従来通りの回答の枠内にとどまる

= 夏季重点要求で内閣人事局と最終交渉 =

 公務労組連絡会は7月27日、「2023年夏季重点要求書」にかかわって政府・内閣人事局と最終交渉を行いました。交渉には、桜井議長を先頭に、宮下副議長、香月事務局長以下幹事会8名が参加、内閣人事局森田総括参事官補佐ほかが対応しました。

人手不足の部署には定員を措置

政府交渉

 交渉の冒頭、桜井議長が「中間交渉では、内閣人事局に対して使用者としてさらなる検討を求めてきた」と述べ、回答を求めました。

 森田総括参事官補佐は、「6月15日に提出された要求書について、最終的な回答を行う」として、以下の回答を示しました。

【内閣人事局最終回答】

1、賃金の改善等
 国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。

 給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。

2、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善
 給与については、人事院の指針及び平成29年5月の各府省間での申合せに沿って適切な処遇を進めてまいる。昨年11月の給与法改正の公布に際しては、改めて同申合せの趣旨について周知を図るとともに、基本となる給与の遡及改定を行うなど、改定時期についても引き続き改善に努めるよう、各府省に求めたところであり、今年3月には、更なる改善を図るため、常勤職員の給与改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とするよう、同申合せの改正を行った。

 また、休暇・休業についても、これまでにも育児休業の取得回数の制限緩和や介護休暇の分割取得等を可能とする制度改正が行われるなど、着実に制度の整備を進めてきているところである。

 さらに、人事院において令和4年1月から出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇が有給で新設されたほか、それまで無給休暇であった産前休暇及び産後休暇が有給化され、同年4月からは子の看護休暇における「6月以上継続勤務」の取得要件について「6月以上の任期が定められている」場合も可能とする措置が図られたと承知している。

 加えて、非常勤職員に退職手当法が適用される要件である、月の要勤務日数(18日)に関して、営業日数自体が少ない月については、要件を緩和したところ。

 引き続き、人事院とも連携し、各府省に対して、給与や休暇等非常勤職員に関する制度の適切な運用を促してまいりたい。

3、国の責任による公務・公共サービス拡充
 障害者雇用については、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んできたところ。

 引き続き、関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、取り組んでまいりたい。

4、高齢期雇用・定年延長
 シニア職員がその知識・経験を存分に発揮し、働き方改革等にもつながるよう、昨年3月に策定した「国家公務員の定年引上げに向けた取組指針」を踏まえた取組を計画的かつ着実に進めてまいりたい。

 なお、60歳を超える職員の給与に関しては、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、人事院において公布後速やかに行われる昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえ、定年引上げの完成までに所要の措置を順次講ずるものとしている。

5、民主的公務員制度と労働基本権の確立
 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆様と誠実に意見交換しつつ、慎重に検討してまいりたいと考えている。

6、労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立
 長時間労働の是正と職員のやりがい向上のため、各府省は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、取組を行っているところである。

 具体的には、ルーティン業務の廃止・効率化・デジタル化やテレワークで完結できる業務フローを構築するほか、適正な勤務時間管理の徹底のため、本府省で開始している業務端末の使用時間の記録等を利用した勤務時間の状況の客観的把握を着実に実施し、地方支分部局等でも業務に応じた勤務形態の多様性に配慮しつつ、最も効果的な客観把握を計画的に導入することとしている。

 また、組織全体のマネジメント力を強化するため、全ての管理職にマネジメント研修の受講を義務付けるとともに、管理職のマネジメント評価を通じてマネジメント行動を徹底することとしている。

 他方、令和5年度の超過勤務手当予算について、各府省の勤務実態に鑑みて必要十分な額が措置されたものと承知しているが、予算があるからと超過勤務をさせてよいということではなく、既存業務の廃止・効率化をはじめとした働き方改革をしっかりと進めてまいりたい。

 加えて、人事院主催の「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」の最終報告において、「勤務間インターバルの確保の趣旨や公務全体の超過勤務の状況を踏まえつつ、最終的には、原則として全職員を対象とすることを目指すべきである。」と言及されたところ。職員の勤務時間は勤務条件の一つであって、まずは人事院において検討されるものであり、内閣人事局としては、最終報告を踏まえた人事院の検討に協力してまいりたい。

 なお、人手が足りないという部署については、業務の見直しを行った上で、なお不足する定員や、業務見直し・効率化やマネジメント改革を行うための定員を措置することとしている。

7、健康・安全確保、両立支援制度拡充等
 国家公務員健康増進等基本計画等に基づき、取組を着実に進めているところ。引き続き、各府省における基本計画の実施状況を把握し、必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。 

 また、新型コロナウイルス感染症への対応については、感染症法上の位置付けが新型インフルエンザ等感染症から5類感染症に変更され、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」が廃止されたことを受け、基本的感染対策や各府省等で実施しているその他対策については、個人又は各府省等の判断にて行うこと、感染対策の見直しに当たっては、感染対策上の必要性に加え、経済的・社会的合理性や、持続可能性の観点も考慮すること、職員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合の対応等について、周知を依頼したところ。引き続き、人事院等関係機関と連携しながら、適切に対応してまいりたい。

政策的賃上げを求めるも「人勧の尊重」変えず

 以上の回答を受け、交渉団からは、「『勧告制度の尊重』との回答を繰り返すが、記録的な物価高から職員の生活を守るとともに、経済の好循環、持続的な賃上げを実現するために、使用者たる政府、政府たる政府、双方の立場から、政策的賃上げを検討せよ」「公務職場の人手不足が深刻なもと、定員削減計画の中止など定員管理政策を抜本的に見直せ」と重ねて求めました。

 内閣人事局側は、「給与改定については、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢だ」「定員数については、厳しい財政事情の下、合理化と再配置によって必要なところに定員をつけていく」との回答を繰り返すだけで、これを受けて桜井議長は、「まもなく示される人事院勧告の取り扱いにかかわって、改めて要求書を提出させていただく。政府として真摯に対応するよう求める」とのべ、夏季重点要求をめぐる一連の交渉を締めくくりました。

以 上