(談話)定年引き上げ法案の審議先送りにあたって


定年引き上げ法案の審議先送りにあたって(談話)


2020年5月21日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 秋山 正臣

1.政府は5月18日、国家公務員の定年を引き上げるための「国家公務員法等の一部を改正する法律案」をはじめとする関係法案の今国会成立を断念した。そもそもの問題は、三権分立を破壊する内容を含んだ検察庁法改正法案と一般職などの定年引上げに関する審議を一括して行ったことにある。検察庁法案は、1千万を超えるTweetで反対の声が上げられたほか、日弁連や元検察幹部などからも手厳しい批判を受けた。内閣による検察幹部の勤務延長は、準司法官である検察官の人事を掌握することによる検察支配につながるものであり、三権分立の根幹を揺るがす大問題である。先送りではなく、現行法案は直ちに廃案とし、一般職国家公務員と同じく定年の引上げだけに修正し、給与法の改正の時と同じく、それぞれの委員会で審議すべきである。

2.一方、国家公務員の定年の引上げは、雇用と年金の接続を図るために措置しなければならない事項である。一括法案として今国会での成立を見送ったことは、看過できない。速やかな措置を求めてきた切実な現場組合員の声とわれわれの要求を先送りにしたものであり、強く抗議する。

3、われわれは、手放しで国家公務員の定年引き上げ法案に賛成しているわけではない。法案には、(1)定年年齢を2022年度から段階的に引き上げて、2030年度に完成させること、(2)管理職以外の役職に異動させる役職定年制を導入すること、(3)60歳に達した職員の給与を7割程度に引き下げること、など多くの問題点を含んでいる。とりわけ役職定年制は、恣意的な人事につながるものである。また、同じ仕事を続けても給与水準を引き下げることが含まれており、役職定年制とともに容認できることではない。一方、法案の見送りに関し、閣僚の中から新型コロナウイルスの感染拡大による経済縮小を理由として、現時点で国家公務員の定年引き上げを行うべきではないとの発言がなされた。雇用と年金の接続を図る政府責任を放棄するような発言であり、看過できない。

4、さらに、繰り返し指摘しなければならないことは定員の問題である。新型コロナウイルスの感染拡大により、脆弱な行政体制が露呈した。こうした行政体制を作り上げてきた歴代政権の責任こそ追及されなければならない。すべての公務職場で長時間過密労働が蔓延しており、健康を保って定年まで勤めることは至難の技とさえいわれている。こうした状況を転換し、国民に対する行政サービスが「迅速」「公平」「公正」に提供されるよう定員削減計画を中止し、総人件費抑制方針を撤回して大幅増員を行うことを求める。

 公務労組連絡会は、公務労働者の生活改善、公務・公共サービス・教育の拡充をめざし、憲法改悪反対、防災、感染症対策の強化など国民的な課題と結びつけ、諸要求前進めざし、全国の仲間とともに全力で奮闘する。

以 上