23人勧通りに実施 給与法改定法案を閣議決定

= 公務労組連絡会が内閣人事局と最終交渉 =

 公務労組連絡会は10月19日、23年人事院勧告の取り扱いをめぐって政府・内閣人事局と最終交渉を行い、公務労組連絡会から桜井議長を先頭に、宮下副議長、香月事務局長以下幹事会7名が出席、内閣人事局から森田悠介総括参事官補佐ほか各担当者が対応しました。

 内閣人事局側は、20日の閣議において勧告通りの実施を決定し、給与法案ならびに勤務時間にかかわる法案を臨時国会に提出すると回答しました。
 交渉翌日の閣議決定をうけて、公務労組連絡会は幹事会声明(別記)を発表しました。

「勧告制度の尊重」を最後まで繰り返す

政府交渉

 最終交渉で桜井議長は、「人事院勧告の取り扱いをめぐって、8月から交渉を重ねてきた。その間も物価上昇が止まらないもとで、給与勧告にとどまらない賃金改善を繰り返し求めてきた。要求に対して誠意ある回答を求める」とのべ、政府の使用者責任を改めて追及しました。
 これに対して、森田総括参事官は、以下の通り最終回答を示しました。

<政府・内閣人事局の回答>
● 本年度の国家公務員の給与の取扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本姿勢の下、検討を続けた結果、明日(20日)、勧告どおり令和5年度の給与改定を行うことが決定される方向です。その上で、給与改定及び勤務時間に係る法律案についても決定されることとなります。
● 本日の回答は以上です。職員の皆様には、今後とも、国民の信頼に応え、行政の効率的な運営に努めていただきたいと思います。
● なお、給与以外の要求事項への回答については、先日、私から申し上げたとおりです。

政府の使用者責任まったく見られず

 この回答に対して桜井議長が、「国政の場では、賃上げした企業への減税さえ議論されているもとで、まずは公務員賃金の積極的な賃金引き上げこそ必要ではないのか。使用者としてそうした検討もなく漫然と勧告実施するのか」と強い不満を表明したうえ、香月事務局長はじめ交渉参加者から、さまざまな課題で政府の使用者責任を追及しました。

 森田総括参事官補佐は、「皆様方の御意見はしっかりと承った。引き続き、皆様方との意思疎通に努めてまいりたい」とのべるにとどまりました。

 交渉の最後に桜井議長は、「防衛予算は大幅な増額が見込まれている一方で公共サービスが手薄になり、公務の充実・強化が切に求められている。こうした予算の使い方が国民のためにプラスになっているとは思えない」とのべたうえ、給与法案等の国会での議論を注視するとともに、来春闘に向けて、政府・内閣人事局に対し、あらためて適切な時期に要求書を提出するとのべて、内閣人事局交渉を終了しました。

以 上

23年人事院勧告実施の閣議決定にあたって(声明)

2023年10月20日
公務労組連絡会幹事会

 政府は本日、国家公務員の0.96%の賃金改善と一時金0.10月改善、在宅勤務等手当の新設、フレックスタイム制の活用などを内容とした2023年人事院勧告の実施を閣議決定した。

 勧告内容は高卒初任給を12,000円、大卒初任給を11,000円引き上げるとともに、その他の職員についても若年層に重点を置きつつ全体の号俸を引上げるなど、私たちの要求を一定反映するものであった。

 しかし、燃料費や食料品をはじめとする歴史的な物価高騰による生活悪化の改善には到底及ばず、高卒初任給の引上げも地域別最低賃金を下回る地域が残されるなど、公務の魅力を取り戻すには不十分なものである。また、柔軟な働き方に関する措置は、業務の見直しや人員増を伴わなければ、長時間労働の実態を覆い隠すだけである。

 公務労組連絡会は、勧告直後に政府に対して要求を提出し、公務職場の実情をふまえた追及を行ってきた。

 公務員賃金の改善は、国家公務員のみならず900万人以上の労働者の賃金に直接影響するものであることを示し、「構造的賃上げ」に取り組む政府として人事院勧告を上回る大幅賃上げを決断し、17か月連続の実質賃金マイナスに歯止めをかけることを求めてきた。また「同一労働同一賃金の徹底」を掲げる政府として、非正規公務員の処遇改善と雇用の安定を率先して実現することを強く要求してきた。

 しかし政府は「人勧尊重」の基本姿勢に固執し、勧告通り23年度の給与改定を行うことを決定した。

 本日の閣議決定を受け、給与法改正法案等が臨時国会で審議される。業務量の増加と恒常的な人員不足による長時間過密労働が蔓延するなか、非正規公務員を含む公務労働者の奮闘によって日々の公務・公共サービスが支えられている。さらに、公務員採用試験の申込者数の減少や若手職員の退職者の増加などにより、公務における人材確保の厳しさは増している。

 こうした厳しさを増す公務職場の実態をふまえ、政府として公務員賃金引上げの重要性をていねいに説明するなど、国民の理解を広げるための対応を強く求める。

 同時に、国との均衡などをたてにして、地方公務員や独立行政法人職員等の給与決定への介入・干渉を行うことなく、地方自治や労使自治の原則を尊重するよう求める。

 公務労組連絡会は、24年春闘も念頭に、国民全体の奉仕者であり、憲法擁護の責務を負う公務労働者として、公共を取り戻し、あらゆる格差の解消、憲法改悪阻止、全国一律最低賃金制度の確立、そして政治の民主的転換をめざしてたたかう決意である。

以 上