新内閣発足を前に内閣人事局と交渉

= 人事院勧告の取り扱いをめぐって使用者責任を追及 =

 公務労組連絡会は9月27日、人事院勧告直後に提出した「人事院勧告の取扱いに関する要求書」の実現を求めて、内閣人事局と交渉しました。
 オンラインでおこなわれた交渉には、公務労組連絡会の桜井議長を先頭に、宮下副議長、秋山事務局長以下幹事会6名が出席、内閣人事局は大堀芳文企画官ほかが対応しました。

「勧告制度の尊重」の回答を何度も繰り返す

政府交渉

 はじめに桜井議長は、「10月4日から臨時国会が開会し、新内閣が発足する。どのような内閣になろうとも、われわれの要求には変わりはない。一時金の引き下げをおこなわず、使用者として、職員の労苦に報いる賃金改善を求める」とのべ、要求に対する検討状況についてただしました。

 これに対して、大堀企画官は以下のように回答しました。

● 本年の給与の取扱いについては、去る8月10日に人事院から国家公務員の給与についての勧告があったことを受け、同日、第1回の給与関係閣僚会議が持ち回りで開催された。

 同会議においては、労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立って、国政全般の観点から給与関係閣僚会議において検討を進め、早急に結論を出す必要がある旨、確認されたところである。

 今後、適切な時期に改めて給与関係閣僚会議が開催されることとなっている。

● また、育児休業の取得回数制限の緩和に関する意見の申出については、男性職員による育児の促進や女性職員の活躍促進を更に進めるための方策の一つとして申出がなされたものと認識しており、必要な対応を検討してまいりたい。

● 非常勤職員の処遇改善に関して、給与については、平成29年5月に行った各府省間での申合せに沿って取組みを行った結果、期末手当や勤勉手当について、令和3年度には、100%支給されることとなるものと認識している。

 また、休暇・休業についても、これまでにも育児休業等の取得や介護休暇の分割取得等を可能とする制度改正が行われるなど、着実に制度の整備を進めてきており、現在も本年8月に行われた非常勤職員も含む国家公務員の育児休業の取得回数の制限緩和についての意見の申出を踏まえ、必要な対応を検討しているところである。

 引き続き、非常勤職員の適切な処遇の改善に努めてまいりたい。

● 高齢期雇用に関して、定年の引上げに当たっては、皆様方の御意見も十分に伺いながら、制度を運用してまいりたい。

● 長時間労働の是正等については、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、
 ・ 業務の見直し・効率化や、部下職員の超過勤務時間見込みの事前把握等、管理職のマネジメント改革による超過勤務の縮減
 ・ テレワークやフレックスタイム制等による働く時間と場所の柔軟化
 等に取り組んでいるところ。

 これと併せ、長時間労働の是正には、職員の勤務時間を「見える化」した上で、適切な勤務時間管理を行うことが必須である。このため、各府省等は、「(国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための)取組指針」に基づき、
 ・ 業務端末の使用時間の記録等の客観的な方法による職員の勤務時間の把握
 ・ 管理職は部下の勤務時間並びに超過勤務の状況及び理由をリアルタイムで把握
を実施するとともに、これらを含む機能を備える勤務時間管理のシステム化を早期に実現し、職員の勤務時間を「見える化」した上で、必要な改善方策に取り組むこととなっている。

 引き続き、地方の現場の実情を含め、皆様方のご意見も伺いつつ、関係府省等と連携し、適切に対応してまいりたい。

● 国家公務員の労働基本権に関して、自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、こうした場を通じて引き続き意見交換をさせていただきたい。

使用者責任は見られず不満な回答

 中間回答を受けて、公務労組連絡会側は、賃金をはじめ、臨時・非常勤職員の処遇改善、定年年齢引き上げの実現、長時間労働是正へ大幅な定員増など、要求書全般にわたって追及しました。しかし、内閣人事局側は、「人事院勧告の尊重」との回答を繰り返し、長時間労働是正には、「増員ありきではなく、適正な勤務時間管理へ管理職がマネジメント能力が重要」、非常勤職員の休暇は、「人事院での検討を注視する」などの誠意のない回答にとどまりました。

 また、人事院勧告が影響をうける独立行政法人や地方自治体の賃金・労働条件については、「所管外でありお答えできる立場にはない」とのべるだけでした。

 最後に桜井議長は、「回答は不満であり、内閣人事局が使用者としての責任を自覚し、あらためて我々の要求を踏まえて、再検討するよう求める」とのべて交渉を閉じました。

以 上