政府は4月13日、国家公務員の定年を引き上げるための「国家公務員法等の一部を改正する法律案」を閣議決定することを予定している。昨年の通常国会で廃案以降、再三再四にわたるわれわれの要求に応え、国会提出に至ることは評価したい。しかしながら定年の引上げは、雇用と年金の接続を図るために措置しなければならない事項であり、この間の動きはあまりにも遅いと指摘せざるを得ない。
昨年廃案となった法案は、(1)現行の定年年齢60歳を2022年度から段階的に引き上げて、2030年度に65歳定年を完成させること。(2)60歳を持って管理職以外の役職に異動させる役職定年制を導入すること。(3)60歳に達した職員の給与を60歳に達した日の最初の4月1日以降、俸給を7割とすること。なお、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう2030年3月31日までに所要の措置を順次講じ、公布後速やかに評語区分など人事評価の検討を施行日までに行うこと。(4)60歳以降に定年前の退職を選択したものが不利とならないよう、当分の間、「定年」を理由とする退職と同様に退職手当を算定すること。(5)定年前再任用短時間勤務制度を導入すること。(6)検察官、防衛省の事務官等についても同様に定年を引き上げることであった。
今回提出される法案は、(1)2023年度から段階的に引上げ、2031年度に完成させること、(2)検察官、防衛省職員の事務官等についても同様に定年を引き上げるが、検察官については検事正の定年を63歳として特例延長は設けない点が変更されている。
昨年の国会審議において、大問題となった検察官の特例定年規定は削除されているが、依然としてわれわれの指摘した問題点は残っている。最大の問題は、60歳に達した日以後の最初の4月1日以降、同じ職務を続けていても給与水準が7割に引き下げられることである。年齢のみを持って給与水準が引き下げられるようなことは断じて認められず、厳しく抗議する。
加えて、役職定年によって降格した職員の処遇をめぐり、現場で混乱が生じる懸念が強いことがある。2031年度まで60歳以降の働き方には、定年延長者、特例定年による定年延長者、再任用短時間勤務者、暫定フルタイム再任用勤務者、暫定短時間再任用者が混在するため、現場の混乱を回避する特段の対応が必要と考える。
定員の問題も解決していない。定年延長で定年退職者が発生しない年度が隔年で生じるが、その年は新規採用者が行えないこととなる。行政運営上、継続的な採用を行うことが必要であり、新卒の公務志望者が応募の機会を与えられない事態を生じさせないことも必要だ。
公務労組連絡会は、公務労働者の生活改善、公務・公共サービス・教育の拡充をめざし、憲法改悪反対、防災・感染症対策の強化など国民的な課題と結びつけ、諸要求の前進めざして全国の仲間とともに全力で奮闘する。