一般職の国家公務員給与法の成立にあたって(談話)
2024年12月17日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 香月 直之
1.第216回臨時国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で賛成多数によって可決・成立した。
法案の内容は、2024年人事院勧告にもとづいて、大卒初任給を23,800円、高卒初任給を21,400円引き上げるなど、若年層に重点を置きながら、全職員の本俸を改善、一時金を0.10月引き上げるものであった。
再任用職員も含めた全職員の賃金改善は、私たちの要求と官民共同の運動の反映ではあるが、物価高における生活改善には遠く及ばないものである。なかでも、中高年層の賃上げが僅かにとどまったことは、生活と労働の実態とまったく乖離しており、政府によって実質賃金の低下に歯止めをかける努力が求められている。
2.解散・総選挙という政治日程が影響したとは言え、公務労働者の生活を守る賃金改善が大きく遅滞したことは、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度の実効性が問われるものであり、きわめて問題である。法案審議において政府は、反省の意を表明したが、今後このような事態を繰り返すことのないように強く求める。
法案審議では、地域手当の見直しについて質疑が集中した。今回の見直しは、地域間格差を拡大し、保育など公的職場での人材確保等を困難なものにするという多くの指摘を政府・人事院は重く受け止めるべきである。人事院は、格差の圧縮を求める意見をふまえた検討を約束したが、労働組合との誠実な協議をすみやかに行うことを求める。
3.非正規公務員については、非常勤職員の給与に関する指針をふまえ、すべての職場で4月遡及実施が徹底されることを強く求める。あわせて、3年公募要件撤廃の趣旨をふまえて、すべての職場で安心して働き続けられる環境づくりをすすめる必要がある。
再任用職員については、支給対象の手当が拡大されたものの、基本給や一時金の抜本的な改善は行われなかった。政府は「同一労働同一賃金の更なる徹底」を「骨太の方針2024」にも掲げているが、俸給月額が3割削減される「60歳に達した職員」も含め、年金支給開始年齢まで誰もが安心して働き続けられるよう、不合理な格差の是正が早急に求められている。
4.2025年国民春闘のたたかいは、すでに始まっている。政府・人事院は、「人事行政諮問会議」の最終提言にむけて、能力・実績主義の強化、ジョブ型雇用の導入を狙っている。しかし、いま求められているのは、すべての公務員労働者が誇りを持って働き続けられる賃金・労働条件の確立であり、あらゆる格差の解消である。
公務労組連絡会は、民間労働者との共同のとりくみを強め、すべての公務及び関連する労働者の生活改善、公務公共サービス・教育の拡充、そして労働基本権の回復をめざし、全力で奮闘する決意である。
以 上