- NO.1033 政府・人事院に春闘要求書を提出(2/18)
回答は不十分、政府の使用者責任を厳しく追及
= 春闘統一要求で内閣人事局と中間交渉 =
公務労組連絡会は3月12日、21年春闘統一要求書をめぐって政府・内閣人事局と中間交渉をおこないました。
コロナ感染予防をふまえて中間交渉はオンラインで実施し、公務労組連絡会から桜井議長を先頭に7名が参加、政府・内閣人事局は、大堀芳文総括参事官補佐以下、担当参事官補佐が対応しました。
公務の信頼回復へ接待問題の徹底究明を
交渉の冒頭、桜井議長は「接待問題で公務に対する信頼が大きく揺らいでいる。国民・住民との信頼関係があってこその公務だ」とのべ、政府をあげて早急に真相解明に全力をあげるよう訴えたうえで、春闘統一要求に対する現時点における中間的な回答を求めました。
これに対して内閣人事局側は以下の通り回答しました。
● 賃金・昇格等の改善について、国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
● 非常勤職員の雇用の安定・処遇改善については、平成29年5月に、非常勤職員の基本給・特別給・給与改定に係る平成30年度以降の取扱いについて各府省間で申合せを行っている。この申合せに沿って各府省で取組みを行った結果、期末手当や勤勉手当について、平成28年の内閣人事局の調査では2~3割弱の支給率であったが、平成30年度においては9割超の非常勤職員に対し支給されており、着実に処遇改善が進んでいる。皆様とも引き続き意見交換を重ねつつ、この申合せに沿った処遇改善が進むよう、必要な取組を進めてまいりたい。
● 国民本位の行財政・司法の確立に関して、障害者雇用については、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、障害者の多様な任用形態の確保、障害者雇用マニュアルの作成などにより、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んできたところ。
また、職場実習の実施や講習会の開催など、各府省における障害者雇用の推進に係る支援等にも努めており、今後とも、関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、取り組んでまいりたい。
● 高齢期雇用・定年延長に関して、国家公務員の定年の引上げについては、法案の提出について、検討を行っているところである。
● 民主的公務員制度と労働基本権の確立に関し、自律的労使関係制度については、国家公務員制度改革基本法第12条において「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とされている。
この自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたい。
人事評価制度については、各評語が付与される行動の明確化等による評語区分のレベル感の整理・徹底、上位評価及び下位評価を付与する場合の理由の記載の徹底など、評語区分の趣旨の徹底、評語区分の納得性及び制度への信頼感の向上を図っているところである。
また、人材育成等への一層の活用として、職員の能力開発やスキルアップ、さらには組織のパフォーマンスの向上につながるように指導・助言を行うための面談手法等、被評価者への指導に役立つ評価者訓練の充実等を図っているところである。
● 労働時間短縮、休暇制度など働くルールの確立に関し、長時間労働の是正については、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、これまでも、
・ 長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革
・ 業務の見直し・効率化や、部下職員の超過勤務時間見込みの事前把握等、管理職のマネジメント改革による超過勤務の縮減
・ テレワークやフレックスタイム制等による働く時間と場所の柔軟化
等に取り組んできたところ。
また、長時間労働の是正には、職員の勤務時間を「見える化」した上で、適切な勤務時間管理を行うことが必須であり、各府省等は、
・ 業務端末の使用時間の記録等の客観的な方法による職員の勤務時間の把握
・ 管理職は部下の勤務時間並びに超過勤務の状況及び理由をリアルタイムで把握
を実施するとともに、これらを含む機能を備える勤務時間管理のシステム化を早期に実現し、職員の勤務時間を「見える化」した上で、必要な改善方策に取り組むこととなっている。
引き続き、地方の現場の実情を含め、皆様方のご意見も伺いつつ、関係府省等と連携し、適切に対応してまいりたい。
● 両立支援制度の拡充、男女平等・共同参画の推進に関し、男女双方のワークライフバランス及び女性職員の活躍については、昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」等を踏まえ、本年1月に改正した「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」や、平成28年4月に施行された女性活躍推進法等に沿って、取組を進めているところ。
内閣人事局としては、これら取組指針等に基づき、各府省の取組を引き続きフォローアップし、その取組を促進させるようなサポートを行うことにより、職員のワークライフバランスを実現し、女性活躍の動きを更に加速してまいりたい。
● 健康・安全確保、母性保護等については、「国家公務員健康増進等基本計画」等に基づき、職員の能率増進のため、ハラスメントに関する研修・啓発の確実な実施や相談体制の整備等の取組を進めているところ。引き続き、各府省における基本計画の実施状況を把握し、必要な措置が講じられるよう取り組んでまいりたい。
なお、「国家公務員健康増進等基本計画」については、皆様方のご意見も踏まえて改正し、心の健康づくりに関する研修やハラスメント防止研修の強化等を図ったところである。
また、新型コロナウイルス感染症への対応については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等を踏まえ、人事院とも連携しながら、各府省に対し感染拡大防止に向けた取組を依頼してきたところ。引き続き、関係機関と連携しながら、適切に対応してまいりたい。
378時間の残業、コロナ対応の人員不足は明らか
中間回答に対して、秋山事務局長は「示された回答はきわめて不満だ」とのべ、公務労組連絡会側は以下の点を中心に追及しました。
○ 地域手当は市町村単位であり、隣接する市町村と格差が大きいところでは、人材流失が著しくなっている。公務員の賃金水準や地域間格差が、自治体の人材確保に大きな影響を与えている。地域手当は本俸に繰り入れ、地域間格差をなくすよう強く求める。
○ 非常勤職員の処遇改善では、病休の有給化と年次有給休暇の採用時からの付与を早急に求める。働きがいと優秀な人材を確保していくためにも、正規職員との格差是正が重要だ。また、恒常的な業務を担っている非常勤職員の雇用を安定させるためにも、公募は廃止せよ。
○ 昨年の通常国会で定年延長が廃案とされてから1年が経とうとしている。早急に法案を提出するよう強く求める。また、再任用者は大幅な賃金ダウンとなり、再任用で働きつづけようという気にはなれない。高齢者が社会で活躍できるようにするためにも、処遇改善は喫緊の課題だ。
○ 新型コロナウイルス感染症対策推進室で、超過勤務が月378時間の残業を行っていることが報道され、官房長官も異常実態を認めて直ちに改善が必要とのべている。コロナ対応においても、国全体として残業時間の上限を設けて健康管理するとともに、長時間労働の解消に向け、抜本的な人員体制の拡充を求める。
○ 不妊治療休暇・治療費補助にかかわって、厚生労働省では、育児・介護休業法の改正法案を国会に提出し、あわせて不妊治療に関する休暇の創設など職場環境の整備を促進することを求めている。地方では、国に先行して不妊治療に対する休暇制度や補助制度が各地で創設されている。国においても早期に実現せよ。
人員不足の解消に全力をあげてとりくめ
これに対して内閣人事局側からは、「地域手当は、民間実態調査にもとづく人事院勧告をへて、地域間の適正な給与配分を実現する観点から支給されている。人材確保のことも聞いている。ひきつづきご意見をうけつつ、議論していきたい」「非常勤職員の無期転換ルール制度化について、成績主義の根本基準により、常勤職員として採用するには、国家公務員法にもとづく採用試験によるとされていることから困難だ。病休の有給化や年休の付与等は、人事院の動向を注視したい」などの見解にとどまりました。
最後に桜井議長は、「来年度の国家公務員の定員が純増となっても、依然として公務職場の人員不足は解消されない。要求アンケートでも、賃金引き上げを求める声よりも人員増を求める声の方が高くなっている。利用者である国民・住民に不便をかけ、人員不足のもとで職員は歯がゆい思いをしている」とのべ、使用者として真摯な検討を重ねたうえで、最終的な回答を3月24日に示すよう求め、中間的な交渉を閉じました。
以 上