一時金引き下げの勧告を閣議決定

= 今年分は遡及して来年夏のボーナスを減額 =

 岸田内閣は11月24日、一時金を0.15月引き下げる21年人事院勧告の実施を閣議決定しました。公務労組連絡会は、ただちに事務局長談話(別記)を発表、コロナ禍のもと公務労働者の労苦を踏みにじる勧告実施の決定に抗議しました。

 これに先立つ22日、公務労組連絡会は内閣人事局との最終交渉を配置、勧告直後に提出した「人事院勧告の取扱いに関する要求書」の実現を求めるとともに、一時金の引き下げは断じて行わないよう強く迫りました。

「職員の奮闘に敬意を表する」と言いつつボーナスは減額

政府交渉

 内閣人事局との交渉には、公務労組連絡会の桜井議長を先頭に、宮下副議長、秋山事務局長以下幹事会8名が参加、内閣人事局は近藤総括参事官補佐ほかが対応しました。

 桜井議長は、「職員の労苦に報いる賃金改善、同時に民間に比べて低く、最賃をも下回る状態となっている初任給の大幅引き上げをはじめ、育児休業に関する意見の申し出にもとづく法改正など、休暇・休業制度の改善を求める」とのべ、要求書に対する最終回答を求めました。

 近藤総括参事官補佐は、「みなさんが日々、国民の命と暮らしを守るため、新型コロナウイルス感染症対策などに奮闘していることに敬意を表する」とのべつつ、以下の通り回答しました。

● 本年度の国家公務員の給与の取扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、検討を続けた結果、勧告どおり期末手当の支給月数を引き下げ、令和3年度の引下げ相当分については来年6月のボーナスから減額して調整することが決定される方向です。

 その上で、給与改定及び育児休業に係る法律案の策定を進めてまいりたいと考えております。

● 本日の回答は以上です。職員の皆様には、今後とも、国民の信頼に応え、行政の効率的な運営に努めていただきたいと思います。

一時金の引き下げには最後まで反対する

 この回答に対して公務労組連絡会側は、「政府として、賃金の引き上げこそ重要だとのメッセージを発信するのであれば、一時金のマイナスとなる勧告どおりの取扱い決定は、マイナスのイメージを広げるだけだ」「来年6月に一時金から減額調整することは、不利益の遡及であり、到底認められない」「コロナ禍での奮闘に敬意を表するとしながら、一方では2年連続の一時金の削減を強行する。言っていることとやっていることが違う」などと内閣人事局を厳しく追及しました。

 近藤総括参事官補佐は、「様々なご意見をしっかりと承りました。引き続き意思疎通に努めてまいりたい」との回答にとどまりました。

 桜井議長は、「回答は認められない。灯油やガソリン価格の高騰で、国民生活が悪化している。公務労働者の賃金は、地域経済にも大きな影響を与える」とのべ、一時金の引き下げの人事院勧告を実施しないよう重ねて求め、最終交渉を閉じました。

以 上


21年人事院勧告の取り扱いの閣議決定にあたって(談話)

2021年11月24日

公務労組連絡会事務局長 秋山 正臣

 政府は、人事院が8月10日に行った一時金の0.15月引き下げを求めた21年人事院勧告の実施を本日閣議決定した。コロナ禍で奮闘する公務労働者の労苦に報いず、多くの職員の生活悪化につながるものであり、厳しく抗議する。

 公務労組連絡会は、勧告直後に政府に対して要求を提出し、職場の実態をふまえた追及を行ってきた。

 公務員賃金は約770万人の労働者に直接影響するものであることを示し、最低賃金を下回る初任給改善をはじめとした賃金の改善とともに、地域経済を活性化させるためにも地域間格差を是正するよう求めてきた。

 また、非常勤職員の処遇改善について、休暇制度の拡充や雇用の安定を強く求めてきた。両立支援に関わって一定の改善ははかられたものの、引き続き「同一労働同一賃金」を公務職場で実現を強く求めた。

 しかし、政府の対応はわたしたちの要求にはほど遠いばかりか、一時金を引き下げるものであり、断じて認めることができない。

 公務労働者の雇用と年金の確実な接続では、2023年度から定年引き上げが実施されることとなったが、地方自治体での条例制定などはまだ進んでいない。

 待ったなしの課題であり、地方自治体における条例制定に向け、政府として速やかに具体的な助言・支援を行うよう求める。また、各地方自治体では、労使協議を丁寧に行い、制度の導入が円滑に進められるよう真摯な対応を求める。

 なお、国・地方自治体ともに、定年引き上げに伴って定年退職者が生じない年が発生する。行政体制を確保するためにも、新規採用者の計画的な採用が行われるよう特別の措置を強く求める。

 本日の閣議決定を受け、給与法改正法案等が国会で審議されることとなるが、公務労組連絡会は、法案の成立反対を訴え、国会行動にとりくむ。先進国のなかで最も少ない人員体制のもと、非常勤職員を含む公務労働者の奮闘によって公務・公共サービスが支えられている。国会審議では、現場実態などを踏まえ、公務労働者の賃金や処遇に対する誤解や偏見などを払しょくするため、政府として丁寧に説明するなど、国民の理解を広げるための対応を強く求める。

 同時に、国との均衡をタテにして地方公務員や独立行政法人職員の給与決定への介入・干渉を行わず、地方自治や労使自治の原則を尊重するよう求める。

 日本の労働者賃金は、国際的にも異常な低水準にとどまっていることが様々な角度から述べられている。経済対策としても賃金引き上げの重要性が語られている。

 公務労組連絡会は、2022年春闘も念頭に、国民全体の奉仕者であり、憲法擁護の責務を負う公務労働者として、国民生活擁護と憲法改悪阻止のたたかい、全国一律最低賃金制度の確立や賃金の底上げをめざし、引き続き全力をあげる決意を表明する。

以 上