2006年国家公務員給与法の成立にあたって(談話)
2006年11月10日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 黒田 健司
1、本日午前の参議院本会議で、扶養手当の改善、広域異動手当の新設、特別調整額の定額化などを内容とした国家公務員の一般職に関わる給与法が可決・成立した。
年収ベースで初のマイナスとなった99年以降、連年にわたって公務員給与の引き下げが強行され、今年も公務員総人件費削減方針のもと、「官民比較方法の見直し」による賃下げがねらわれたが、官民共同のたたかいがこれを押し返すなかで、給与法案も8年ぶりの全会一致での採択となった。
2、しかし、成立した給与法は、その内容・手順の両面から、数々の不当性をあらためて指摘しなければならない。
何よりも第一に、本来、中立機関であるべき人事院が、総人件費削減をせまる政府方針に追随し、官民比較方法の「見直し」と称して比較対象企業規模を引き下げ、意図的な「ベアゼロ勧告」をつくり出したことである。さらには、この「見直し」にすべての公務員労働組合、ナショナルセンターが一致して反対していたにもかかわらず、労働組合との納得と合意もないままに人事院・政府が強行したことである。あわせて、国と同様に比較規模を引き下げるよう、政府が自治体や地方人事委員会に異常な圧力をかけつづけてきたことも、断じて認められるものではない。
しかしながら、労働基本権制約の「代償措置」たる勧告制度の根幹にもかかわる問題への深い議論もなく、給与法は、衆参あわせてもわずか5時間程度の審議で成立に至った。
3、国会審議では、大企業と中小・零細企業との賃金格差、地域間の賃金や経済格差などへも議論がおよんだ。「構造改革」の進行で、「ワーキングプア」が社会問題化するもとで、格差是正を求める声が高まっているが、それを逆手にとるように、「官民の格差解消」などとしていっそうの公務員賃金切り下げを求める主張も現れている。
こうしたもと、弱肉強食の「構造改革」を断ち切り、正規労働者と非正規労働者、大都市と地方などあらゆる格差を真に是正することが求められている。公務労組連絡会は、来るべき07春闘では、公務・民間の力を合わせて格差と貧困の解消に全力をあげるものである。
4、閉会まで約1か月余りとなった臨時国会では、教育基本法改悪法案の衆議院での採決がねらわれる緊迫した局面をむかえている。憲法改悪阻止とともに、「戦争をする国」に変える教育基本法改悪法案を廃案にするため、公務労働者の力を集中してたたかいぬく。
さらに、5都府県10政令指定都市で「マイナス勧告」が強行されるもとで、地域経済にも影響する地方公務員・教員の賃金改善をめざしてたたかうものである。
公務労組連絡会は、悪法阻止とみずからの要求実現を固く結合させ、国民的な共同をひろげるために引き続き奮闘する決意である。(以上)