コロナ禍だからこそ大幅賃上げを実現しよう!

= 21春闘勝利へたたかう方針と要求を確立 =

 公務部会・公務部会は1月27日、都内で臨時総会を開いて21春闘にむけた運動方針と政府・人事院への要求を確立しました。
 緊急事態宣言のもとでオンライン併用となった臨時総会には、6単産・23地方組織からの代表、幹事会など総数75名が参加しました。活発な討論を通して、コロナ禍だからこそ大幅賃上げをめざそうと意思統一しました。

たたかいの成果を力に要求実現へ

公務労組臨時総会

 13時から開始した臨時総会は、九後健治全公務部会代表委員(国公労連委員長)が開会あいさつで、「政府のコロナ対策が後手に回るなか、公務・公共サービスを通じて、政治や経済を労働者・国民の手に取りもどす運動を全国津々浦々からまきおこそう」と述べました。

 主催者を代表して桜井眞吾公務労組連絡会議長(自治労連委員長)は、「9月の定期総会から4か月の間に、大阪都構想否決、『郵政20条裁判』勝利、35人学級実現など、たたかいで次々と大きな成果を得てきた。引き続き、住民との共同で要求実現を勝ち取ろう」と呼びかけました。

 来賓として全労連から小畑雅子議長があいさつし、「今春闘は公務労働者の出番。憲法を生かし、公務・公共サービス、教育の拡充へ奮闘しよう」と激励しました。民間部会を代表して生協労連の岩城伸副委員長があいさつし、日本共産党の塩川鉄也衆議院議員からはビデオメッセージが寄せられました。

 秋山事務局長による21春闘方針案の提案をうけ、討論では4単産・12地方組織から19人が発言(別記)し、満場一致で議案は採決されました。「21国民年春闘アピール(別掲)」を採択し、宮下直樹代表委員(全教副委員長)が閉会あいさつして、最後に会場・オンラインの参加者が一体となった団結ガンバローで締めくくり、21春闘を意気高くたたかう決意を固めあいました。

【討論(要旨)】

郵政ユニオン・谷川 紀子 中央執行委員
 5年もベアを出さない会社と対峙し、最高裁での勝利判決を力に、非正規労働者の処遇改善と正社員化へむけたたたかいを強化する。経常利益を増やすもと、会社に賃上げの体力はある。ストライキを構えて21春闘たたかう。

全教・檀原(だんばら)毅也 書記長
 財務省が抵抗するなか、世論の力で35人学級を勝ちとった。子どもたちの成長よりも政府・財界がねらう施策で、教育の利用がすすめられる危険性がある。学校で生き生きと働くためにも、全教の組合員であることの必要性を訴え、組織を大きくしていく。

国公労連・浅野 龍一 書記長
 「共有財産」としての公務・公共の社会的価値と、エッセンシャルワークとしての公務・公共の社会的役割発揮が求められている。21春闘では、『いのち・くらしを守る行政体制拡充運動』で奮闘する決意だ。

特殊法人労連・岡村 稔 事務局次長
 コロナ禍で学生の退学が増えるもと、無償教育が急務の課題だ。学支労は、無償化へのロードマップを示そうとしない政府に対して、13回目となる署名に取り組んでいる。教育を受ける権利は基本的人権であり、無償教育の実現にむけて奮闘する。

自治労連・小泉 治 中央執行委員
 実態調査と政策提言で厚労省・総務省を動かし、900人の増員を勝ち取った。病院・保健所の体制強化は住民の願いでもある。自治労連独自のハガキ署名は、愛知県などで好評で、滋賀では要求実現のツールとなっている。

全教・糀谷(こうじや)陽子 中央執行委員
 1年単位の変形労働時間制を、労使合意なくしてすすめることは許されない。北海道・徳島では条例制定が強行されたが、職場に変形労働時間を入れさせないとりくみを強める。地域での共同の取り組みもひろげ、『せんせいふやそう』の運動をさらにすすめる。

国公労連・西口 想 書記
 非正規公務員に民間同様に無期転換ルールの適用を求め、初めてのオンライン署名をとりくんでいる。非正規公務員の問題にかかわるマスコミ報道も増え、今国会の焦点となっている。組織化と一体で非正規公務員の安定雇用、正規化をめざす決意だ。

自治労連・佐賀 達也 中央執行委員
 大阪守口市の学童保育の民間委託で雇止めが強行されるもと、裁判闘争でたたかっている。被告企業が裁判を欠席するなど、社会的責任を果たさない不誠実な姿勢をとり続けている。

北海道公務共闘
 教職員の変形労働時間制が全国に先駆けて条例制定された。多くの問題がたたかいで明らかになっており、実施には様々な無理が生じる。最終的責任を学校と職員個人に転嫁することは許されない。導入させないため交渉を強める。

東北公務関連労組
 東日本大震災から10年となる。福島浜通りなど、帰還困難区域が多数あり、原発事故は進行中だ。原発は安いといわれていたが、多くの人が被災し、長期にわたり影響をおよぼす。再生可能エネルギーへの転換が求められている。

秋田県公務共闘
 会計年度任用職員導入により、新規採用者の賃金は800円後半で、地域最賃が昨年と同程度に上がっていたら最賃割れとなっていた。65歳まで働ける職場の実現にむけて、今働いている人の雇用継続を求めていく。

岩手県公務共闘
 震災から10年の節目に、自治労連は『3・11交流集会』を開催する。岩手では、全国災対連に結集しつつ、復興庁の存続や県立病院なくすなの訴えなど、住民本位の復興をめざす運動で県政を動かした。これからも住民本位の復興にとりくんでいく決意だ。

福島県公務労組連絡会
 県立病院の統廃合や県内14校を減らす総合管理計画がある。公務労働組合の役割が重要。賃金が東京に比べ20%も安い、年間100万円も低く、それほどの仕事の差があるのか。県民は流失するばかりだ。地域手当廃止を求める必要がある。

千葉県公務労組連絡会
 賃金の地域格差がひろがるなか、地域手当の廃止で本俸に繰り入れていくことが必要。千葉県内でも地域手当の高い地域に人が流れていく。21春闘では千葉県知事選もひかえており、重要なたたかいの場となる。

神奈川県公務共闘
 カジノ誘致反対のたたかいでは、住民投票を求める署名運動などの力で、反対多数であれば撤回すると横浜市長は表明した。一方で、議会は市民の請願を否決し、カジノを推進している。この間のたたかいを大きな財産に、撤回まで運動すすめる。

静岡県公務共闘
 公契約条例制定のたたかいでは、検討委員会設置の報道があったが、事業者目線で労働者保護の観点がなく、労働者委員が入る審議会がない、罰則がないことなど問題は多い。住民・労働者本位の条例となるよう議会要請等を強めていく。

大阪公務共闘
 大阪都構想の住民投票で勝利を勝ちとったが、松井大阪市長は、大阪府と大阪市の一体的運営で二重行政の解消、「副首都」の実現など住民の民意を踏みにじるものばかり提案している。大規模公共事業よりも、コロナ対策優先を求めてたたかいを強めていく。

山口県公務共闘
 自治体キャラバンを15年続けている。昨年秋には20自治体へ要請し、各自治体との懇談を深めてきた。会計年度任用職員の一時金が低額であること、フルタイムは採用しない方針もあるなどの実態が明らかになった。

公務労組九州ブロック
 コロナで職場の状況を知ることが厳しくなっている。テレワークで混乱する公務職場もある。コロナ禍で労働組合があってよかったと思えるような職場にしたい。21春闘では、低所得者の所得税減免、消費税減税など中小経営者と共闘をすすめる。

以上


2021年国民春闘アピール

 コロナ禍から国民のいのちとくらし、生業を守るため、全国の公務労働者が昼夜を分かたず奮闘していることに心から敬意を表します。すべての労働者の大幅賃上げ、生活改善と安定雇用、中小企業支援をめざす2021年国民春闘のたたかいがスタートしました。

 政府は、1月7日に東京都をはじめとする1都3県について緊急事態宣言を行いました。1月13日には、栃木県、愛知県、岐阜県、京都府、大阪府・兵庫県、福岡県も加えられました。1月18日には国会が召集されましたが、医療崩壊ともいうべき事態の進行や保健所機能も発揮できない状態となっています。菅首相は「自助」が基本と強弁し、多くの国民の命が奪われている事態に対し、冷酷な姿勢を続けています。このような政治に終止符を打たなければなりません。

 日本社会には、労働者と大資産家、中小零細企業と大企業、男女間や地域間など様々な格差が渦巻いています。正規と非正規の格差問題では、昨年10月15日に画期的な最高裁判決がなされ、全国の仲間を大いに励ましました。4月からすべての企業で同一労働同一賃金が原則となることから、格差是正を求めるたたかいが大きな焦点です。公務職場でも、無給となっている病休の有給化や手当の格差是正が大きな課題です。また、ジェンダー格差が社会に暗い影を落としています。この問題を解決することなしに社会の発展はありません。本春闘で前進を勝ち取り、人事院勧告につなげなければなりません。
 
 昨年の人事院勧告で一時金が0.05月削減されました。期間業務職員・会計年度任用職員の一時金も削減されたほか、独立行政法人などでも削減されました。コロナ禍のなか、国民のいのちとくらし、生業を守るため、公務・公共サービス、教育の現場で働く公務労働者の処遇引き下げに大きな怒りが寄せられています。

 財界は、新成長戦略としてアフターコロナでの新たな働き方を提起していますが、雇用によらない働き方や兼業・副業の拡大など、美辞麗句でごまかして労働者の権利を奪い取ろうとしています。今やるべきことは、労働者・国民を犠牲にして膨らみ続けている内部留保を吐き出し、下請けいじめをやめ、公正な取引を実現するなど、財界・大企業が社会的責任を果たすことです。

 東日本大震災からまもなく10年を迎えます。被災地では、原発の汚染水処理などの問題が立ちはだかっています。復旧・復興にほど遠い状態といわざるを得ません。国民・住民のいのちと暮らし、権利を守る公務労働者として、あらためて憲法を守りいかすたたかいに全力をあげましょう。国際的にも大きく遅れているジェンダー平等の確立と誰もが「8時間働けば人間らしく暮らせる」社会をめざし、大幅賃上げ、全国一律最低賃金制度の確立、臨時・非常勤職員の雇用安定と適正な処遇確保、安心して働き続けられる定年引き上げなどを求めましょう。

 声を上げれば社会は変わります。そのことは、国家公務員の定員純増、35人学級の実現、保健師の1.5倍化などが2021年度予算に盛り込まれたことでも明らかです。公務・公共サービス・教育の拡充を実現するため、職場・地域から共同を広げ、公務と民間、すべての住民・国民とともに2021年国民春闘を意気高く闘いぬきましょう。そのためにも、2月の地域総行動や最大の山場となる統一行動日(3月11日)をたたかい抜き、すべての組合員が何らかの行動に参加することを追求しましょう。

2021年1月27日

全労連公務部会第26回・公務労組連絡会第60回臨時総会