主催者を代表して公務部会の桜井眞吾代表委員は、「新型コロナで雇用を失い、生業が成り立たない危機的な状況がおきている。新自由主義の破たんは明らかだ。21春闘にむけて、均等待遇の実現へ団結してがんばろう」とあいさつしました。
東京法律事務所の滝沢香弁護士が、非正規雇用の格差是正に関わる一連の最高裁判決にかかわって、約1時間にわたり講演しました。講演では、非正規労働者をめぐる現行の法制度についてのべたうえ、最高裁判決の概要と問題点を解説しました。
滝沢弁護士は、名古屋地裁や大阪地裁などでも格差是正に関する裁判が進行中であり、パート有期法が来年4月から中小企業にも適用されることから、21春闘でのたたかいに期待を寄せました。
記念講演の後、郵政ユニオンから日巻直映委員長(公務部会代表委員)が「郵政20条裁判」のたたかいを報告し、「6年半のたたかいで画期的な判決を得た。判決は非正規労働者の格差是正に道をひらき、現在、未払い賃金や休暇の賃金相当額の支払いを求めている。判決を力に全非正規社員への手当の支払いや、就業規則改定を会社に求めていく。すべての非正規労働者の処遇改善に結びつけたい」と決意を込めて報告しました。
各単産からの発言では、国公労連の笠松鉄兵書記次長は、「非常勤職員の権利を確保するには、定員を抜本的に見直す必要がある。非常勤職員が組合に入ってみずから運動に参加するとりくみを強める」とのべ、定員削減で非常勤職員がいないと業務は回らないにもかかわらず、国公法・労働基準法・労働契約法の狭間に置かれ、雇用・労働条件が劣悪な実態を示しました。
全教の吹上勇人書記次長は、会計年度任用職員制度導入とコロナ禍が重なり、一斉休校で授業がなくなった非常勤の講師には賃金が支払われない事態が生じるもと、職場アンケートで全国状況を把握して、当局を追及したとりくみが報告されました。
オンラインで参加した自治労連非正規公共評議会からは、秋季年末闘争で生活関連手当の支給を団体交渉で求めているたたかいが報告されました。「正規・非正規の仕事の中味に違いはない。格差を放置することは民間・公務にかかわらず許されない。最高裁の勝利判決を活かせるようがんばる」と決意をのべました。
特殊法人労連の岡村稔事務局次長は、非正規職員が大幅に増えるなかで、組合規約を改正して組織化と均等待遇にとりくみ、夏季休暇や一時金の支給を勝ち取ってきたことが報告され、「裁判闘争に学んで、退職金制度も勝ちとっていきたい」とのべました。
最後に公務部会の秋山正臣事務局長は、「コロナ禍のなか、新たないたたかいを工夫していく必要がある。非正規職員がいないと1日たりとも仕事がまわらない。声を大きくし、当事者とともにたたかいをすすめていこう」と呼びかけ、集会を終えました。
【参考】メトロコマース・大阪医科大学の不当判決とは
非正規従業員に賞与(大阪医科大学)や退職金(東京メトロの子会社メトロコマース)が支払われなかったことの是非が争われた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は10月13日、不支給を「不合理とまでは評価できない」との判断を示した。いずれも二審の高裁判決は一定額を支払うべきだとしていた。(「日経」記事より抜粋)