全労連公務部会・公務労組連絡会は1月29日、臨時総会を開催して20春闘方針と統一要求を確立しました。総会には、5単産29人、22地方組織23人、幹事会などをふくめて75人が参加しました。
討論では、各単産・地方からの活発な発言でたたかう決意がのべられ、公務・民間の共同行動ですべての労働者の賃上げ、職員の大幅増員をめざし、働きがいのある職場をつくることをしっかりと意思統一しました。
小畑雅子公務労組連絡会議長は主催者を代表してあいさつし、「20春闘では第一に改憲をストップさせるとりくみ、第二にいのちとくらしを守り、公務職場を個人の尊厳が守れる職場にするとりくみをすすめよう」と呼びかけ、すべての仲間の奮闘を呼びかけました。
全労連の長尾ゆり副議長、日本共産党の塩川鉄也衆議院議員が来賓として駆けつけ、塩川議員は、安倍政権の腐敗・退廃の実態を示しながら、国会で閣僚が支離滅裂な答弁に終始している現状をふまえ、国民の声で安倍内閣を退陣に追い込み、野党共闘による連合政権をめざす決意をのべました。
秋山正臣事務局長から春闘方針案と政府・人事院にあてた統一要求案が提案され、討論(要旨、別掲)ののち各議案は満場一致で採択されました。また、「2020国民春闘アピール」(別掲)を満場の拍手で採択しました。
最後に、岡部勘市副議長が閉会あいさつをおこない、小畑議長の発声による団結がんばろう三唱で総会を閉じました。
【発言要旨】
(1) 愛知公務共闘
2月22日に予定する「国民生活と公務労働を考えるフォーラムin愛知」にむけて、各団体を訪問して参加を要請した。教員の1年単位の変形労働時間制など公務労働者の働き方の問題点を訴えて懇談した。近隣の各県にも参加を呼びかけ、全力でフォーラムを成功させたい。
(2) 富山県公務共闘
医師の残業時間の上限規制が検討されている。看護師や検査技師にはすでに残業規制が入ったが、公的病院の統廃合がねらわれるもと、救急患者の対応ができなくなる集落が多くなる。民間委託の入札で、悪質な業者による低価格な落札が懸念される。
(3) 京都公務共闘
京都市長選が2月2日投票でたたかわれている。門川現市長は、公務の民営化や非正規化で職員を3,300人削減したことを自慢している。民間委託で100人以上の首切りをねらっており、公務公共サービスの低下は避けられない。福山和人候補の勝利へ、全国からの支援を訴える。
(4) 宮城公務関連共闘
県内18病院が統廃合のターゲットに上がり、震災復興の妨げになるばかりか、山間の小さな町の病院をなくそうとしている。看護師が採用を辞退することもおきている。筋ジストロフィーなど難病医療の切り捨ては許せない。国民のいのちと健康を守るため公務・民間の共同でたたかう。
(5) 青森県公務共闘
会計年度任用職員制度は、青森県内でも労働条件にばらつきがある。正規・非正規の分断を許さず、当事者を組織化してたたかうことが必要だ。教職員の人事評価制度では、優秀と評価されていたのは、たったの5人だけだった。当局追及を強める。
(6) 北海道公務共闘
道高教組は、会計年度任用職員になる一般職の非常勤職員の条件低下を一定押しとどめ、全大教北海道では、無期転換と同様に同一賃金を大学に求めてたたかっている。道国公は、非正規職員の交流集会を開くなど、道内の各組合が奮闘している。
(7) 大阪公務共闘
「大阪都構想」の住民投票が11月にもねらわれている。カジノなど大規模開発をやめさせるため、市民とともにたたかいたい。台風や集中豪雨があいつぐなか、1月末に住民と共同して「防災問題学習会」をひらく。20春闘勝利で安倍内閣の悪政をやめさせよう。
(8) 静岡県公務共闘
地域最賃は、隣接する神奈川が1,011円、愛知は926円なのに、静岡は885円だ。全国一律最賃1,500円をめざしてがんばりたい。「働き方改革」が叫ばれているが、台風の対応で月80時間を超える残業を3か月つづけたり、外部機関に派遣されるなど、みんな激務に耐えている。
(9) 公務労組九州ブロック
昨年9月の国公九州ブロック定期総会では、野党共闘の議員がかけつけ連帯あいさつした。行政を民主化するには安倍政権の退陣しかない。自治体の懇談などでは国公の組織が中心になっており、他組織とも連携して運動を進める必要がある。
(10) 岡山県公務共闘
岡山県の最低賃金は833円だが、隣県の広島は871円、兵庫は899円で、年間フルタイムで働けば大きな賃金格差となる。県境だと人が集まらないという問題も起きている。格差是正のために、最低賃金の引き上げ、全国一律最賃の実現にむけてたたかいたい。
(11) 長野県公務労組連絡会
生計費にもとづく賃金闘争にむけて、生計費調査は欠かせない。静岡県立大学の中澤准教授を招いて生計費の学習会を開いた。賃金・地域間格差など考える機会になった。長野市や松本市、塩尻市、諏訪市、伊那市が地域手当の支給地域となる一方、上田市は支給されないなど地域格差が生じている。
(12) 高知県公務労組連絡会
地域手当の格差が地域の人口流失につながっている。県内33市町村のうち48%が高知市に集中するなど、格差の問題を前面に出して運動をすすめる。高知県知事選挙では、野党が力を合わせて松本顕治候補が4割近くを獲得した。野党連合を視野に奮闘したい。
(13) 国公労連
国家公務員の定年延長の法案が、国会に提出される情勢にある。定年の段階的な引き上げと引きかえに高齢層の賃下げがねらわれ、役職定年制の導入で職場に混乱を生じさせる懸念が出ている。雇用と年金の接続、働きがいのもてる制度の実現を求めてたたかう。非正規職員の1年単位の雇用では、経験者、能力を十分生かせない。雇用不安から精神疾患もみられる。国公労連ではパンフ「非正規公務員を差別しないで!」を発行した。差別のない社会を実現しよう。
2009年の社保庁解体で525人が分限免職され、人事院判定で39人の職場復帰を勝ち取った。一方、裁判闘争では東京地裁で1人が勝利したものの、不当判決がつづき、昨年10月の秋田事案の最高裁判決で司法でのたたかいは区切られた。10年間にわたるたたかいへのみなさんの励ましや協力にあらためて感謝したい。
(14) 全教
「1年単位の変形労働時間制」に反対してたたかってきた。法律は成立を許したが、現場に持ち込ませない運動はまさにこれからだ。長時間過密労働の抜本改革は定数増だ。子ども一人に1台のパソコンが配付されつつある。教育の行き付く先を考え、一人の子どもも取り残さない教育をめざす。
全教が昨年とりくんだ「青年アンケート」では、約800人から回答が寄せられ、約3割でハラスメントが見られた。被害者は男性より女性が多く、管理職だけでなく同僚から受けることもある。育休からの復帰で肩身がせまいなどの声も寄せられた。長時間労働の解消へ「せんせいふやそうキャンペーン」を推進したい。
(15) 郵政ユニオン
「かんぽ生命」の不正営業には、高い目標設定のもとでの強いプレッシャーが背景にある。「労働契約法20条裁判」では、2月14日に全国一斉で集団提訴にたちあがる。厚い支援を要請する。20春闘は5年連続のベアゼロを許さず、格差是正をもとめて立ち上がる決意だ。
(16) 自治労連
NHKの「クローズアップ現代」で児童相談所の問題が取り上げられ、滋賀の近江八幡市や熊本の学校などの問題が報道された。同一賃金・同一労働、非正規の処遇改善に背を向けた自治体職場こそ問題がある。民間委託に地域から反対運動が起きている。自治労連は「誰でもどこでも1,500円以上」のたたかいに結集する。
地域の医療が再編統合され、自治体病院を減らそうとしている。再編統合の対象はきわめて恣意的であり、住民との共同のたたかいが必要だ。1月には学習会や要請行動もとりくんだ。いつでも・どこでも・だれもが必要な医療がうけられるよう、地域医療の拡充へ運動をひろげる。
(17) 特殊法人労連
定年延長にむけて各単組のでたたかいを強めたい。「奨学金の会」のとりくみでは無償教育の実現を求めて署名にとりくんでいる。旧動燃不当差別事件の裁判は、水戸地裁で21回の口頭弁論が行なわれ、生涯賃金で4千万円もの差が明らかとなっている。誤った労務政策、原子力安全神話に対して6人の原告はたたかっている。署名など運動への協力を要請する。
憲法改悪に執念をもやし、労働者・国民犠牲の政治を強行する安倍政権と対峙し、すべての労働者の大幅賃上げ、生活改善と安定雇用をめざす20国民春闘のたたかいがスタートしました。
森友・加計問題にくわえ、「桜を見る会」問題、IR汚職事件など、安倍政権による政治の私物化と忖度政治の横行など、政権政党や官僚の劣化が誰の目にも明らかになっています。年明けには、トランプ大統領の指示により米軍がイラン政府高官を空爆で殺害するという国際法違反の許しがたい暴挙が行われました。しかし、こうした緊迫した情勢のもとにおいても、安倍政権は中東沖への自衛隊派兵を閣議決定し派兵を強行しようとしています。今やるべきことは、閣議決定を撤回し自衛隊派兵を中止するとともに、アメリカのトランプ政権に対して、イラン核合意への復帰を求める外交努力をすることです。
2020年度政府予算案が閣議決定されました。消費税増税で深刻な打撃を受けている国民の暮らしには目もくれず、大企業優遇と大軍拡を推し進める予算案となっています。社会保障費の「自然増」は、診療報酬のマイナス改定などで1200億円削減され、さらに高齢者の医療費負担や介護利用料金負担増などがねらわれています。年金も「マクロ経済スライド」で2年連続の実質削減になっています。
新自由主義経済の「競争こそが発展の原動力」という利潤第一主義により、労働者と大資産家、中小零細企業と大企業、男女間や地域間の格差が拡大しています。一方で、大企業の内部留保は、安倍政権の6年間で333兆円から449兆円に膨れあがり、名目GDP増加分の2.26倍になっています。この6年間で労働者の名目生産性は49万円増加しているにもかかわらず、実質賃金は減り続けています。内部留保の増加によって経済の循環ができていないことが、労働者の生活と中小企業の経営を困難にしています。大企業の労働者を2万5000円賃上げするのに必要な内部留保の割合は僅か1.37%です。
今、労働者・国民の犠牲のうえで巨額の富を蓄積している大企業などに、下請けいじめをやめさせ労働者の大幅な賃上げや社会的責任を果たさせること、そしてそれを支える政治の方向を変えることが求められています。
多くの国民が、自然災害や格差拡大と貧困に窮するなか、公務・公共サービス、教育の役割がいっそう重要になっています。しかし、政府の公務員総人件費削減方針による定員削減で長時間過密労働が深刻さを増し、国民の安心・安全が脅かされています。
国民・住民のいのちと暮らし、権利を守る公務労働者として、あらためて憲法を守りいかすたたかいに全力をあげるとともに、真の働き方改革や全国一律最低賃金制度の確立、誰もが「8時間働けば人間らしく暮らせる」社会をめざし、2020年春闘での大幅賃上げ、臨時・非常勤職員の雇用安定、制度の趣旨に沿った会計年度任用職員の適正な処遇確保、安心して働き続けられる定年引き上げなどを求めましょう。さらに、公務・公共サービス・教育の拡充を実現するため、職場・地域から共同を広げ、公務と民間、すべての市民・国民とともに2020年春闘を意気高く闘いぬきましょう。
2020年国民春闘スローガンを高く掲げ、2月の地域総行動や最大の山場である回答集中日翌日(3月12日)の統一行動などに「一組合員一行動」を追求してとりくみを大きく広げましょう。
2020年1月29日