No.518
2005年3月4日
官民共同の「春闘総行動」に5,000人が参加
= 大雪のなか公務労組連絡会が第1次中央行動を展開 =
 公務労組連絡会は4日、05春闘の第1次中央行動にとりくみました。この日は、公務・民間の組合、青年・女性・パート労働者が総結集する「05春闘勝利3・4総行動」が、朝から都内各所で展開され、官民共同で開いた総決起集会には、5,000人の仲間が結集しました。
 昼過ぎまで雪が降り続くあいにくの天候でしたが、貸し切りバスで駆けつけた仲間をふくめ全国から集まった2,000人の公務労組連絡会の参加者は、人事院や総務省への要請行動、集会、国会請願デモで大奮闘しました。


中央総決起集会             
青年・女性・パートに光をあてる05春闘を

 前夜から日本列島上空に居座った大型の低気圧は、東京の3月としては記録的な大雪を降らせました。総決起集会の始まる正午近くになっても雪はやまず、集まった要員のみなさんの必死の除雪作業で、会場の日比谷野外音楽堂の通路だけは確保したものの、その上にまた新しい雪が積もっていく最悪の天気となりました。
 小やみなく雪が降りしきる悪天候をついて、公務・民間の共同の実行委員会が主催する「05春闘勝利・中央総決起集会」が、JMIU東日本鉄工支部のシンガーソングライター岡史明さんの歌「拳(こぶし)」でスタートしました。次に、関西ではテレビやラジオでおなじみの落語家、桂文福さんが登場し、相撲甚句や河内音頭にのせて「賃上げアップで景気回復めざしましょう」「春闘勝利でがんばろう」と呼びかけ、場内を沸かせました。
 大いに盛り上がったところで、主催者を代表して呼びかけ人の一人である日本医労連の田中千恵子委員長があいさつし、「これくらいの雪や寒さに負けるようでは、春闘は勝てない。今日は最悪の天気にはなったが、国民犠牲の予算案が衆議院を通過するという絶好の情勢のもとで開かれる集会だ。春闘50年の歴史と伝統を受け継ぎ、歴史的な05春闘にすることを誓い合おう」と呼びかけました。
 その後は、青年・女性・パートの仲間が協力した寸劇が披露され、そのなかで、全労連の小川青年部長(自治労連)、柴田女性部長(全教)らが決意表明しました。また、全労連・春闘共闘を代表して熊谷全労連議長が、「97年から6年連続で勤労者の所得がさがっている。そのうえ、政府は、定率減税の廃止で7兆円もの負担増をねらっている。賃上げ要求に執念を持ち持ち、怒りを集めてたたかおう。『もう一つの日本は可能だ』をスローガンにして春闘勝利に全力をあげよう」と激励の言葉をおくりました。また、「郡上一揆」などの作品で有名な映画監督の神山征二郎さんからの激励メッセージも紹介されました。
 医労連の女性グループは、大ヒット中の「マツケンサンバ」の替え歌で、「人権サンバ」を楽しそうに踊りながら披露し、エンディングではヴォーカルグループ「ゴスペルK」のリードによる「We shall overcome!」を全員で合唱し、05春闘での奮闘をともに誓い合いながら、集会の幕を閉じました。

人事院・総務省前                    
地方切り捨て、中高年を直撃する「給与構造の見直し」はやめろ

 ようやく雪が小降りになりかけた午後1時過ぎから、公務労組連絡会の参加者は、4か所に分かれて、各省への要求行動にむかいました。
 人事院前の要求行動では、主催者あいさつした堀口副議長は、「『給与構造の見直し』では、職場で重要な役割を担っているベテランの中高年層が、年収も退職金も大幅な削減になる。怒りを全国から巻き起こそう。生活と権利、働きがいと生きがいを守るたたかいで地域から人事院を包囲しよう」と呼びかけました。
 岸田国公労連書記次長の闘争報告では、人事院がねらう「給与構造の見直し」を中心に現状が報告され、「本日午前中、公務労組連絡会は午前中に署名を提出し、国公労連も午後に人事院と交渉する。本格的なたたかいはこれからだ。職場・地域から大きなたたかいをまきおこそう」と行動提起しました。
 職場からの決意表明では、「北海道は昨年寒冷地手当が削られたうえに、地域給与を引き下げる見直しはとんでもない。地方切り捨てを断じて許さず、住民に奉仕する仕事をやっていきたい」(国公労連全気象・葛西北海道地本書記長)、「静岡県評では、05年春闘要求書と全労連の統一要求を出してきた。地域給は、導入されたら大変なことになる。自治労連の20万人総学習運動を通して最後までたたかう決意だ」(静岡自治労連・大橋委員長)、「香川県独自の賃金カットと同時に社会保障費のカットもすすめられ、県政のつけが県民におしつけられている。独自の賃金カットを許さず140人の大交渉団で臨んだ。人事院は県民・子どもたちのために働いている我々の声を聞け」(香川高教組・安部委員長)などの発言が続きました。
 総務省前の要求行動では、公務労組連絡会の石元議長が主催者あいさつし、「『地域給』に反対する東北総行動はたいへん熱い集会だった。賃下げ、地域格差の導入に怒りがうずまいた。郵政民営化反対のキャラバンも成功させよう」と訴えました。
 その後、公務労組連絡会の柴田幹事・権利専門委員長が情勢報告に立ち、「総務省への要求は3つある。公務リストラに反対し、公務労働者と国民生活をまもること、公務員給与の削減を許さないこと、『三位一体改革』による地方財政危機からの人件費削減を許さないことだ」とのべつつ、公務労働者として集中してたたかう重要性を強調しました。
 決意表明では、「秋田では寒冷地手当削減をはねかえし、県下全域を支給地にさせることができた。この力で賃金削減となる地域給の導入を許さないたたかいをすすめる」(自治労連秋田県増田町職労・星野委員長)、「家計の収入は減り、負担は増えるばかり。その上サービス残業はあとをたたない。なんとしても生活改善を」(全建労・可知(かち)東海地本執行委員)、「大企業ばかりが大もうけ。公務員賃金の賃下げには怒りがいっぱい。地方の格差によって教育水準にも格差が生じたいへんな事態になる」(日高教・北野書記長)など、凍てつく寒さに負けず、つぎつぎと力のこもった発言がありました。

内閣府・行革推進事務局前               
郵政民営化・「市場化テスト」など公務の商品化を許さない

 内閣府前での要求行動では、公務労組連絡会の駒場副議長が主催あいさつし、「国も地方自治体も市場化テストをねらっている。事態はすすんでいるが、私たちの運動もがんばっている。公務サービスの商品化反対にむけてがんばろう」と訴えました。
 情勢報告では、黒田事務局次長が、ともに内閣府に事務局を置く経済財政諮問会議と規制改革・民間開放会議の動きを報告し、公務員賃金引き下げと公務の民営化をねらう動きと対決し、「郵政民営化反対キャラバン」や「4・20中央行動」への結集を呼びかけました。
 その後、3人の代表からたたかう決意がのべられました。「『労働は商品ではない』というテーマでビラやポスターを作り、国民世論の拡大に力を注いでいる。労働行政の民間開放に断固反対してたたかう」(国公労連全労働・富永中執)、「登記業務のコンピュータ化がすすんでいるが、最後は、人間の知識と経験が必要だ。市場化テストにより民営化されれば、料金も上がり、利用者負担が増す。そもそも民営化はなじまない」(特殊法人労連・杉浦幹事)、「給与・人事など事務を機械化して定員削減が強行された。一方で、業務を民間企業に丸投げし、7年間で35億円も使っている。府民の暮らしを豊かにする公務労働にするため奮闘する」(全教大教組・中谷さん)など、各職場でねらわれる民営化や定員削減など「公務リストラ」の実態が報告されました。
 このほか、行革推進事務局前で要求行動がとりくまれました。郵政民営化に反対するとともに、民主的公務員制度確立を求めた行動は、公務労組連絡会とともに、全労連の郵政民営化反対対策委員会および「公務員制度改革」闘争本部との共催でとりくまれたもので、全労連の國分副議長(郵政民営化反対対策委員長)が、主催者としてあいさつしました。
 また、情勢報告した公務労組連絡会の日巻幹事(郵産労書記次長)からは、郵政民営化に反対する国民世論のひろがり、地方議会での請願・意見書採択をはじめ、2月末に福岡を出発した郵政民営化反対キャラバンの模様などがのべられました。
 決意表明では、郵政民営化反対キャラバンの九州コースに参加してきた郵産労の皆内中執をはじめ、国公労連全法務の浅野副委員長、愛媛自治労連の後藤書記長が発言しました。

「給与構造の見直し」阻止など春闘山場へたたかう決意を固める

= 激励・連帯あいさつに「9条の会」の小森事務局長(東大教授) =

 4か所の要求行動の参加者は、日比谷公会堂に集まって、午後2時すぎから「諸要求実現・05春闘勝利・公務労働者総決起集会」を開催しました。
 公務労組連絡会の八巻幹事(全教)と、自治労連の池田中執の司会・進行ではじまった集会は、石元議長が主催者あいさつし、「『地域給』改悪など『給与構造の見直し』に反対して、仙台では1,000名の怒りの集会が、官民の共同によって開かれた。集会では、地元の業者からも運動に対する支持がのべられたが、こうした共同にこそ勝利の展望がある」とのべつつ、郵政民営化反対などたたかいへのさらなる結集を訴えました。
 激励に駆けつけた「9条の会」事務局長の小森陽一東京大学教授は、全国で講演会を開き、会場があふれる人たちを集めてきた「9条の会」の活動を報告し、「はじめは無視していた大手マスコミも、『9条の会』を取り上げざるをえなくなっている。国民が、一人の主権者として、みずからの運動で、憲法改悪をはね返そうと立ち上がりはじめている。そのことに確信を持とう」と、憲法改悪阻止にむけた決意をこめて激励の言葉をおくりました。
 若井事務局長の闘争報告では、前日にとりくんだ政府・人事院との交渉の模様が報告され、「政府回答には、使用者としての責任が感じられない。人事院も、民間動向だけに注目し、ベースアップを否定している」とのべ、3月下旬の最終回答引き出しにむけた職場からの奮闘とともに、郵政民営化など公務の市場化・民営化を許さないため、「4・20集会」の成功へいっそうのとりくみ強化を呼びかけました。
 その後、各単産代表からの決意表明がありました。「大阪市役所をめぐる問題は、労使のゆがんだ結果であり、マスコミの過剰な報道によって本来の権利まで剥奪されようとしている。本当に住民のためにはたらくために、いっそう住民との共同を広げる」(自治労連・松本書記長代行)、「全教・教組共闘は憲法・教育基本法改悪阻止に全力をあげるため、3月26日には1万人集会を開く。何としても集会を成功させて、大きな運動へと広げたい」(全教・石川副委員長)、「05春闘では、全労連の運動への結集を強めながら、ビラ、署名、宣伝などを通して、地域の共同をひろげる。これまでの運動の到達点を乗り越えるような運動を追求したい」(国公労連・小田川書記長)、「政府は、3億円も使って郵政民営化を宣伝している。だが、法案作業が遅れるなど、小泉内閣は確実に追いつめられている。キャラバン行動や署名運動を通した対話で世論拡大へがんばる」(郵産労・山崎委員長)、「政府は、国民の暮らしに役立つ特殊法人をつぶし、道路公団などの利権は温存しようとしている。シンポジウムを開催し、市場化テストのねらいを明らかにした。今後、ビラ宣伝などを通して国民的に明らかにする」(特殊法人労連・竹内事務局長)など、各単産の05春闘勝利にむけた決意が意気高くのべられました。

格差拡大の「給与構造の見直し」反対で地方代表が決意

 集会では、地方公務産別組織の代表5名が登壇し、地域間格差の拡大をねらう「給与構造の見直し」に反対してたたかう決意が「1分間発言」で、次々とのべられました。「震災カンパへの協力に感謝する。『地域給』導入阻止へ、県下49地方議会に請願・陳情した。さらに地域の団結をかためてがんばる」(新潟県公務共闘・伊藤事務局長)、「人事院近畿地方事務局とも交渉してきた。何としても人事院の見直しを阻止する決意だ」(近畿公務共闘・秋山国公近畿ブロック副議長)、「寒冷地手当に続く地域給の改悪に、岩手の住民は怒っている。官民をあげて、東北のすみずみの地域から奮闘する決意だ」(東北「地域給」阻止対策会議・佐藤岩手自治労連委員長)、「『給与構造の見直し』は、戦争をするための公務員づくりだ。被爆地広島は、戦争を断じて許さない。県内の全自治体を要請する」(広島公務共闘・川后(せんこう)事務局長)、「憲法25条で保障された生存権を守り、国民・住民の生活を守るため、『地域給』改悪に反対して九州はがんばる」(福岡公務共闘・仙道前事務局長)など、短い時間でしたが、怒りと決意が込められた発言が続きました。
 最後に、駒場副議長が閉会あいさつし、「朝から数えれば、5ラウンド、7ラウンドの行動に参加した仲間もいる。大雪のなかでの、まさに、歴史に残るような行動での仲間たちの奮闘にあらためて敬意を表し、感謝したい。個人消費のマイナスが景気を悪化させているもと、マスコミの社説も賃上げの必要性をのべている。まさに、要求と運動の正当性は私たちにある。そのことを確信にして、今後の奮闘への決意を固め合おう」とのべ、全員で団結ガンバロウを三唱し、集会の幕を閉じました。
 参加者は、すでに雪がやみ、薄日さえさす道路を国会まで元気よくデモ行進し、郵政民営化や教育基本法改悪反対、憲法改悪反対を力強く訴えました。

1万筆をこえる「給与構造の見直し」要求署名を提出

 これらの行動に先立って、午前中に地方代表による人事院への要請行動にとりくみました。要請行動には、各県・ブロックの地方公務産別代表8名が参加し、地域の実態を強く訴え、地方切り捨ての「給与構造の見直し」をやめることとあわせ、人事院地方事務局との交渉をふくめ、労働組合に十分に説明し、合意と納得のもとで作業をすすめることを訴えました。
 また、要請行動では、2月からとりくんできた「給与構造の見直し」にかかわる要求署名の第1次集約分約1万1千筆を人事院に提出しました。
以 上