はじめに宮下副議長は、国家公務員の定年引き上げにむけた現在の検討状況を質しました。内閣人事局側は、以下の通り回答しました。
● 国家公務員の定年の引上げについては、人事院から「意見の申出」(平成30年8月)がなされて以降、検討を行い、昨年の通常国会に「国家公務員法等の一部を改正する法律案」を提出し、審議未了・廃案となったところ。
● その後、法案の再提出に向けて皆様方のご意見も伺いつつ、検討を行ってきたところ、明日、4月13日に国家公務員の定年を段階的に引き上げるための、「国家公務員法等の一部を改正する法律案」が閣議決定される方向である。
● 国家公務員法等の改正法案の施行日は、令和5年4月1日として、現行の定年年齢を段階的に引き上げるスケジュール以外に昨年の法案(廃案)と変更はない。
【法案の概要】
1、定年の段階的引上げ
現行60歳の定年を2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げて65歳とする。
2、役職定年制の導入
(1) 組織活力を維持するため、管理監督職の職員は60歳の誕生日から同日以後の最初の4月1日までの間に、管理監督職以外の官職に異動させる。
(2) 役職定年による異動により公務の運営に著しい支障が生ずる場合に限り、引き続き管理監督職として勤務させることができる特例を設ける。
3、60歳に達した職員の給与
人事院の「意見の申出」に基づき、当分の間、職員の俸給月額は、職員が60歳に達した日後の最初の4月1日以降、その者に適用される俸給表の職務の級及び号俸に応じた額に7割を乗じて得た額とする。(役職定年により降任、降給を伴う異動をした職員の俸給月額は、異動前の俸給月額の7割水準)
※検討条項として、政府は、(1)60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、国家公務員の給与制度について、人事院において公布後速やかに行われる昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえ、定年引上げ完成の前に所要の措置を順次講ずること、(2)公布後速やかに評語の区分など人事評価について検討を行い、施行日までに所要の措置を講ずることを規定する。
4、高齢期における多様な職業生活設計の支援
(1) 60歳以後定年前に退職した者の退職手当
60歳に達した日以降に、定年前の退職を選択した職員が不利にならないよう、当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定する。
(2) 定年前再任用短時間勤務制の導入
60歳に達した日以降定年前に退職した職員を、本人の希望により、短時間勤務の官職に採用することができる制度を設ける。
これに対して宮下副議長は、「昨年の国会で廃案となって以降、繰り返し法案の早期提出を求めてきたところだ。ようやく国会提出に至ったことは、前進面として受け止める」としつつも、公務労組連絡会側は、同一職務につきながらも給与の7割への減額、地方公務員の定年延長にかかわる取り扱い、財源確保を含めた定員増への対応などの諸問題を追及しました。
内閣人事局側は、給与については人事院の「意見の申出」にもとづくものであり、適切であるとの回答を繰り返し、地方公務員の定年延長は国家公務員に準じて条例を改正する見通しであること、また、定員措置にかかわっては、各省庁の実状もふまえながら計画的な採用をすすめていくとの回答にとどまりました。
最後に宮下副議長は、「われわれの要求が反映されているとは言い難い。国会提出されれば、法案審議を注視するとともに、政府には引き続き改善を求めていく」とのべて交渉を閉じました。