公務労組連絡会は10月7日に人事院勧告が行われたこと受け、勧告の取り扱いにかかわって内閣人事局と交渉しました。8日には、厚生労働省・財務省に賃金・労働条件の改善を要請しました。
また、地方人事委員会の勧告にかかわって、9日に総務省に要請するとともに、全国人事委員会連合会(全人連)に要請書を提出しました。
内閣人事局との交渉は、公務労組連絡会から桜井議長を先頭に宮下副議長、秋山事務局長、吹上事務局次長らが参加、内閣人事局大堀芳文参事官補佐が対応しました。
桜井議長は、「公務員賃金等に関する要求書」(別添)を手交し、「一時金の勧告と人事管理報告という異例のものになったことは大変遺憾だ。現場を支えている多くの職員の労苦に応えるよう賃金改善すべきだ。臨時・非常勤職員の処遇改善も見送られた。均等待遇の点から、使用者として改善にむけて努力せよ」と求めました。
秋山事務局長は、要求書の各項目にわたって、勧告が出たことを踏まえた重点要求を示しました。とりわけ、一時金を0.05月の引き下げは、処遇改善を求める公務労組連絡会の要求に背を向けるもので到底認められず、コロナ禍のもとで経済の活性化をすすめる政府の政策にも冷や水を浴びせることとなり、勧告は実施すべきではないと強調しました。
交渉参加者からも、賃金・労働条件の改善とともに、「人事院の『人事管理に関する報告』のなかで、業務量に応じた要員を確保する必要があると一歩踏み込んでいる。要員確保は政府として喫緊の課題だ」「保健所や病院ではたらく仲間は、業務量の増加で現場は過重労働を強いられている」「教職員の全国アンケートでは、『休憩が取れない』が9割、『体がもたない』が6割と放置できない数字がでている」「要員確保が必要なところには、きちんと配置できるよう法改正せよ。公務労働者の役割をもっとアピールすべきだ」など、職場の実態を踏まえた要員の確保を迫りました。
大堀参事官補佐は、「本日、勧告が提出されたところであり、速やかに給与関係閣僚会議の開催をお願いし、その取扱いの検討に着手したいと考えている。国家公務員の給与については、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢に立ち、国政全般の観点から取扱いの検討を進める。その過程においては、皆様方の意見も十分にお聞きしたいと考えている」とのべました。
財務省への要請は、主計局給与共済課長の高田秀樹課長以下、担当係長の4名が対応しました。桜井議長から要求書(別添)を手交し、賃金・労働条件の改善にむけた必要な予算確保へ、財務省として責任をもって措置するよう求めました。
高田給与共済課長は、「コロナ禍でのテレワークの推進や、不妊治療の保険適用など、優秀な人材を集める重要性からも『働き方改革』を進めることが必要であり、政府の中でもとりくみの議論が進んでいる。いただいたご意見もふまえて検討していきたい」とのべました。
厚生労働省への要請は、川口秀人労使関係参事官室参事官、辻調査官、稲葉課長補佐の3名が対応しました。桜井議長が厚労省への要求書(別添)を手交し、秋山事務局長、吹上事務局次長らが職場実態を踏まえた処遇改善へ、労働条件を所管する厚生労働省としての対応を求めました。
川口参事官は、「コロナ禍のもと、公務職場の負担が大きくなっており、差別や偏見を受けるなど、普段よりも大変な状況に置かれていることは承知している。マイナス人勧は歯がゆい思いだが、人事院勧告は基本権の代償措置として尊重するのが基本姿勢である」とのべ、意見を受け止めて検討を進めると回答しました。
総務省への要請は、西・吹上の各事務局次長、嶋林幹事が参加、総務省からは、自治行政局公務員部給与能率推進室の岩田補佐、同公務員課の池田補佐が対応しました。
吹上事務局次長が要請書(別添)を提出し、「一時金マイナス勧告を地方に押しつけず、会計年度任用職員を含む自治体労働者が、やりがいを持って働けるよう対応を求める」とのべ、コロナ対応で長時間労働を強いられている保健所など現場の奮闘に応えるよう求めました。
要請書に対して総務省側からは、「給与改定については、地公法の趣旨に則り、地方自治体の条例改正によるものと考える。会計年度任用職員については運用状況について調査中であり、実態もふまえて対応したい」などとのべました。
全人連への要請は、通常は、例年8月に開かれる全人連の会議にあわせ、全国から集まった各地の地方人事委員会の代表に要請を行ってきたところです。
しかし、この間、オンラインで全国会議が開かれてきたことなどから、事務局に別添の「地方人事委員会の勧告に関する要請書」を提出し、一時金引き下げ勧告に追随することなく、自治体職員の賃金を改善する勧告をおなうよう文書で求めました。なお、要請書は、全人連事務局を通して、全国の地方人事委員会に送付されることとなっています。
これに対して、後日、全人連の青山会長より文書にて以下の通り回答が寄せられました。
【全人連会長回答】
この度の要請につきましては、確かに承りました。速やかに全国の人事委員会にお伝えいたします。
さて、10月7日、人事院勧告が行われました。本年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、民間給与の実態調査を例年より時期を遅らせた上で、2回に分けて行いました。そして人事院はボーナスについて月例給に先行して勧告を実施したところです。
その内容は公務が民間を上回ったことから、支給月数を0.05月分引き下げることとし、引下げ分は期末手当の支給月数に反映するとされております。
このほか、公務員人事管理に関する報告では、新型コロナウイルス感染症に係る人事院の取組、多様な有為の人材の確保・育成や、能力・実績に基づく人事管理の推進、勤務環境の整備、定年の引上げなどについて意見が述べられております。
国家公務員と地方公務員の立場の違いはありつつも、人事院の勧告は、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
今後、各人事委員会は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの実情等を勘案し、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
改めて申すまでもありませんが、各人事委員会といたしましては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしていくものと考えております。
全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。