主催者を代表して公務部会の桜井眞吾代表委員は、「民間・公務、高齢者・若年層の分断攻撃をはねかえし、団結して要求実現をしよう。そのためには非正規労働者を仲間に迎えることが一番大きな力となる。運動を広げるため本日のシンポジウムを成功させよう」とあいさつしました。
シンポジウムでは、コーディネーターの秋山事務局長は、公務部会・公務労組連絡会における非正規公務員をめぐるたたかいについて報告しつつ、各パネリストに発言を求めました。
◇ 自治労連 石川 敏明 書記長
会計年度任用職員制度~非正規職員なしで運営できない
昨年4月から会計年度任用職員制度が導入され、期末手当支給や慶弔休暇等が有給、育児休業などの改善がされた。一方、コロナ禍のもと、今年3月には多くの雇い止めがおこなわれるなど、信頼されるべき行政現場から不安定雇用労働者を生まないためにも、公務職場に無期転換のような制度が必要だ。今後、会計年度任用職員の勤勉手当支給、病気休暇や特別休暇の有給化、任用の無期転換などの改善が課題。引き続き賃金改善と雇用労働条件改善にとりくんでいく。
◇ 全教 壇原(だんばら)毅也 書記長
非常勤教職員のスクール・サポート・スタッフ、スクールカウンセラーが近年増えている。2020年度から会計年度任用職員に移行。非常勤教職員の任用は2012年の資料と対比してみても変わらない現状にある。「小さな政府」で教育予算を抑えてきたという教育政策によるものだ。教員不足が深刻化するもと、今国会では、国は地方に対して正規教職員を計画的・安定的に採用・配置するよう求めた付帯決議が衆議院文部科学委員会で採択されるなど、世論と運動は前進している。
◇ 国公労連 浅野 龍一 書記長
非正規職員の機械的な公募は「パワハラ公募」として、チームワークの悪化や多忙な年度末に問題が生じている。また、予算削減により人員数が確保できずに不安定雇用労働者の大量雇止めがおきる。公募はストレスをかかえる。非正規職員は、国の行政組織を担うためには不可欠な人材であり、人権侵害を是正させ、個人の人権尊重を図るため、公募制度は直ちに撤廃、無期転換制度をつくっていきたい。非常勤公務員にも労基法の適用を求める。
つづいて、2人のゲストパネリストから、労働法制や公務員制度の面から発言を受けました。
◇ 金沢大学 早津 裕貴 准教授(労働法)
公務員制度においては、無期雇用が「原則」であり、人事管理や財政的・定員管理の面からみて、公務の効率・能率な運営には正規雇用の拡充が基本だ。ドイツの連邦雇用局(日本の「ハローワーク」)は、9割を無期雇用にしなければならない決まりになっている。専門的な人が不安定な有期雇用であっていいはずがない。運動面では、国民の共感・理解をいかに獲得するのかが重要だ。無期を原則として公務員の安定雇用をめざしていかなければならない。
◇ 三多摩法律事務所 山口 真美 弁護士
自治体の公務員は常勤職員によって担われるのが原則であり、臨時・非常勤職員は、あくまで例外的・臨時的というのが建前だ。公務員の「任用」は、民間労働者の「雇用」にあたるかどうかが裁判上の争点になってきた。裁判では、任用とは任期を定めた法律上の関係であり、民間のような労働契約関係とは認められないとの判例がある。こうしたもとで、裁判官も動かしていく運動を進めてほしい。
フロアー発言では、全労連非正規センターの仲野智事務局長をはじめ、東京公務公共一般の斎藤誠一委員長、自治労連公務公共一般の松崎慎介さん、全教の波岡知朗副委員長、国公労連・国土交通労組の窪添書記次長から職場の現状が訴えられました。
最後に、公務部会の九後健治代表委員が閉会あいさつをのべ、非正規労働者の処遇改善は官民共通の思いであり、労働組合に結集しながら職場全体の運動をつくることを確認し、シンポジウムを終了しました。