2013年国家公務員給与法等の成立にあたって(談話)
2013年6月17日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司
1、第183回通常国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で、共産・社民をのぞく各党の賛成多数で可決・成立した。
12年人事院勧告にもとづく給与法は、55歳を超える職員の昇給を事実上停止することを内容としており、能力・実績主義にもとづく人事評価制度とも矛盾し、年齢による賃金差別に他ならない。
何よりも、連年にわたって賃金削減・抑制が繰り返される高齢者の生活をさらに悪化させるばかりか、公務労働者の働きがいを失わせる点で断じて認められるものではない。
2、55歳を超える賃金抑制について人事院は、官民の給与格差が相当程度存在することを理由にあげてきた。しかし、中高年齢層では関連企業への出向・転籍がおこなわれる民間企業と、長期雇用を基本とした公務の昇進・人事管理上の特性の違いを考慮しないものであり、単純な官民比較は、総人件費削減を目的とした高齢層への賃金抑制の口実に過ぎない。
また、民主党政権では、「世代間の給与配分の適正化や雇用と年金の接続の観点から幅広く検討」したうえ、「給与減額支給措置期間が終了する平成26年4月から実施する」するとして、実施が見送られた12年人事院勧告を、政権交代したとたんに一転して勧告実施を決定したことは、公務員攻撃を通して国民犠牲をねらう自公政権の姿勢をいっそう明らかにしている。
3、国家公務員への「賃下げ法」が強行されて1年以上が経過し、自公政権は、地方自治体にも国家公務員との同様の賃下げを押しつけ、地方交付税削減が強行されるなかで、多くの自治体で賃金削減に踏み切らざるをえない状況となっている。
そのことは、賃金改善によってデフレ脱却をめざす政府の経済対策とも逆行し、そのうえ、新藤総務大臣は、国会審議のなかで、「賃下げ法」が終了したもとでも、財政再建や経済成長などを総合的にふまえて、新たな賃金削減の可能性にも言及したことは、公務員賃金削減を消費税増税の突破口に位置づける点で国民的にも許されない。
労働基本権を幾重にも踏みにじって強行した「賃下げ法」をただちに廃止するとともに、公務労働者の労働基本権をただちに回復するよう求めるものである。
4、最近の株価の乱高下を通して、「投機とバブル」によるアベノミクスのほころびがすでに見えはじめている。一方で、自民・公明・民主など「オール与党」による生活保護法の改悪をはじめ、解雇自由化など労働法制の改悪など、労働者・国民へのいっそうの負担を強めようとしている。過日閣議決定された「骨太の方針」も、大企業奉仕と国民犠牲が貫かれている。そして、これらと一体で、憲法改悪がねらわれている。
公務労組連絡会は、自公政権の悪政と対決しつつ、公務労働者の生活改善、公務・公共サービス拡充をめざし、消費税増税中止、社会保障制度改悪反対など国民的な課題とあわせてたたかう。そのため、参議院選挙・都議会議員選挙など重要な政治戦をひかえるもと、当面する夏季闘争を全力でたたかう決意である。(以上)