その他の声明・談話


〜「小さな政府」で国民に「大きな負担」を強いる総人件費削減は許さない〜

「総人件費改革基本指針」の決定に抗議する(談話)


2005年11月15日
公務労組連絡会
事務局長 若井雅明

1、経済財政諮問会議は14日、「総人件費改革基本指針」(以下、基本指針)を決定した。「基本指針」は、国・地方の公務員、特殊法人、独立行政法人をふくめた公的部門の定員・給与の両面からの総人件費削減を打ち出している。

  「小さな政府」を掲げ、憲法・教育基本法の改悪を企図しながら、小泉「構造改革」の軸として、公務サービスの切り捨て、公務員の大幅削減をねらう「基本指針」決定に対して断固抗議するものである。

2、「基本指針」は、今後5年間で国家公務員定員の5%以上の純減をすすめ、地方公務員についても、「新地方行革指針」に示された4.6%以上の定員純減のさらなる上積みを求めている。そのため、「市場化テスト」の導入、公立大学の法人化、教職員の純減、独立行政法人職員の非公務員化など、ありとあらゆる「リストラ策」を盛り込んだ。

 しかし、人口千人あたりで比較すれば、日本の公務員は、フランスやアメリカ、イギリスなど欧米諸国と比べて半分にも満たず、決して多くはない。住民生活としっかりと結びついた公務員の削減は、結局は、公共サービスの切り捨てによって、国民には「大きな負担」となって返ってくるものにほかならず、断じて認められるものではない。

3、こうした「基本指針」の策定が、財界主導ですすめられてきたことも重大である。今年2月に「公務員の総人件費の削減に向けて」とする文書が民間議員4人から出され、その後も、民間議員主導のもとで議論されたあげく、4議員の提案による「基本指針(案)」が、ほぼそのまま経済財政諮問会議の総意として決定されている。

 その過程では、本来、公務に求められる公共性や公務員の果たす役割、労働基本権制約のなかでの公務員労働者の労働条件決定のあり方などの重要な観点が忘れ去られ、「対GDP比で半減」などといった「数合わせ」の乱暴な議論がすすめられてきた。国民や労働組合の意見反映の場もなく、財界の要望に全面的に応えて政策決定がはかられた点にこそ、「基本指針」の反国民性を指摘できる。

4、同日の会議では、「総人件費改革」とあわせて、「政策金融改革」や医療費抑制などを内容とした「医療制度改革」など、国民のいのちを削る「改革」が議論された。  これらの議論を通しても、政府がめざす「小さな政府」とは、定率減税の廃止、消費税増税、社会保障制度改悪、さらには、憲法・教育基本法の改悪を通して、「国と地方のかたち」そのものを変え、行政・教育を反動的に再編していくねらいを持つことは明らかである。弱者切り捨て、格差拡大の社会へと歪める「改革」に断固反対する。

 公務労組連絡会は、「基本指針」にもとづく公務員総人件費削減、公務・公共サービスの営利企業化・商品化を許さず、国民との共同をひろげてたたかう決意である。

以 上