公務員賃金の早期改善と地域間格差の是正で地域経済の活性化を
2015年人事院勧告の取り扱いの閣議決定にあたって(声明)
2015年12月4日
公務労組連絡会幹事会
1.8月6日の人事院勧告から4か月近くが経過した本日、政府は、0.36%の賃金改善と一時金の0.10月改善、「フレックスタイム制」の拡大にむけた勤務時間法「改正」を求めた15年人事院勧告の実施を閣議決定した。あわせて、国家公務員の雇用と年金の接続について、2013年に閣議決定した現行の再任用制度を継続することも決定した。
政府が使用者責任を果たさず、長期間にわたって勧告取り扱いを放置してきたことは、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を踏みにじるに等しいものであり、断固抗議する。
同時に、政府は、地方公務員の給与について、国家公務員の勧告取り扱いを決定する以前に改定することのないよう指導しているが、地方自治の原則にもとづき、不当な介入は行わず労使自治を尊重するよう求める。
2.賃金改善は、生活改善できる水準ではなく、「給与制度の総合的見直し」による2%賃下げの現給保障で多数の公務員労働者の実支給額は変わらないなど不満なものである。しかし、改善部分の実施は公務員労働者の最低限の権利であり、早期の実施を強く求める。同時に、政府は経済成長のために労働者の賃上げを打ちだしているが、地域経済を活性化させるためにも「公務員総人件費削減」や「給与制度の総合的見直し」を中止し、地域間格差を是正するよう求める。
「フレックスタイム制」の対象を全職員に拡大する勤務時間法「改正」は、公務職場の長時間残業を放置したまま変形時間制を導入するものに他ならない。ワークライフバランス実現とは裏腹に、長時間残業を助長し、不払い残業にもつながりかねないものであり容認できない。これは、安倍「雇用改革」による労働法制の改悪と一体であり、公務職場の体制拡充や長時間過密労働の是正と労働法制の改悪阻止にむけ、民間労働者とも共同したたたかいを強化するものである。
国家公務員の雇用と年金の接続にかかわって、2011年の人事院による意見の申出にもとづく段階的な定年延長の実現を求めてきた。政府は、再任用制度の継続を決定したが、「雇用と年金の確実な接続」が短時間や低賃金の再任用であってはならない。人事院が「公務員人事管理に関する報告」でフルタイム中心の勤務を求めていることも踏まえ、引き続き、定年延長の実現を求めるとともに、希望者全員のフルタイム再任用の確保にむけた政府の責任を追及するものである。
非常勤職員の処遇について、賃金の改善をはじめ休暇制度の拡充や一律公募制度の見直しを強く求めてきたが、今回の閣議決定では全く触れられなかった。政府として「一億総活躍社会」を打ちだしているもとで、自らが雇用する臨時・非常勤職員の劣悪な処遇を放置することは許されない。引き続き、最低時給1000円以上や雇用の安定など臨時・非常勤職員の処遇改善と均等待遇の実現をめざして奮闘する。
3.安倍政権は、憲法53条にもとづく野党の臨時国会開会要求を拒否し、原発再稼働やTPP「大筋合意」、辺野古新基地建設強行、マイナンバー制度や消費税増税問題など、国民の願いに反した悪政を強行している。一方、この間、戦争法廃止をはじめ、この悪政に反対する国民的なたたかいが全国各地で広がっている。
公務労組連絡会は、国民の人権保障を基本的任務とする行政や教育、公務・公共サービスの拡充と、非常勤職員をはじめ公務労働者の労働条件改善をめざすとともに、安倍政権の暴走政治を転換させる国民的な共同のたたかいに結集して引き続き奮闘するものである。
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