No.454
2004年3月12日
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人勧尊重だけで使用者責任が果たせるのか!
= 04春闘要求の実現求めて総務省と中間交渉 =
 公務労組連絡会は12日、「平均12,000円以上」の賃上げなど04春闘要求にかかわって、総務省と交渉しました。
 4日の交渉に続いて2度目となったこの日の交渉では、あくまで「人事院勧告の尊重」を繰り返す総務省に対して、「連年の賃下げ勧告のもとで、従来どおりの基本姿勢だけで使用者としての責任がはたせるのか」ときびしく追及、18日に予定されている最終回答にむけて、さらなる検討を求めました。
ルール無視に目をむけず、かたくなな態度を続ける総務省
 総務省との交渉は、公務労組連絡会からは、石元議長、若井事務局長、黒田事務局次長、柴田(自治労連)、新堰(全教)各幹事と、国公労連から太田中執が参加、総務省は、人事・恩給局総務課の伊藤総括課長補佐、箕浦参事官補佐、山石課長補佐ほかが対応しました。
 はじめに、石元議長が、「前回の交渉では、人事院勧告制度の尊重との回答をうけて、使用者としての責任ある検討を強く求めた。その後の検討状況を聞かせてもらいたい」とただしました。
 総務省側は、「前回の交渉でうかがったみなさんからの意見は重く受けとめている。しかし、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を尊重し、国政全般との関連を考慮し、適切に対処するのが総務省としての基本姿勢だ。そうした検討をすすめるなかで、みなさんとは十分に意見交換したい」との回答を繰り返したことから、若井事務局長は、「それが使用者としての責任ある回答か?前回から何も前進していないではないか」ときびしく追及しました。
 総務省側は、「公務員賃金の決定にあたっては、国民の納得が必要だ。官民較差にもとづき勧告を出す現在の制度は、賃下げの状況下にあっても妥当と考えている。人事院という専門機関が、民間賃金の実態を調査し、官民の給与水準を比較して勧告を出している以上、総務省としては、それを尊重する基本姿勢は崩せない」などのべ、「勧告尊重」のみが合理性を持つかのような態度をとりつづけました。
 これに対して、交渉参加者は、「2年連続で不利益遡及という脱法行為を人事院が繰り返すことなどが、民間賃金へも影響を及ぼしている。民間でも地方自治体でも、交渉もなく賃下げが押しつけられるルール無視がまかり通っている。そうした状況を政府としてどう考えるのかが求められている」「自治体では、地方人事委員会の勧告すらかなぐり捨て、賃金カットが強行されており、実態として、人勧制度自体が破壊されている。そうした社会変化のなかで、総務省が、従来どおりの姿勢にとどまっていいていいのか?使用者として、憂慮すべき事態であるとの認識に立ち、人事院に対してものを言うべきだ」などと、ルールなき大企業の横暴により「賃金破壊」といわれる状況のもとで、公務労働者の生活を守るため、使用者たる政府がどのように対応していくのかをきびしくただしました。
「きわめて論理的な主張、心情的には理解する」と回答
 総務省側は、「前回の交渉からきびしい意見をいただいているが、民間もきびしいときだからこそ、まず、人事院勧告を尊重することが必要だ」などとのべたことから、「それでは、今年も公務員賃金はマイナスにするとの回答に等しい」と指摘すると、「マイナスになるかどうかは、民間調査をやってみなければわからない」などと、現実にも目をむけないきわめて無責任な対応を繰り返しました。
 若井事務局長は、「国民の納得性を否定するものではない。たとえば、民間では、集団的な賃金決定から、個別的労使関係へと移りつつある。そうして決まった賃金を、単純に『民間準拠』のもとで公務職場に持ち込んでいいのかとの考え方もできる。公務員賃金のあり方について検討を深めれば、人勧尊重にとどまらず、政府としての政策的判断が示されても当然だ」と迫ったことに対しては、総務省側も、「きわめて論理的でもっともな主張だ」と回答せざるを得ませんでした。
 さらに、交渉参加者は、「人事院は『地域給』の検討をすすめているが、地域経済をさらに疲弊させることに国民の納得性が得られるのか?寒冷地手当の見直しでは、地域の切り捨てに対して住民からも怒りの声があがっている。政府は、そうした実態を直視し、大所高所からものを言うべきだ」「公務員賃金は、社会的な規範性を持っている。賃下げの時代に、従来と同じ回答を示しても、職場でがんばっている公務労働者を激励する使用者としてのメッセージにはならない」とのべ、あくまで誠意のある対応を求めました。
 総務省側は、「心情的には理解できる。職員が安んじて働ける状況にしたいとの気持ちには変わらない。みなさんとは思いは同じだ」とのべました。
 こうした回答をうけて、最後に、石元議長は、「今日は、心情的に理解するとの回答をうけた。人事院勧告が与える影響の大きさへの理解も一致したのではないか。今日の交渉をふまえて、次回の交渉まで、使用者としての責任を果たせる回答をさらに検討していただきたい」と求め、総務省側から、「政府の基本姿勢が問われているとの指摘は重く受けとめる。最終回答にむけて、再度、検討させてもらいたい」との回答をうけて、交渉を閉じました。
以 上