ソーシャルワーカーとして公務労働者の賃上げを!

= 22春闘勝利へ臨時総会で活発な討論 =

 全労連公務部会・公務労組連絡会は1月26日、東京都内で臨時総会を開催し、22年春闘方針と春闘統一要求を確立しました。
 年明けからオミクロン株が急拡大するなか、今年もオンライン併用で開いた臨時総会には、6単産・25地方組織からの代表など総数78名が参加し、職場・地域で奮闘する公務労働者のたたかいが紹介されました。

満場一致でたたかう方針と要求を確立

臨時総会

 臨時総会では、宮下直樹公務部会代表委員が開会あいさつして議長を選出、主催者を代表して桜井眞吾代表委員・公務労組連絡会議長は、「コロナの感染拡大が丸2年を超え、社会生活が困難な状況が生まれている。ソーシャルワーカーとして公務労働者の賃上げを求める。22国民春闘は職場を起点に奮闘しよう」と呼びかけました。

 日本共産党の田村智子参議院議員が開会中の国会から駆けつけ、激励のあいさつがのべられ、秋山正臣事務局長が22国民春闘方針案を提案しました。討論では7単産・10地方組織から16人が発言(別記)し、満場一致で議案は採決されました。

 臨時総会は、「22国民年春闘宣言(別掲)」を採択し、日巻直映代表委員(郵政ユニオン委員長)が閉会あいさつしたのち、会場・オンラインの参加者が一体となった団結ガンバローで締めくくられました。

【討論(要旨)】

(1) 北海道公務共闘
 燃料費急騰のなか、寒冷地手当の引き上げは切実になっている。職場状況は厳しく、機関紙に他の組織の情報を掲載し交流することを始めた。職場に知らせていくとりくみとして継続していきたい。

(2) 東北公務関連労組連絡会
 増員めざして署名集約も進め、地元国会議員への要請をおこなう。賃上げでは、民間相場を押し上げ、プラス勧告を実現させたい。春闘相場を押し上げ、人勧もプラスで賃金引き上げの元年としたい。

(3) 秋田県公務共闘
 文科省は「ICT(情報通信技術)教育」を推進している。秋田県は「ICT教育」日本一をめざすとしているが、新入生への準備が間に合わないなど現場が大混乱している。何よりも教職員の増員が必要だ。官民一体で春闘をたたかう。

(4) 長野県公務労組連絡会
 定年延長は大きな課題。給料が7割に引き下げられ、職員間の格差も生まれる。同一労働同一賃金の観点から大問題。賃金カーブの描き方も危惧している。定年延長について働きやすい制度にしていきたい。

(5) 富山県公務共闘準備会
 役職定年制で賃金がどのようになっていくのか、わからない点が多い。地域間格差の解消へ、地域手当を本俸に組み入れるべき。教員のインターバル規制、長時間通勤など多くの課題がある。

(6) 静岡県公務共闘
 期間業務職員の処遇改善、定年延長、会計年度任用職員制度など、県公務共闘で人事委員会に要求してきた。政府のエッセンシャルワーカー賃上げ政策は限定的なもので、春闘ですべての労働者の大幅賃上げをめざしていく。

(7) 滋賀県公務共闘
 会計年度任用職員の引き下げに反対してたたかい、引き下げの圧縮を勝ち取った。エッセンシャルワーカーの賃上げでアンケートを実施。実施しないとの回答をした市町村に申し入れをしていく。

(8) 公務労組九州ブロック
 コロナの感染拡大で春闘討論集会の中止も相次ぐなか、DVD配布などで工夫している。公的サービスの拡充にむけて、議員要請などを実施する。コロナ感染拡大のなか、公的病院の統廃合反対や、ジェンダー問題、気候危機打開のとりくみが重要。

(9) 佐賀県公務共闘準備会
 昨年来、県労連と協力して公務組織の立ち上げを準備してきた。公務・公共サービスの拡充、委託化の拡大に機敏に対抗するのに必要だと考えている。退職手当、定年延長、会計年度任用職員制度など、共同してたたかうべき課題は多い。

(10) 自治労連・嶋林 弘一 中央執行委員
 職員がコロナ禍でがんばっているなか、一時金引き下げは許されない。ケア労働者賃上げの政府方針で現場は困惑し、制度設計が難しく理解できないまま時間が迫っている。総務省に要請も行ったが、財源の範囲にとどまらない賃上げ獲得をめざす。

(11) 全教・有馬 理恵子 副委員長
 コロナ感染拡大のもと、組織拡大で苦戦している。一方でオンラインによる可能性もひろがっている。組合の見える化が大切。コロナ禍で3度目の春闘になるが、支え合える職場づくりにとりくんでいく。

(12) 全教・糀谷(こうじや)陽子 中央執行委員
 文科省は、教育現場にデジタル化の政策を押しつけている。教育のあり方と質を変えようとするものだ。長時間労働の解消が必要。時短の押し付けのハラスメントも横行しており、勤務実態調査で明らかにして増員につなげたい。

(13) 国公労連・浅野 龍一 書記長
 公務員の志望者が減少している。将来像を描けない公務員が増加している。仕事と家庭の両立も困難、自己成長が望めないなどといって、転職希望が増加しているもと、公務職場・公務員の魅力を示していくことが必要だ。

(14) 特殊法人労連・岡村 稔 事務局長
 奨学金は民間手法が取り入れられてきた。給付型奨学金制度もつくられたが、対象は限定的で20万人が審査から漏れた。多くの学生はアルバイトをしながら生活。ローンには頼れない。奨学金もローンの一種。教育の無償化に向け、とりくみを強化する。

(15) 郵政ユニオン・吉田 実 中央執行委員
 6年連続でベアゼロの郵政。会社は内部留保を貯めこみ体力がある。なんとしても勝ち取りたい。非正規の正規化など登用拡大も求めている。職場学習を通して、組織拡大、改憲阻止のたたかいに奮闘する。

(16) 日本医労連・佐々木 悦子 委員長
 地域医療構想で一般病床が減らされ、救急搬送困難事案が増加している。医療従事者の不足は明らかだ。「新・いのち署名」にとりくんでいる。岸田内閣によるケア労働者の賃上げ対策も限定的だ。大幅賃上げにむけて奮闘する。

以上


2022国民春闘宣言

 連日、過去最大の感染者数を記録するなど、全国で新型コロナ感染症が猛威を振るっている。2年に及ぶ新型コロナや自然災害等への対応に、昼夜を分かたず奮闘している公務公共・教育の職場で働くすべての仲間に敬意を表する。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は本日、全労連公務部会第28回・公務労組連絡会第62回臨時総会を開催した。そして、コロナ禍で疲弊した経済をたてなおし、安心してくらせる社会をつくるため、すべての労働者の大幅賃上げ、公務・公共、教育の拡充、改憲を許さず国民が主人公の政治を実現させるなどを柱とする、2022年国民春闘方針を確立した。

 大企業に蓄積された「内部留保」が過去最高の466.8兆円に達する一方、労働者の実質賃金は世界で唯一20年以上にわたり下がり続けている。コロナ禍は低すぎる日本の労働分配率のいびつさと、非正規労働者や女性労働者の権利の脆弱性を可視化し、政府・財界がおし進めてきた新自由主義政策の綻びを浮かび上がらせている。

 岸田自公政権は、気候危機の問題をはじめ、ジェンダー平等・原発ゼロ・核兵器禁止条約批准などにもことごとく後ろ向きで、世界の潮流に逆行している。そればかりか、年頭所感では「憲法改正は本年の大きなテーマだ」として、改憲に前のめりな姿勢をあらわにした。憲法を守る国民的なたたかいがますます重要となっている。

 先が見通せないコロナ禍は、国民のいのちとくらしだけでなく、公務公共、教育の現場にも、大きな影響を及ぼしている。コロナの対応にあたる現場では、長期にわたり「過労死ライン」を超える時間外労働を公務員に強いており、過労死や深刻な健康被害が危惧される事態さえ招いている。公務公共、教育の役割の発揮には、そこで働く職員のいのちと健康が守られなければならない。直ちに、人員増による体制の拡充と、勤務実態を是正するための具体的な対応が必要である。

 この間、全労連公務部会・公務労組連絡会が取り組んできた、すべての労働者の賃上げ、長時間労働解消と人員増、非正規公務員や公務公共関係労働者の均等待遇などの取り組みは、公務公共、教育の拡充を求める国民要求とも結合し、最低賃金の引き上げなどの前進を勝ち取ってきた。

 さらには、岸田首相をして、「経済対策」方針としてのケア労働者の処遇改善や、財界に賃上げを要請せざるを得ない状況に追い込み、21人勧に基づく一時金削減をおこなおうとすることについても大きな矛盾を生じさせている。

 私たちが意気高く2022国民春闘をたたかう素地は出来上がっている。国民の要求と私たちの要求が一致する今こそ、職場の要求と国民の要求を大切にし、全労連公務部会・公務労組連絡会が一体となって運動を強めよう。コロナ危機の今こそ大企業に莫大な内部留保をはき出させ、社会的責任を果たさせよう。

 公務員の一時金削減を阻止し、ケア労働者の賃上げを足掛かりに、大幅賃上げ・格差解消をめざそう。いのちとくらしを守る公務公共、教育を拡充させよう。参院選を視野に国民が主人公の政治を実現しよう。全労連・国民春闘共闘・地域労連に結集し、国民とともにとりくむ春闘を展開しよう。

 以上宣言する。

2022年1月26日

全労連公務部会第28回・公務労組連絡会第62回臨時総会