一般職の国家公務員給与法の成立にあたって(談話)

2019年11月15日
公務労組連絡会幹事会
事務局長 秋山 正臣

1、第200回臨時国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で賛成多数によって可決・成立した。

 法案の内容は、2019年人事院勧告にもとづいて、高卒初任給を2,000円引き上げるなど若手職員のみ本俸改善、一時金の0.05月引き上げ、住居手当の基礎控除額を4,000円引き上げ、最高支給限度額を1,000円引き上げるものであった。

 6年連続での改善勧告とはいえ、生活改善にはほど遠いものであり、10月から行われた消費税増税によって実質賃金の目減りは著しいことを指摘しなければならない。

2、高卒初任給は月額で2,000円の引き上げとされたが、時間単価に換算すると897円であり、先般改訂された最低賃金額の加重平均額901円を下回る。また、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の8都府県で地域手当の支給されない市町村に勤務する高卒公務員労働者は、最低賃金を下回る額で働いていることになる。

 政府・人事院は、公務員労働者が最低賃金法の適用除外であることから問題はないとしているが、到底認められない。政府として、直ちに初任給が最低賃金を下回ることがないよう特別の措置を行うべきである。

3、非正規職員については、正規職員の改訂にあわせ見直しを行うこととされているが、再任用職員は何らの改善が行われない。政府が進める「働き方改革」により、2020年4月から「同一労働同一賃金」原則が施行される。そのため、正規と非正規の賃金は均等待遇が原則とされるが、非正規職員である再任用職員は何らの措置もされないまま放置されている。

 現在働いている再任用職員の大部分は、年金が支給されておらず、退職金を取り崩して生活しなければならないのが実態であり、定年引き上げによる労働条件改善が必要だ。

4、公務職場では、正規と非正規、再任用職員といった雇用形態による格差だけでなく、勤務する地域による大きな格差も存在している。東京都特別区で働く職員と地域手当が支給されない地域で働く職員では、20%もの賃金格差が存在している。定年まで勤務地域が変わらなければ、年金支給も含めてその格差が生涯にわたってつきまとう。地域による格差としてあまりにも不合理であり、地域間格差の是正を図らなければならない。

 公務労組連絡会は、公務労働者の生活改善、公務・公共サービス・教育の拡充をめざし、憲法改悪反対、防災など国民的な課題と結びつけ、来春闘で大幅賃上げなど諸要求前進めざし全力で奮闘する決意である。

以 上