給与法改正法案の閣議決定にあたって(声明)
2024年12月9日
公務労組連絡会幹事会
政府は本日、「一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。自民党総裁選、新内閣発足、解散・総選挙という政治日程が影響したとは言え、公務労働者の生活を守る賃金改善が大きく遅滞していることは、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度の実効性が問われるものであり、きわめて問題である。
2024年人事院勧告の内容は高卒初任給を21,400円、大卒初任給(一般職)を23,800円引き上げるとともに、その他の職員についても昨年に続いて全体の号俸を引き上げるなど、私たちの要求を一定反映するものであった。また、通勤手当の改善や再任用職員の手当支給の拡大なども職場の切実な声を受け止めた結果といえる。
しかし、賃金改善は、燃料費や食料品をはじめとする物価上昇には到底及ばない不十分な額である。また、公務職場の実情を無視した地域手当や寒冷地手当、扶養手当等の見直しは、多くの職員に不利益を及ぼし、人材確保をさらに困難にするものである。
公務労組連絡会は、勧告直後に政府に対して要求を提出し、職場の仲間の声にもとづく追及を行ってきた。
公務員賃金の水準は、約900万人の労働者の賃金に直接影響することから、「物価上昇を上回る賃金の増加」を目指す政府として、全ての世代を対象とした大幅賃上げを決断すること、手当見直しによる不利益を生じさせない措置を講じること、そして非正規公務員の休暇制度の拡充や雇用の安定などを強く求めてきた。
しかし政府は「人勧尊重」の基本姿勢に固執し、勧告通り24年度の給与改定を行う方針を11月29日に決定した。
本日の閣議決定を受け、給与法改正法案等が臨時国会で審議される。業務量の増加と恒常な人員不足による長時間過密労働が蔓延するなか、非正規を含む公務労働者の奮闘によって日々の公務・公共サービスが支えられている。さらに、公務員採用試験の申込者数の減少や若手職員の退職者の増加などにより、公務における人材確保の厳しさは増している。
こうした厳しさを増す公務職場の実態をふまえ、政府として公務員賃金引き上げの重要性をていねいに説明するなど、国民の理解を広げるための対応を強く求める。
同時に、国との均衡などを盾にして、地方公務員や独立行政法人職員等の給与決定への介入・干渉を行うことなく、地方自治や労使自治の原則を尊重するよう求める。
公務労組連絡会は、25年春闘も念頭に、国民全体の奉仕者であり、憲法擁護の責務を負う公務労働者として、公共を取り戻し、あらゆる格差の解消、憲法改悪阻止、全国一律最低賃金制度の確立、そして政治の民主的転換をめざしてたたかう決意である。
以 上
(参考資料)
・公務員の給与改定に関する取扱いについて(24年11月29日閣議決定)
・内閣官房長官談話
・地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(総務副大臣通知)