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公務員賃下げ法案の閣議決定に抗議し、ただちに撤回を求める(声明)


2011年 6月 3日
全労連公務部会幹事会

1、菅内閣は本日、労働組合の反対を押し切って、国家公務員一般職の月給・ボーナスを最大で10%引き下げる「臨時特例法案」の閣議決定を強行した。

 東日本大震災では、災害発生の直後から、被災した住民への救援、被災地の復旧活動に昼夜を分かたず奮闘する公務労働者の姿が見られた。現在も、被災地の住民の生活や雇用を守るために、全国から派遣されて懸命の奮闘を続ける公務労働者の努力に背をむけ、生活悪化と働きがいの喪失を招く公務員賃金の引き下げの暴挙に対して、満身の怒りを込めて抗議し、閣議決定の即時撤回を求めるものである。

2、国家公務員の賃金動向は、地方公務員や教職員に波及する危険性が大きく、実際に、自治体職員の賃下げに言及する首長もすでに出てきている。それにとどまらず、民間労働者の賃金への影響も避けられない。そのことが、個人消費を冷え込ませ、景気のさらなる悪化を招くこととなり、税収減によって財政悪化を加速させることも明らかである。

 また、政府は昨日、「社会保障改革案」として消費税を段階的に10%まで引き上げる方針を打ち出したが、公務員賃金の引き下げも、こうした新たな負担を国民に押しつけるための「露払い」にほかならない。  貧困が深刻化するもと、労働者・国民の生活改善、景気と雇用の改善という切実な願いに逆行する公務員賃金の引き下げは、国民要求ともかかわって断じて認めることはできない。

3、そもそも、人事院勧告にもとづかない賃下げは、労働基本権保障をさだめた憲法28条に違反する。政府は、憲法違反を取り繕うために、東日本大震災の復興財源確保を口実にしながら、「臨時・異例の措置」「自律的労使関係制度の先取り」などと弁明してきた。

 しかし、「先取り」とされた協約締結権回復などを内容とする自律的労使関係制度は、賃下げ法案と同時に法案が提出されたに過ぎず、現行法制下においては、政府による一方的な賃下げは、明確に公務労働者の労働基本権を踏みにじる憲法違反以外の何ものでもなく、どのような理由をもってしても、正当化できるものではない。

4、全労連公務部会は、すべての労働者の賃金や国民生活と関連する公務員の賃下げ攻撃の本質を明らかにするため、職場や地域からの宣伝や要請などに取り組んできた。

 そのことが、この間のマスコミ論調の変化のあらわれや、これまでになく数多く届いた公務労働組合への激励の声に象徴されるように、道理ある主張は、国民の間にも共感をひろげてきている。閣議決定は強行されたが、運動の到達点を確信にして、賃下げ法案の廃案を勝ち取るため引き続くたたかいに全力をあげる決意である。

以 上