2010年国家公務員給与法等の成立にあたって(談話)

2010年11月26日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司


1、第176回臨時国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議で、与党と公明・社民の各党の賛成多数により可決・成立した。同時に審議されていた非常勤職員にかかわる育児休業法の改正法案も全会一致で可決された。
 昨年に引き続く月例給・一時金の引き下げで年収で9万6千円が減額され、2年間の累積では25円もの年収減額となり、公務労働者の生活悪化は避けられない。さらに、この賃下げが民間賃金にも否定的な影響を与え、景気の悪化を招くことからもきわめて重大である。

2、今回の給与法は、2年連続の公務員給与引き下げにとどまらず、55歳を超える職員に対する一律の給与減額という勧告制度はじまって以来の年齢による賃下げが盛り込まれていた。行(一)6級相当職以上に限定したとは言え、年齢による賃金差別にほかならず、定年延長も念頭にした今後の高齢者層の賃下げにも道を開く重大な問題をもっていた。
 その点からも、法案の十分な審議が求められていたが、政府・与党は、補正予算案の審議を最優先しながら、給与法案は、衆参あわせてわずか5時間程度で審議を打ち切り、採決が強行されたことはきわめて不満である。

3、さらに、給与法案の審議では、自民党やみんなの党などがいっそうの公務員総人件費削減をせまるなか、政府は、公務員給与をさらに引き下げる「給与法案」を次期通常国会に提出することを明言するなど、公務員給与引き下げを競い合ったことは看過できない問題である。
 労働基本権が制約されたまま、その「代償措置」である人事院勧告制度をふみにじり、政府が「給与法案」を国会提出すれば、明確に憲法に違反することとなる。政府は、協約締結権回復にむけた法案を次期通常国会に提出するとしているが、現時点では、その制度の骨格さえも明らかにされていない。公務労組連絡会は、なし崩し的にすすめられる賃下げ攻撃に対決して、組織の総力をあげてたたかう決意である。

4、12月3日が閉会日となる今臨時国会では、与野党間の鋭い対立のもとで、かろうじて10年度補正予算が成立したものの、先の通常国会から継続審議となっていた労働者派遣法「改正」法案や郵政改革法案、地域主権改革関連法案など、労働者・国民の暮らしや雇用にかかわる法案はいっさい審議されることもなく、来年の通常国会に先送りされた。
 外交問題への対応、国会軽視発言による閣僚の辞任、政治とカネをめぐる対応への批判が高まり、菅政権の内閣支持率は2割台まで低下ししている。
 公務労組連絡会は、賃下げの給与法施行が強行されるもとで、労働基本権の全面回復、正規・非正規を問わずすべての公務労働者の生活改善、公務・公共サービスの拡充にむけて、共同をひろげてたたかう決意を新たにするものである。(以上)