中間回答からの前進なし きわめて不満な回答
= 21春闘統一要求で内閣人事局と最終交渉 =
公務労組連絡会は3月24日、21春闘統一要求をめぐって政府・内閣人事局との交渉に臨みました。公務労組連絡会から桜井議長を先頭に7名が参加しました。
交渉では、内閣人事局の大堀芳文総括参事官補佐が、統一要求書に対する最終回答を提示しましたが、不十分な回答への不満を明らかにしつつ、あらためて切実な要求をぶつけました。
賃金は「人事院勧告をふまえて検討」の回答にとどまる
桜井議長は、3月12日の中間交渉をふまえて、内閣人事局としての回答を示すように求めました。大堀総括参事官は、「本日は、大臣が多忙のため、私から、これまでの検討結果を踏まえた大臣の最終回答をさせていただく」とのべ、以下の通り回答しました。
【内閣人事局最終回答】
● 働き方改革については、現在、各府省において、超過勤務手当の確実な支払いの取組を進めているところである。しかし、最終的なゴールは、長時間労働を是正し、職員がやりがいを持って、高い成果を効率的に上げられるようにすることであり、それが優秀な人材の確保という次のステップにつながると考える。
各府省には、長時間労働の要因分析、廃止を含めた業務の見直し、人員配置・業務分担の見直しなどのマネジメントにしっかりと取り組むよう要請したところである。現場の実情を含め、皆様からもご提案をいただきながら、しっかりと前に進めるのでご協力をお願いしたい。
● 令和3年度の給与については、人事院勧告を踏まえ、国政全般の観点から検討を行い、方針を決定したいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行いたいと考える。
● 非常勤職員については、各府省申合せに沿った処遇改善を進めてまいりたいが、期末・勤勉手当の支給水準については、人事院に明確な考え方、具体的な統一基準を示していただくことが重要であり、それを踏まえた上で、人事院と連携しながら、対応を検討してまいりたい。
● 障がい者雇用については、障がい者が能力を存分に発揮して活躍できるよう、定着支援などに重点的に取り組んでまいりたい。
● 自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があることから、皆様と誠実に意見交換しつつ、慎重に検討してまいりたい。
今後とも職員団体とは誠意を持った話合いによる一層の意思疎通に努めてまいりたい。なお、その他の課題については、前回、私から申し上げたとおりである。
引き続く検討を求めて春闘期の交渉を締めくくる
回答に対して秋山事務局長は、「中間回答から前進的なものはなく、きわめて不満な回答だ」とのべたうえで、以下の点をあらためて追及しました。
○ 何よりも賃金の引上げ・底上げが求められている。そのためには、国として賃金を引き上げる政策が必要であり、コロナ禍のもと経済対策としての賃上げを政府として決断するべきだ。非常勤職員の処遇改善では、公募の廃止、病気休暇の有給化と年次有給休暇の採用時からの付与を強く求める。
○ 国民本位の行財政・司法、教育の確立では、現行の定員管理政策を改め、定員削減計画の中止、総定員法の廃止、専門的・恒常的非常勤労働者の常勤化などを求める。また、障がい者が働きやすい職場環境をつくるために、引き続きとりくみの推進を図るよう求める。
○ 高齢期雇用に関しては、直ちに定年引き上げの法案を提出し、今国会中での成立を求める。その他、公務員制度では、労働基本権の回復へ消防職員と刑事施設職員の団結権にかかわって、ILOに行動計画を提出するべく、労働組合との具体的な協議を求める。両立支援制度の拡充へ、男性を含めて育児休業が利用できる職場環境の整備、不妊治療に関する休暇制度の創設などをあらためて求める。
また、交渉参加者からも、自治体の保健所、医療現場などでの長時間労働の解消、教員の「1年単位の変形労働時間制」導入の問題をはじめ、統一要求に沿って具体的に内閣人事局を追及しました。
これに対して、大堀総括参事官は、「本日は、みなさまのご意見を伺うため、直接担当しているメンバーが揃って出席している。いただいたご意見をしっかりと受けとめて、今後とも意見交換していきたい」とのべました。
桜井議長は最後に、「コロナ禍のなかで培われてきた公務に対する国民の信頼が、高級官僚による不祥事に揺らいでいる。真相究明へ、政府としての責任を果たすよう強く求める。本日で春闘期の交渉は区切りをつけるが、あらためて人事院勧告および次年度予算編成にむけて、われわれの要求を提出する」とのべ、引き続き要求の実現へ真摯な検討を求めて、統一要求にかかわる最終交渉を閉じました。
以 上