岸田内閣の悪政と対決し、公務公共の発展を

= 公務労組連絡会・公務部会が定期総会を開催 =

 公務労組連絡会・全労連公務部会は9月28日、東京都内で定期総会を開催しました。総会は昨年と同様、オンライン参加と併用の開催となり、単産と地方組織、役員など90名が参加するもとで、熱心な討論を経て一年間の運動方針を満場一致で採択、新たな役員体制を確立しました。

地域住民との共同の力で要求実現へ

定期総会

 開会あいさつした全労連公務部会の日巻直映代表委員(郵政ユニオン委員長)は、「3年に及ぶコロナ禍で多くの困難をかかえるもとで、運動を展開したことに敬意を表する。たたかいの成果と教訓を発信し、よりいっそう団結を深める総会にしたい」とのべ、議長団に青池則男(自治労連)と猪俣陽子(国公労連)の両代議員を選出しました。

 主催者あいさつに立った桜井眞吾公務労組連絡会議長(自治労連委員長)は、「コロナの無策、国葬の強行などで内閣支持率は急落している。国民的な運動で岸田政権を追求し、来年の統一地方選挙で勝利しよう」と呼びかけました。来賓の清岡弘一全労連副議長、全労連民間部会から廣瀬肇建交労書記長、日本共産党の井上哲士議院議員から激励のあいさつを受けたのち、秋山正臣事務局長がむこう1年間の運動方針案を提案し、討論に入りました。

 討論では単産・地方組織から14名の発言(別記)が方針案を豊かに補強、これを受けて秋山事務局長は、「政治を転換するチャンスが生まれているなかで、公務労働者の要求実現に向けて奮闘しよう」と決意を込めて討論をまとめました。

 運動方針案は満場の拍手で採択され、今回で退任する秋山事務局長から香月(かつき)直之新事務局長へとバトンタッチする役員改選案をはじめすべての議案を採択、最後に総会宣言(別掲)を採択してすべての議事が終了しました。

 最後に公務労組連絡会の宮下直樹副議長(全教委員長)が閉会あいさつし、九後健治副議長(国公労連委員長)の発声による団結ガンバローを三唱、今後1年間、国民を守る公務公共サービスの拡充へたたかう決意を力強く固めあいました。

【討論(要旨、発言者名は省略)】

(1) 北海道公務共闘
 非常勤職員に寒冷地手当が支給されていない。全国的に燃料費高騰のおり、灯油価格の上昇は生命線にかかわる。現場からの切実な声があがっている。農協労連が新たに北海道公務共闘に加盟するなか、力を合わせて北海道でも運動を展開していきたい。

(2) 愛知公務共闘
 愛知公務共闘では、春闘期と人勧期に人事院中部事務局と交渉、当日は早朝宣伝行動を配置するなど目に見える行動にしている。最低賃金の大幅引き上げ、公務員賃金の引き上げで相乗効果を発揮するため運動を進めていきたい。

(3) 滋賀県公務共闘
 連続学習講座として、人事評価や定年引上げに関する学習会を実施してきた。ケア労働者の待遇改善にむけて、ローカルセンターの垣根を越えて地方議会請願に取り組むなど共闘が進んでいる。

(4) 大阪自治労連
 維新の会がねらうカジノ誘致の撤回を求めて、約8万人分の署名を国会に提出した。大阪・吹田市当局が、市民に知らせないまま市民課業務委託計画を策定、自治体労働組合と住民、法律家、研究者が共同した運動によって撤回に追い込んだ。

(5) 公務労組九州ブロック
 国公労連が取り組んできた大増員を求める署名で、今回初めて自民党議員が紹介議員になった。新幹線を含む特急料金の通勤手当は半額しか出ない。西九州新幹線の開通で博多への通勤圏内がひろがるなか、手当全額支給を求めていく。

(6) 国公労連
 全員参加型の運動スタイルの確立を目指して運動を進めている。公務・公共サービスの維持向上にむけ、国会請願署名などを通した地域の活動を重視する。「公共を取り戻す」運動を公務産別が手を取り合い、地域住民と共同して進めていきたい。

(7) 国公労連
 政府の「2022年度経済財政報告」は、デフレ脱却に向けた経済的継続的安定的な賃上げ、勧告の早期実施が求められている。人事院勧告制度の矛盾と限界が財界からも指摘されている。人事院の「給与制度のアップデート」と対峙できるよう論点整理をすすめる。

(8) 郵政ユニオン
 郵政ユニオンがたたかってきた労契法20条裁判では、裁判と一体で正規職員の処遇改善にむけて交渉して改善を勝ち取ってきた。今年も賃金割り増しや非正規労働者の病気休暇を獲得するなど成果をあげた。

(9) 日本医労連
 政府は看護・介護職、保育士などの賃上げに踏み出したが、患者を救うために必死に奮闘したすべての医療関係労働者の賃上げが必要だ。全労連の最賃アクションプランなどに結集しながら、労働者の大幅賃上げへ大いに奮闘したい。

(10) 自治労連
 住民の命と暮らしを守るために奮闘している非正規の公務員の処遇改善へ、『怒りと誇りの3T(つながる・つづける・たちあがる)アクション』の大運動に取り組み、非正規職員への「ほこイカアンケート」には2万を超える回答が寄せられた。

(11) 山口県公務共闘
 山口県内の自治体で毎年秋に事前アンケートをとり、各自治体と懇談している。2020年度から会計年度任用職員制度になり、すべての労働者の賃上げは、公務だけでは限界も感じている。民間労働者と連携した取り組みに力を入れたい。

(12) 全教
 教員配置問題では「教育に穴が開く」と深刻な状況にある。教育のデジタル化へ1人1台の端末が前倒しで導入され、職場では大混乱をきたしている。長時間過密労働の解消をめざした勤務実態調査と並行して、「給特法」の改正要求を議論していきたい。

(13) 自治労連
 自治労は今年の定期大会で、一人ひとりの命と暮らしが最優先にされる社会を実現するために、公共を国民・住民の手に取り戻す運動を提起。命を守る運動を継続発展させ、憲法を生かす社会の実現をめざし、非正規労働者の処遇改善と組織化に奮闘する。

(14) 特殊法人労連
 加盟する5単組(水資源機構、社会保険診療報酬支払基金、民法労、学支労)は、様々な課題と向き合いながら奮闘している。引き続き無償教育の実現や、給付制奨学金の拡充を訴え、独立行政法人職場の労働者の要求実現とともに公務公共の拡充をめざしたい。

以 上
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総  会  宣  言

 全国各地で新型コロナウイルス感染拡大の防止や自然災害による復旧・復興への対応で昼夜を分かたず奮闘している公務公共サービス、教育の職場で働くすべての仲間に深く敬意を表する。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は本日、全労連公務部会第29回定期総会、公務労組連絡会第63回定期総会を開催した。そして、この1年間のたたかいを総括するとともに、国民のいのちやくらし、教育を守り、働く仲間を支えるための賃金や労働条件の改善にむけてたたかう2022年度方針を確立した。

 いま、公衆衛生、医療そして教育現場など多くの公務職場で過労死ラインを超える長時間労働がまん延し、「仕事を辞めるか死ぬか」という究極の選択を迫られる事態に直面している。これは、新自由主義政策のもとで公務員の定員削減やアウトソーシングによって「公共」が削り取られてきた結果である。

 総会では、深刻な職場実態が次々と報告された。あわせて、国民のいのちとくらしを守るため、世論を背景に職場体制を拡充したいという切実な声にあふれた。

 しかし政府が「骨太の方針2022」で「新しい資本主義の中核」として位置づけたのは「新たな官民連携」「デジタル化」の名によるいっそうの行政減量化である。全労連公務部会・公務労組連絡会は、地域の「公共」を取り戻し、持続可能な地域循環型の経済・社会の確立と、それを支える公務員の大幅増員や非正規公務員の無期雇用化、公務公共業務の拡充と体制強化、そして「再公営化」をめざす。

 8月8日に出された人事院勧告は、月例給・一時金ともに3年ぶりの引上げとなったものの、昨今の急激な物価高騰のもとで、生活改善には程遠い水準と言わざるをえない。また、非常勤職員や再任用職員についてはゼロ回答というに等しく、現状の不合理な格差を放置する結果となっている。職場の厳しい実態に目を向けず、公務労働者の働きがいを失わせる現行の給与決定の仕組みは、明らかに限界と矛盾を露呈しており、労働基本権回復を含む抜本的な改善が必要である。加えて「給与制度のアップデート」と称して、給与カーブの見直しや能力・実績評価の給与反映強化などをめざすとしている。地域手当に関わる地域間格差の解消も含めて、合意を前提とする誠実な労使協議を求めていく。

 いよいよ人事委員会の勧告に伴う確定闘争が山場を迎える。定年延長をはじめとする諸要求の前進めざして全力で奮闘しよう。

 7月10日の参議院選挙では、改憲勢力が衆・参両院で3分の2以上を占める結果となった。この選挙結果を受けて岸田首相は、改憲発議に向けた動きを早期に進めることを表明している。さらにロシアのウクライナ侵攻や東アジアにおける軍事的緊張の高まりを背景に、軍事費の倍増、敵基地攻撃能力の保有などを目論んでいる。際限のない軍拡を許すのか、それとも憲法9条を生かした平和外交を追求するのかをめぐる対決は激しさを増しており、改憲阻止のとりくみを国民共同の力でいっそう強めていかなければならない。

 岸田内閣は、多くの国民が反対する安倍元首相の「国葬」を強行した。しかし反社会的カルト集団・統一協会と自民党との癒着、円安・物価高騰への無策などに対する国民の不信は日に日に高まっている。国会を軽視し、数の力を背景とする強権的な岸田内閣の策動を許さず、沖縄辺野古新基地建設や核兵器の廃絶、労働法制改悪阻止、社会保障制度の拡充、ジェンダー平等の推進など国民的課題の実現をめざし、国民との共同と連帯を強化したとりくみを広げていく。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は、職場からの奮闘によって切り開いてきた要求の前進や、公務・民間共闘の広がりなど、この間の運動の到達点を確信に、組合員一人ひとりの要求前進はもちろんのこと、国民・住民のいのちやくらし、権利を守るため、職場・地域から全力をあげて奮闘する。

 以上、宣言する。

2022年9月28日

全労連公務部会第29回・公務労組連絡会第63回定期総会