開会のあいさつに立った全労連公務部会の宮下直樹代表委員(全教委員長)は、「新しい政治のあり方を選択する、歴史的な総選挙が近づいている。その中で、公務労組連絡会・公務部会の運動方針をねりあげ、よりいっそう団結を深める総会にしたい」と述べました。
議長団には、糀谷陽子代議員(全教)と清水敏行代議員(自治労連)を選出し、主催者あいさつに立った桜井眞吾代表委員(公務労組連絡会議長・自治労連委員長)は、コロナ禍のもと奮闘をつづける公務職場の仲間に敬意を表したうえで、「国民をないがしろにする政治が続けられている。公務公共、教育の拡充を実現させるには、悪政を根っこから変えることが必要だ。働き甲斐をもてる職場をつくるためにも、政治への転換にむけて奮闘しよう」と呼びかけました。
総会には、全労連・清岡弘一副議長、全労連民間部会・森田進日本医労連書記長、日本共産党・塩川鉄也衆議院議員の3名の来賓が駆けつけ、それぞれ激励のあいさつを受けました。その後、秋山正臣事務局長が、むこう1年間の運動方針案をはじめ議案を提案し、討論に入りました。
6単産6地方14名の発言(別記)を受けて、討論のまとめに立った秋山事務局長は、政治を転換するチャンスが生まれているなかで、公務労働者の要求実現に向けて奮闘する決意を表明しました。すべての議案が満場の拍手で採択され、総会宣言を採択してすべての議事が終了しました。
総会の締めくくりに九後健治代表員(国公労連委員長)が閉会あいさつを行ったあと、日巻直映代表委員(郵政ユニオン委員長)による団結ガンバローを三唱して、今後1年間、国民を守る公務公共サービスの拡充へたたかう決意を固めあいました。
【討論(要旨)】
公務労組九州ブロック
公務・公共体制の拡充にむけて、行政民主化の議論が必要。空港など公共交通が儲けの対象にされるもと、労働条件削減と安全軽視を生み出している。賃金格差の解消へ、九州ブロックとして地域手当廃止を要求していく。
大阪公務共闘
守口市の学童保育指導員不当解雇問題での全国的な支援に感謝する。吉村知事が保健所等に人を回さないなど、大阪府のコロナ対策は予算の0.2%しかなく、保健所の駐車場で一昼夜待機した事案もあった。総選挙で政治を変えよう。
滋賀県公務員共闘
県内19市町村のうち6つの自治体と懇談してきた。地域手当が支給される自治体に就職希望が偏ることや、ワクチンの供給が難しい実態を直に聞いた。地域最賃審議会では意見陳述が実現し、我々の意見が一定反映された。
愛知公務共闘
6月に夏季重点要求を提出。公務共闘で例年2月に開く集会を8月に実施し、コロナ禍のなか職場がどうなっているのかなど出し合った。情勢学習を兼ねて、12月にはリモートでの定期総会を予定している。
東北公務関連共闘
11月に「東日本大震災から10年メモリアルセミナー」を開く準備をすすめている。岩手、宮城、福島から復興の課題と問題点を出し合い、交流を深めて今後に活かしたい。復旧復興はいまの体制では不十分だということも集会でアピールしたい。
北海道公務共闘
教員の1年単位の変形労働時間制の制度化の動きに対して、矛盾を追及し、実質的に無効化させた。適用しているのは3万人の教職員中5人に満たない。寒冷地手当(越冬手当)を再任用職員や非常勤職員への支給を求めてたたかっている。
自治労連・高柳副委員長
自治労連がとりくんだ『国民のいのちと健康を守るための国会請願署名』では、保健所の拡充を求める声が6割超えて寄せられた。多くの住民が公務・公共サービス拡充を願っていることがあらためてわかった。総選挙で奮闘する決意だ。
全教・波岡副委員長
教育現場のデジタル化で、4月から小中学校で「1人1端末」が始められている。ネットでの中傷、パスワードの管理など危険性があるなかで、一度立ち止まって考えるべき。児童の個人情報流出なども不安だ。
国公労連・浅野書記長
公務員賃金と地域経済は、密接な相互作用があり、賃金と生活保護など社会保障をセットで地域間格差の解消を求めていく必要がある。春闘や最賃運動などの社会的な賃金闘争に結集すること、労使間の交渉力強化なども重要だ。
全教・檀原書記長
各政党会派との懇談をすすめてきた。基本的人権の保障や国民主権が問われており、懇談を通じてもそのことが明らかになっている。総選挙間近のなか、市民と野党の間で共通政策が確立された。まともな政治の実現へ奮闘する決意だ。
郵政ユニオン・大沼中執
「20条裁判」で最高裁の勝利判決を勝ち取り、判決をうけて会社は9月に見直しの基本的考え方を発表した。無期転換への期間短縮、休暇制度の改善などが提案される一方、正社員の処遇引下げもねらわれている。改悪を許さずたたかう。
日本医労連・佐々木委員長
コロナ感染の第6波が予測されるなかで、医療従事者を増やす必要がある。濃厚接触者であっても一定の基準を満たせば働けるとの厚労省の指針は、医療従事者の負担を増やすばかりでしかなく、怒りしかない。
特殊法人労連・岡村事務局長
社会保険診療報酬支払基金では、無理な転勤・通勤で離職者を出さないように交渉している。民事法務協会労組では市場化、労働条件引き下げに反対し、学生支援機構労組は、すべての学びを保障する教育の無償化を求めている。
自治労連・佐賀中執
自治体の役割発揮には、職員のいのちと健康を守る必要がある。会計年度任用職員の処遇改善、定年延長など、だれもが安心して働ける環境整備も追及していく。住民のためにいい仕事がしたいという思いに応えられる職場と地域づくりに奮闘する。
今も新型コロナウイルス感染拡大や自然災害への対応で昼夜を分かたず奮闘している公務公共の職場で働くすべての仲間に敬意を表する。
全労連公務部会・公務労組連絡会は本日、全労連公務部会第27回定期総会、公務労組連絡会第61回定期総会を開催した。そして、この一年間のたたかいを総括するとともに、国民のいのちやくらし、教育を守り、働く仲間を支えるための賃金や労働条件の改善にむけてたたかう2021年度方針を確立した。
いま、公衆衛生や医療現場をはじめ多くの公務職場で過労死ラインを超える長時間労働がまん延し、「仕事を辞めるか死ぬか」という究極の選択を迫られる事態に直面している。これは、新自由主義政策のもとで公務員の定員削減やアウトソーシングによって公務公共を脆弱にした結果である。
政府は「骨太の方針2021」で「感染症に対し強靱で安心できる経済社会の構築」として行政体制の強化も掲げている。しかし、その中心は財界が求める「デジタル化」や柔軟で多様な働き方といった新自由主義的な経済政策の推進である。今こそ国民一人ひとりのいのちやくらしが大切にされる社会の実現と、それを支える公務員の大幅増員や非正規公務員の正規職員化、公務公共業務の拡充と体制強化、再公営化をめざす。
8月10日、人事院は職員の奮闘に背く2年連続となる期末手当削減を勧告した。また、俸給表改定は据え置きとなり、最低賃金の加重平均が930円に引き上がるもと、高卒初任給は時間額897円のままとされ、最賃を下回る自治体が340を超えるに至っている。初任給は民間を大きく下回っており、地域間格差も深刻となっている。こうした状況を放置していること自体、現行の給与決定の仕組みや人事院の限界を露呈している。公務員の賃金や労働条件の決定のあり方や労働基本権回復を含む抜本的な改善が必要である。
一方、国の非常勤職員の期末勤勉手当は7月に改善の方向を示され、8月勧告では「ライフイベントが生じることは常勤・非常勤といった勤務形態で変わるものではない」として育児・介護の休暇や休業等で前進した。引き続き、期末勤勉手当の改善、有給の病気休暇や更新に係る公募の廃止など、非正規公務員の均等待遇と安定雇用の実現にむけたたたかいを強める。
菅首相は自民党総裁選前に退陣することを明らかにした。これは、安倍政権から続く9年間の経済政策の破綻、コロナ感染拡大での無為無策、行政の私物化、公文書改ざん・隠蔽などによって多くの国民から信頼を失い、世論によって追い詰められた結果である。
この秋の総選挙は、自公政権による国民犠牲の政治から国民・住民が主人公の政治へと転換できるチャンスである。市民と野党の共闘をさらに発展させ、憲法をいかし、国民一人ひとりが大切にされる社会の実現にむけて力をつくす。
全労連公務部会・公務労組連絡会は、職場からの奮闘によって切り開いてきた要求の前進や、公務と民間の広がりなど、この間の運動の到達点を確信に、組合員一人ひとりの要求前進はもちろんのこと、国民・住民のいのちやくらし、権利を守るため、職場・地域から全力をあげて奮闘する。
以上、宣言する。
2021年9月29日