべての職員が安心して働ける環境づくりに奮闘する決意だ。

(11)高知県公務労組連絡会
 高知県職員の給与は全国で最低。賃金引き上げと全国一律最低賃金の確立は重要課題。職場環境の改善と「公共を取り戻す運動」への参加を強めていく。窓口で働く若い職員がカスタマーハラスメントにさらされており、職員と住民の新しい関係を築いていく。

(12)特殊法人労連 竹内 清 代議員
 公共サービスの民主化が求められている。この一年間、組合員の労働条件の改善や労働者の権利擁護に力を入れてきた。職場での安全を重視し、たたかっていく決意だ。

(13)日本医労連 川上 真理 代議員
 多くの組合がストライキを背景に賃上げを実現。看護師の離職増加は極めて深刻で、労働環境の改善と労働者権利の保護が急務。医療・介護現場の崩壊を許さない立場から、「公共を取り戻す」運動に結集していく決意だ。

以 上

総 会 宣 言

 私たちは、全労連公務部会第31回定期総会、公務労組連絡会第65回定期総会を開催し、この一年間のたたかいを総括するとともに、2023年度運動方針を確立した。総会では、憲法尊重・擁護の義務を負う公務労働者として、改憲・大軍拡を許さず、国民犠牲の政治を転換させるため、全国の職場と地域から全力でたたかう決意を固めあった。

 この間、新自由主義にもとづく小さな政府づくりとして、「官から民へ」のかけ声のもと、公共職場の民営化・民間委託化、非正規化、人減らしがすすめられ、公務員数は世界最低水準となっている。その弊害がコロナ危機や頻発する自然災害などで明らかとなり、公務労働者の存在と役割の大きさが再認識されることとなった。しかし政府は、そうした実態を顧みることなく「デジタル化」等を推し進め、さらなる人員削減をはじめとする公的サービスの縮小をねらっている。

 私たちは、公務労働者・労働組合としての役割を遺憾なく発揮して、「公共を取り戻す」運動を推進し、政府の総人件費抑制方針をあらためさせ、公務・公共サービス、教育の拡充を実現する。

 今年の人事院勧告は、近年にない引上げ額・率となったが、物価上昇分にも満たず、生活改善には不十分なものであった。諸手当等も「給与制度のアップデート」の検討と一緒に来年に先送りされた。また、私たちは物価高騰による生活悪化から組合員をはじめすべての労働者・国民を守るために「緊急勧告」を求めてきたが、その要求にも応えなかった。これらを見るに、人事院勧告制度の矛盾と限界が明白となっている。もはや人事院は労働基本権制約の代償とは言い難く、国民・住民本位の行政、子どもが主人公の教育の実現にむけても労働基本権の全面回復は喫緊の課題である。

 あらためて労働基本権回復にむけた政府との交渉・協議の実施を追及していくとともに、学習強化など職場からのとりくみを積極的に展開していく。

 現在、物価高や貧困と格差、気候危機、大軍拡、大増税などさまざまな困難と課題に直面している。その大元には「財界・大企業優遇」「アメリカいいなり」となっている自公政権とその補完勢力の政治姿勢がある。岸田政権が内閣改造を行ってもなお支持率は変わらず、国民との乖離は著しい。一方、職場に目を向ければ、そうした政治のもと、行政の私物化、公文書の隠ぺい・改ざん、統計不正、出入国管理行政の人権侵害、能力実績主義の強化などにみられるように本来の行政・教育を歪められ、公務員を一部の奉仕者へと変質させてきた。これらと長時間過密労働等も相まって公務員志望者が減少し、離職者も増大するなど、公務職場が危機的状況となっている。このように、魅力のあった職場が破壊され、行政・教育の継続性も困難なものとしている。

 こうした状況を打開するために、国民・住民が主人公の政治へと転換することは避けては通れない。来るべき総選挙にむけて広範な市民と野党の共闘をさらに大きく発展させていこう。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は、中央・地方での奮闘によって切り開いてきた要求の前進面や官民共同の広がりなど、この間の運動の到達点を確信にして、岸田政権の大軍拡・改憲阻止、公務・公共サービス、教育拡充、ジェンダー平等など誰もが安心してくらせる社会の実現にむけて職場・地域から全力をあげて奮闘するものである。

 以上、宣言する。

2023年9月27日

全労連公務部会第31回・公務労組連絡会第65回定期総会