定年引き上げのための国家公務員法等
改正法案の閣議決定にあたって(談話)

2020年3月13日
公務労組連絡会幹事会
事務局長 秋山 正臣

1、政府は本日、国家公務員の定年を引き上げるための「国家公務員法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。定年の引上げは、雇用と年金の接続を図るために措置しなければならない事項であり、速やかな措置を求めてきたわれわれの要求を反映したものであり、ようやく実現する方向となったことは一定評価したい。

2、法案の内容は、(1)現行の定年年齢60歳を2022年度から段階的に引き上げて、2030年度に65歳定年を完成させること。(2)60歳を持って管理職以外の役職に異動させる役職定年制を導入すること。(3)60歳に達した職員の給与を60歳に達した日の最初の4月1日以降、俸給を7割とすること。なお、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう2030年3月31日までに所要の措置を順次講じ、公布後速やかに評語区分など人事評価の検討を施行日までに行うこと。(4)60歳以降に定年前の退職を選択したものが不利とならないよう、当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定すること。(5)定年前再任用短時間勤務制度を導入すること。(6)検察官、防衛省の事務官等についても同様に定年を引き上げることとしている。

3、以上の内容には多くの問題点を含んでいる。最大の問題は、60歳に達した日以後の最初の4月1日以降、同じ職務を続けていても給与水準が7割に引き下げられることである。年齢のみを持って給与水準が引き下げられるようなことは断じて認められず、厳しく抗議する。

 加えて、役職定年によって降格した職員の処遇をめぐり、現場で混乱が生じる懸念が強いことがある。2030年度まで60歳以降の働き方には、定年延長者、特例定年による定年延長者、再任用短時間勤務者、暫定フルタイム再任用勤務者、暫定短時間再任用者が混在する。人事管理を含め、当局の責任で現場の混乱を回避するよう特段の対応が必要と考える。

4、もう一つ大きな課題は定員の問題である。定年延長により、定年退職者が発生しない年度が隔年で生じる。単純にいえば、当該年は新規採用者が行えないことが考えられる。就職氷河期問題が社会的にも大きな課題となっているが、将来の行政運営上、継続的な採用を行うことが必要だ。それは、新卒者の公務志望者が応募の機会さえもない事態を生じないことでもある。具体的な回答はされていないが、何らかの措置が必要だ。

 公務労組連絡会は、公務労働者の生活改善、公務・公共サービス・教育の拡充をめざし、憲法改悪反対、防災、感染症対策の強化など国民的な課題と結びつけ、本春闘で大幅賃上げなど諸要求前進めざし、全国の仲間とともに全力で奮闘する。

以 上

[関連資料]

 ○国家公務員法等の一部を改正する法律案の概要
 ○定年延長への「意見の申出」(2018年8月・人事院)
 ○NETニュースNO.971 定年引き上げに関する要求書を提出(2018.4.23)