賃金改善は「勧告尊重が基本姿勢」の回答に終始
= 夏季重点要求めぐり内閣人事局と最終交渉 =
公務労組連絡会は7月30日、夏季重点要求の実現を求めて、政府・内閣人事局との最終交渉に臨みました。交渉は、桜井眞吾議長を先頭に8名が参加しました。内閣人事局は、大堀芳文参事官補佐と担当参事官補佐らが対応しました。
公務労働者10万人分の願いを政府に届ける
東京をはじめ各地でコロナ感染者が急増するもとで、交渉はオンラインで実施され、はじめに、この間とりくんできた『公務・公共サービス、教育の拡充を求める署名』を提出。累計では10万人を超えて、100,730人分の署名が集約されました(写真は7月21日に署名を提出したときのもの)。
桜井眞吾議長は、「コロナ収束のめどが立たたず、一方で熱海市での豪雨災害をはじめ、各地で災害が発生している。地域住民のいのちと健康、安心・安全を守るため日々奮闘する職員の処遇改善と職場環境改善を求める」とのべ、最終回答を求めました。
これに対して、内閣人事局は以下の通り回答しました。
【内閣人事局の最終回答】
1、賃金の改善等
国家公務員の給与改定に当たっては、国家公務員の給与を社会一般の情勢に適応させるとの原則の下、人事院勧告制度を尊重することが基本姿勢と考えている。
給与改定については、人事院勧告も踏まえ、国政全般の観点に立って総合的に検討を行った上で方針を決定してまいりたいと考えている。その際には、皆様とも十分に意見交換を行ってまいりたい。
2、非常勤職員の雇用の安定・処遇改善
非常勤職員の処遇改善については、平成29年5月に、非常勤職員の基本給・特別給・給与改定に係る平成30年度以降の取扱いについて各府省間で申合せを行っている。この申合せに沿って各府省で取組みを行った結果、期末手当や勤勉手当について、平成28年の内閣人事局の調査では2~3割弱の支給率であったが、平成30年度においては9割超に改善し、未支給の府省に対して更なる働きかけを行ってきた結果、令和3年度には、100%支給されることとなるものと認識している。
引き続き、非常勤職員の適切な処遇の改善に努めてまいりたい。
3、国の責任による公務・公共サービス拡充
障害者雇用については、「公務部門における障害者雇用に関する基本方針」に基づき、障害者の多様な任用形態の確保、障害者雇用マニュアルの作成などにより、障害のある職員が意欲と能力を発揮し、活躍できる環境の整備に取り組んできたところ。
また、職場実習の実施や講習会の開催など、各府省における障害者雇用の推進に係る支援等にも努めており、今後とも、関係機関と連携しながら、各府省において障害者雇用が適切に進むよう、取り組んでまいりたい。
4、高齢期雇用・定年延長
定年の引上げに当たっては、皆様方の御意見も十分に伺いながら、制度を運用してまいりたい。
また、定年退職者の再任用については、引き続き平成25年3月の閣議決定に沿って、政府全体で着実に推進してまいりたい。
5、民主的公務員制度と労働基本権の確立
自律的労使関係制度については、国家公務員制度改革基本法第12条において「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする」とされている。
この自律的労使関係制度については、多岐にわたる課題があり、引き続き慎重に検討する必要があると考えている。皆様とは、引き続き意見交換をさせていただきたい。
6、労働時間短縮など働くルールの確立
長時間労働の是正については、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、これまでも、
・ 長時間労働を前提とした働き方を改める意識改革
・ 業務の見直し・効率化や、部下職員の超過勤務時間見込みの事前把握等、管理職のマネジメント改革による超過勤務の縮減
・ テレワークやフレックスタイム制等による働く時間と場所の柔軟化
等に取り組んできたところ。
また、長時間労働の是正には、職員の勤務時間を「見える化」した上で、適切な勤務時間管理を行うことが必須である。このため、各府省等は、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、
・ 業務端末の使用時間の記録等の客観的な方法による職員の勤務時間の把握
・ 管理職は部下の勤務時間並びに超過勤務の状況及び理由をリアルタイムで把握
を実施するとともに、これらを含む機能を備える勤務時間管理のシステム化を早期に実現し、職員の勤務時間を「見える化」した上で、必要な改善方策に取り組むこととなっている。
引き続き、地方の現場の実情を含め、皆様方のご意見も伺いつつ、関係府省等と連携し、適切に対応してまいりたい。
7、健康・安全確保、両立支援制度拡充等
本年3月の国家公務員健康増進等基本計画の一部改正により、管理職員、課長補佐、係長に加え、幹部職員、課長等への昇任時にも心の健康づくりに関する研修の受講を必修化するなど、研修の強化を図ったところ。若手職員に対しては、キャリア形成に資するカウンセリングやSNSカウンセリング等の手法を用いる等の支援を強化してまいりたい。
なお、パワー・ハラスメント防止対策については、昨年6月に施行された人事院規則等に基づき、各府省及び人事院において取組を行っているところであり、内閣人事局としては、各府省の取組を補完するため、e-ラーニング形式によるハラスメント防止講習を提供しているところ。
また、新型コロナウイルス対策については、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等を踏まえ、人事院とも連携しながら、各府省に対し感染拡大防止に向けた取組を依頼しているところ。引き続き、関係機関とも連携しながら、適切に対応してまいりたい。ワクチン接種については、接種しやすい職場環境の整備のため、人事院に検討を依頼していたところ、令和3年5月にワクチン接種する場合及び副反応が生じた場合に職務専念義務の免除を行えるよう、措置がなされているところ。
人事院勧告後にあらためて要求書を提出
回答をうけて、交渉団は賃金・労働条件の改善をはじめ、大幅増員、非常勤職員の処遇改善、労働基本権回復など多面的に内閣人事局を追及しました。
最後に桜井議長は、「われわれの要求とは隔たりが大きく、不満な回答である」とのべたうえ、目前に迫った人事院勧告を踏まえて、あらためて勧告の取り扱い等にかかわる要求書を提出するので、真摯な対応を求めて、夏季重点要求をめぐる政府交渉を締めくくりました。
以 上