憲法を生かして公務・公共サービス拡充を

= 公務労組連絡会・公務部会が定期総会を開催 =

 公務労組連絡会・公務部会は9月30日、全労連会館にて定期総会を開催しました。コロナ感染予防のためリモート出席した地方組織をあわせて、83名が参加しました。

 討論では、7単産・4地方組織から発言があり、運動方針を豊かに補強しました。また、新たに桜井眞吾自治労連委員長を公務労組連絡会の議長に選出しました。

コロナ禍のもとで公務労働の重要性を再確認

定期総会

 開会にあたって竹内清公務部会代表委員があいさつし、有馬理江子代議員(全教)と中本邦彦代議員(国公労連)を議長団に選出しました。
 主催者を代表してあいさつした公務労組連絡会の小畑雅子議長は、「『自助・共助・公助』と規制改革をかかげて菅内閣が発足するもと、いのちと暮らしを守る社会の実現、憲法を生かすたたかいを広げ、公務・公共サービス拡充のとりくみを強めよう」と呼びかけました。

 来賓として全労連の黒澤幸一事務局長、全労連民間部会の菊池和彦自交総連書記長、日本共産党の塩川鉄也衆議院議員からあいさつをうけました。

 その後、秋山正臣事務局長から運動方針案の提案があり、単産・地方組織の発言で議論を深めました。方針案が満場一致で採決されるもと、新たな役員体制を選出し、「総会宣言」(別記)を採択しました。最後に、九後健治代表員が閉会あいさつし、桜井新議長の団結ガンバローで総会を締めくくりました。


【討論(要旨)】

大阪公務共闘
 大阪都構想の住民投票が予定されているが、住民サービスの低下は明らかだ。去年4月に守口市の学童保育が民間委託され、団体交渉を拒否している。委託会社は学童保育の重要性を理解しておらず、金もうけを優先している。民間委託の可否が問われている。

山口県公務共闘
 4月から自治体キャラバンにとりくみ、アンケート調査をもとに懇談してきた。山口市庁舎前での宣伝などで問題を訴えてきた。1年単位の変形労働時間制の導入は、民間への波及も懸念され、公務・民間の共闘も進めていきたい。

愛媛県公務員共闘
 コロナ禍のなかで、公務が果たす役割の重要性が明らかになってきた。具体的な問題を明らかにして、署名なども通じて増員を勝ち取っていきたい。社保庁支援共闘総会を10月16日に開く。新たなステージでのたたかいへ原告を励ます。

滋賀公務共闘
 ある指定管理者施設で、非正規労働者の休業補償をしていなかったが、労働局からの通知で補償を勝ち取った。11月に自治体キャラバンを実施し、人事委員会勧告にむけては、国の勧告に先駆けて要求書を提出し、要求を前進させていくたたかいをすすめている。

特殊法人労連・花川議長
 コロナ禍でアルバイトもできずに学校をやめる学生も多いなか、学生支援機構労組は『奨学金の会』の運動を軸にとりくんできた。社会保険支払基金では、事務所の統合により遠距離通勤が強いられるなど、コロナ禍のなかで問題がひろがっている。

日本医労連・佐々木副委員長
 PCR検査の拡充、財政保障など厚労省へ要請してきた。『命守るキャラバン行動』をすべての自治体でとりくむ。国による地域医療構想の見直しを求め、北海道の岩見沢総合市立病院、神戸の六甲病院などの統合再編を許さないたたかいに全力をあげる。

自治労連・蛯名(えびな)中執
 コロナ感染拡大で、自治体の果たす役割が明らかになった。困難なかで職務につく組合員の声を、厚労省・総務省にぶつけて前進を勝ち取ってきた。国の人事院勧告が見通せないもとだが、地方での確定闘争を重視し、人勧待ちにならずに秋季年末闘争を強めていく。

全教・糀谷(こうじや)中執
 4千人の実態調査アンケートでは、7割以上が超過勤務の上限時間をこえている。無理を承知で1年単位変形労働時間制導入を強行している。コロナ禍のもと、子どもの学びと育ちを守るためにも少人数学級が必要だ。『先生増やそう』のたたかいを強める。

郵政ユニオン・谷川中執
 郵政職場の非正規労働者は、全国で約20万人が働いている。同じ仕事なのに、正規・非正規の違いで賃金など待遇の大きな格差がある。格差是正を求める『20条裁判』が、10月15日に最高裁判決が出される。勝利判決を勝ち取り、非正規労働者の現状を変える決意だ。

国公労連・浅野書記長
 一時金を先行させた人事院勧告が想定されている。月給とボーナスの分離勧告はおかしい。初任給が法定最低賃金を下回るもと、低賃金を固定させてはならない。賃金の地域格差の拡大は重大であり、全国一律最低賃金の運動と切り結んで格差解消へたたかう。

自治労連・高柳副委員長
 検査数だけを増やしても、保健所が対応できなければコロナ感染防止にはつながらない。実態調査にもとづいて発表した、保健所の体制強化を求める提言を活用していきたい。自助・共助では新型コロナから住民を守れない。悪政をやめさせるために奮闘する。

全教・檀原(だんばら)書記長
 教育予算を拡充するためにも、『教育全国署名』をひろげたい。「ニューウェーブ」の運動の一環として全国交流集会を開催。若い教職員が大勢参加し、とりくみのなかで全教への信頼が増している。組合員との対話が重要だ。

福祉保育労・澤村書記長
 福祉労働者もエッセンシャルワーカーであり、コロナ禍のもとで接触や密が避けられない仕事をしている。安心して働け、安心して介助が受けられる環境を作るのが国の責任だ。集まって話せる機会がつくれないなか、労働組合の存在がますます大切になっている。

以 上



総 会 宣 言

 全労連公務部会・公務労組連絡会は本日、全労連公務部会第25回定期総会、公務労組連絡会第59回定期総会を開催し、この一年間のたたかいを総括するとともに、2020年度方針を確立した。総会では、国民のくらしや権利、安心・安全を守る公務労働者の責務を全うし、憲法改悪を許さず、国民犠牲の政治からの転換にむけ、全国の職場・地域から全力でたたかう決意を固めた。

 新型コロナウイルスの感染拡大や頻発する自然災害などが、公務・公共サービスの脆弱性をあらためて浮き彫りにした。その解決策として政府は「骨太の方針2020」で「次世代行政サービスの強力な推進」を掲げ、財界が求めるデジタル化やマイナンバー制度の「抜本改善」・普及などを推し進めるとしている。本来必要なのは、こうした「新自由主義」的な政策ではなく、増員や必要な体制確保などをはじめとする公務・公共サービス・教育の拡充である。「公務・教育の拡充実現3カ年計画」を総人件費抑制政策の対抗軸として打ち出し、その実現にむけて全力をあげる。

 20年人事院勧告の見通しがたっていない。新型コロナウイルスなどへの対応に感染の不安も抱えながら昼夜を分かたず奮闘している公務労働者の労苦に報いる勧告を求めていく。同時に自然災害やコロナ禍であえぐ労働者・国民への充分な保障など、政府の責任も追及していく。

 他方、郵政労働契約法20条裁判も大詰めを迎えている。非正規労働者の均等待遇実現にむけて負けられないたたかいである。裁判勝利ともあわせて、今勧告で臨時・非常勤職員の均等待遇と安定雇用実現にむけたたたかいを強める。

 日本政府は、労働基本権回復にむけた協議のテーブルにもつかず、ILOからの再三の勧告を無視しつづけている。また、行政の私物化、公文書改ざん・隠蔽などに見られるように行政が歪められ、公務員も一部の奉仕者へと変質させられてきている。
 国民・住民本位の行財政・司法、子どもが主人公の教育実現にむけて労働基本権回復をはじめ民主的公務員制度の確立は避けて通れない課題であり、職場からの学習をすすめながら、その機運を高めていく。

 菅政権が「安倍政治」の継承を明言したもとで、解散総選挙がいつ行われてもおかしくない状況となっている。新自由主義の暴走を許すのか否かが、政治の対決軸となるなかで、国民犠牲の政治から国民・住民が主人公の政治へと転換し、そして私たちの要求を前進させるチャンスがめぐってきている。
 市民と野党の共闘をさらに発展させ、憲法を守り、いかし、誰もが8時間働けば人間らしく暮らせる社会の実現にむけて力をつくす。

 全労連公務部会・公務労組連絡会は、職場からの奮闘によって切り開いてきた要求の前進や官民共同の広がりなど、この間の運動の到達点を確信に、組合員一人ひとりの要求前進はもちろんのこと、国民・住民のいのちやくらし、権利を守るため、職場・地域から全力をあげて奮闘する。

 以上、宣言する。


2020年9月30日

全労連公務部会第25回・公務労組連絡会第59回定期総会