2009年国家公務員給与法等の成立にあたって(談話)

2009年11月30日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司


1、第173回通常国会で審議されていた一般職国家公務員の給与法案は、本日開かれた参議院本会議において、共産党を除く与野党の賛成多数により可決・成立した。同時に審議されていた国家公務員の育児休業法の改正法案も全会一致で可決された。
 月例給・一時金ともに今年4月にさかのぼって引き下げる給与法は、即日公布され、12月の一時金での「減額調整」が強行されることとなる。過去最大規模となる15万4千円もの年収減によって、公務労働者の生活悪化とともに、地域経済をいっそう冷え込ませることは避けられず、きわめて重大である。

2、公務労組連絡会は、政権交代のもとで、自公政権による勧告実施の閣議決定は撤回し、景気への悪影響もふまえた慎重な判断を鳩山新政権に求めてきた。
 国会審議でも、公務員給与削減が民間の賃下げを招き、デフレ不況をさらに悪化させることや、公務員総人件費削減の「構造改革」路線のもとで、労働基本権制約の「代償措置」としての人事院勧告制度が、政治的な圧力によってゆがめられてきた問題が指摘された。
 これに対して、原口総務大臣が、「検証の必要性」を答弁しながらも、「勧告制度の尊重」とする従来の政府の立場を繰り返し、公務員の大幅賃下げを正当化したことは認められるものではない。

3、一方、「技術的助言」などと称して、地方自治体に「国準拠」の賃下げや自宅に係る住居手当廃止をせまる総務省の不当な介入・圧力にかかわって、原口大臣が「撤回・廃止する」と答弁したこと、さらに、労働基本権をめぐって、消防職員の団結権回復をはじめ、公務員の争議権をふくむ労働三権の回復へ前向きな見解が表明されたことは、度重なるILO勧告やわれわれの要求に応える点で評価できるものである。
 とりわけ、労働基本権にかかわっては、現在、検討がすすむ協約締結権の速やかな回復はもとより、憲法原理とILOが示す国際労働基準にもとづいて、「公務員制度改革」の重要課題に位置づけ、具体的な検討を求めるものである。

4、今臨時国会では、連立与党が中小企業金融円滑化法案を強行採決したことにより、国会審議の混乱を招き、給与法案も、自民党・公明党などが審議拒否するなかにあって、衆議院でのスピード審議、採決強行がねらわれた。
 前政権の常套手段ともなっていた強行採決は、反対意見を封じ、議会制民主主義をふみにじる点で断じて認められるものではなく、「数の力」をかりた暴挙にあらためて抗議する。
 公務労組連絡会は、賃下げの給与法施行が強行されるもとで、労働基本権の全面回復、正規・非正規を問わずすべての公務労働者の生活改善、公務・公共サービスの拡充にむけて、共同をひろげてたたかう決意を新たにするものである。