公務労組連絡会は6月19日、自治労連・全教と共同して、自治体労働者・教職員の賃金・労働条件改善などを求めて、全国人事委員会連合会(全人連)に要請しました。
新型コロナウイルスの感染拡大のもと、例年、節目に開かれている全人連の全国会議は、インターネットを使った開催となっています。これに対応して、今回は文書による要請となりました。要請には、小畑議長と秋山事務局長が出席、人事委員会側は東京都人事委員会事務局長が対応しました。
はじめに、小畑議長は「要請書」(別添)を手交したうえ、「コロナ感染拡大のもとで、感染拡大防止や国民のいのちとくらしを守るため、不眠不休で奮闘する公務労働者の労働条件改善にむけて、人事委員会が労働基本権制約の『代償機関』としての役割を果たすよう強く求める」とのべつつ、初任給をはじめとする賃金の改善、会計年度任用職員、臨時・非常勤職員の労働条件改善を求めました。
また、出席をひかえた自治労連・全教からは、書面による要請をおこないました。
自治労連からは、「安倍政権のコロナ対策が遅れるもとでも、地方自治体で働く職員は正規・非正規を問わず、住民のいのちと暮らしを守るために奮闘している。とくに、公立病院や保健所の現場は、予算と職員が減らされるなかで限界を越えた業務遂行を余儀なくされている。新型コロナ感染拡大防止の最前線で奮闘する自治体職員の働きがいに応えるべく、要請書をふまえて要求の実現に全国の人事委員会は力を尽くすよう求める」ことなどを趣旨として要請しました。
全教は、「要請書」の項目4と7にかかわって、「消毒作業や清掃など感染防止に努めることや、子どもたちの心身のケア、学びを保障する授業の工夫など、全国の教職員は奮闘している。それに相応しい賃金水準が保障されるべきだ。第2波の恐れが指摘されるなか、40人学級に戻すことには大きな不安があり、全国すべての学校で20人で学べるために、教職員を増やすことと教室の確保が決定的に重要だ。また、この間の休校、学校再開のあわただしい動きを見れば、『1年単位の変形労働時間制』の導入の余地はない。新型コロナウイルスがあるなかでも、ゆきとどいた教育を実現できる学校をつくるために、人事委員会は教職員を増やすことを強く求めるべきだ」と強調しました。
これに対して、全人連からは以下のような回答がありました。
【全人連からの回答】
この度の要請につきまして、確かに承りました。
速やかに、全国の人事委員会にお伝えします。
さて、新型コロナウイルス感染症の拡大は、 世界経済に深刻な打撃を与え、人々の生活様式に大きな変容を迫るなど、社会経済に多大なる影響を及ぼしており、従来の常識では対応できないような時代の転換点を迎えております。
国内の経済状況 に目を向けると、5月の月例経済報告においては、景気について、「新型コロナウイルス感染症の影響により、急速な悪化が続いており、極めて厳しい状況にある。」との判断が示されています。また、先行きについては、「当面、極めて厳しい状況が続くと見込まれる。」としています。
また、民間における春季労使交渉の状況は、大手企業の回答状況について、米中貿易摩擦や消費税 率の引上げなどを背景として、定期昇給を含めた月額賃金の引上げは、前年を下回る回答であったと報道されています。一方、中小企業においては、賃上げの流れは継続しているものの、賃上げ額・率は昨年を下回る状況にあります。
さらに本年は、新型コロナウイルス感染症の拡大が企業業績にどの程度影響を及ぼしているか、 労使交渉の動きも含め、引き続き動向を注視する必要があると考えております。
民間における賃金の状況を的確に把握するために毎年実施している「職種別民間給与実態調査」について、本年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、例年より遅い6月29日から7月31日の調査期間で実施するため、現在、準備を進めているところです。
本日、要請のありました個々の内容は、各人事委員会において、調査の結果や各自治体の実情等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討していくことになるものと思います。
人事委員会の重要な使命は、中立かつ公正な第三者機関として、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した、適正な水準を確保することであると認識しております。
全人連といたしましては、今後も、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院などと十分な意見交換に努めてまいります。