全労連公務部会は2月22日、愛労連などとの共催で名古屋市において「国民生活と公務労働を考えるin愛知」を開催し、愛知県内を中心に約70人が参加しました。
集会では、山縣宏寿専修大学准教授の記念講演や、職場からの実態報告などを通して活発な討論が行われました。
主催者あいさつした公務部会の岡部勘市代表委員は、「安倍政権のもとで、公平・公正であるべき行政が歪められている。要員不足のために長時間過密労働が横行している公務職場の実態を、職場・地域から知らせていく必要がある」とのべました。
専修大学の山縣宏寿准教授から、「公務の民間委託の問題点と公務労働が地域経済に果たす役割」と題して記念講演を受けました。山縣准教授は、パワーポイントを使った多彩な資料・グラフを示し、委託による「コスト削減」は、地域経済から見ると大きなマイナスになることを、豊富な実例を挙げながら報告しました。
参加者からは、それぞれの公務職場の実態が報告されました。
(自治労連愛知県本部)
人件費抑制のために非正規職員への置き換えや民間委託が進み、自然災害の対応がうまくいかず、人災になっている。自治労連として非正規職員の雇用安定と処遇改善にとりくんでいる。行政サービス充実で安心して住み続けられる地域を実現していく。
(自治労連名古屋市職労)
7月の参議院選挙時の繁忙や児童相談所などで、職場がブラック労働化している。人事異動を拒否したいとの切実な相談も寄せられている。2020年から5年間の名古屋市の定員管理方針が出されたが、職場実態を示して人員増を勝ちとった。
(国公労連・国土交通労組)
増え続ける災害対応に、職員みずからも被災しても業務に従事している。人手不足で専門職でない場合でも支援に送り出される。知識がないなかで専門外の業務に回されることは問題だ。災害支援へ大幅増員が必要だ。
(国公労連・全労働)
約20人の職場で働いているが、正規職員は2人だけで、あとはすべて非正規の職員が仕事を支えている。非正規は1年ごとの更新で、3年目には必ず公募に応募しなければならなず、理不尽としかいいようがない。
(国公労連・全法務)
法務省は10%以上の定員合理化計画が継続されている。相続や遺言など新たな制度に人員はつけられたが、業務量は減っておらず、職場は過密労働だ。特に裁判に提出する書面作成などを担う訟務事務は膨大な事務量があり、さらなる人員確保が必要だ。
(愛知高等学校教組)
県立学校では、8人に一人が過労死ラインを越えて働いている。現場では、夏休みまで持たずに休職した教員もいる。休職者のうち7割近くが精神疾患であり、変形労働時間制よりも、教員を増やす方が先だ。人事評価制度の導入によって、職場に格差がひろがることは認められない
(全教名古屋)
精神疾患で休んでいる職員は、名古屋市が全国第3位だ。産休などの代替教員が確保できず、穴埋めに他の教員が駆り出されるため、多忙化に拍車がかかっている。「会計年度任用職員制度」の導入では、非常勤講師の時給単価はわずか4円引き上げられただけだ。
現場からの実態報告を受け、福祉保育労愛知、愛知医労連、「愛知地域労組きずな」の参加者からフロア発言があり、これらの報告や発言を受け、討論のまとめとして公務部会の秋山正臣事務局長は、「国民の人権を守るためには、公務労働者の基本的人権としての労働基本権回復が必要であることを再確認した。また、非常勤の問題も解決すべき点は多い。公務で働く非正規労働者にも無期転換が必要だ」とのべ、今後、労働基本権を考えるシンポジウム(4月25日)、非正規公務員シンポジウム(5月30日)を開催することを紹介しました。
愛労連の西尾美沙子副議長が閉会あいさつし、「住民のいのちとくらしを守るため職場を点検し、住民に訴えるためにも公務で働く仲間と手を取り合ってともにがんばりたい」との決意をのべて、集会を閉じました。