(談話)給与法の成立にあたって


一般職の国家公務員給与法の成立にあたって(談話)


2022年11月11日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 香月 直之

1.第210回臨時国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で賛成多数によって可決・成立した。

 法案の内容は、2022年人事院勧告にもとづいて、高卒初任給を4,000円引き上げるなど若手職員のみ本俸改善、一時金の0.10月引き上げるものであった。3年ぶりの改善勧告となったが、急激な物価高騰下における生活改善にはほど遠いものであり、実質賃金の目減りは著しく、政府によってすべての職員の賃金を引き上げる努力をするべきことを指摘しなければならない。

2.高卒初任給は月額で4,000円の引き上げとされたが、時間単価に換算すると921円であり、先般改訂された最低賃金額の加重平均額961円を下回る。また、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、広島の12都府県で地域手当の支給されない市町村に勤務する高卒公務員労働者は、最低賃金を下回る額で働いていることになる。

 政府・人事院は、公務員労働者が最低賃金法の適用除外であることから問題はないとしているが、とうてい認められない。政府は直ちに初任給が最低賃金を下回ることがないよう特別の措置を行うべきである。

3.非正規職員については、正規職員の改定にあわせ見直しを行うこととされているが、更なる均等待遇を追求しなければならない、一方、再任用職員は勤勉手当の0.05月分増を除いて何の改善も行われなかった。政府は「同一労働同一賃金の徹底」を「骨太の方針2022」にも掲げ、非正規労働者の処遇改善への取り組みを強調している。しかし再任用職員の月例給・一時金の低すぎる水準は放置されたままであり、まさに言行不一致の極みである。来年度から始まる定年延長においても俸給月額は3割削減される。年金支給開始年齢まで誰もが安心して働き続けられるよう、不合理な格差の是正が早急に求められている。

4.23人勧に影響を及ぼす2023国民春闘のたたかいは、すでに始まっている。政府・人事院は「給与制度のアップデート」や「柔軟な働き方の推進」などと称して、公務労働者の賃下げや長時間労働のさらなる押しつけ、非正規職員の拡大などを狙っている。しかし、いま求められているのは、すべての公務員労働者が誇りを持って働き続けられる賃金・労働条件の確立であり、あらゆる格差の解消である。

 公務労組連絡会は、民間労働者との共同の取り組みを強め、すべての公務及び関連する労働者の生活改善、公務公共サービス・教育の拡充、そして労働基本権の回復をめざし、全力で奮闘する決意である。

以 上