2005年国家公務員給与法・退職手当法の成立にあたって(談話)

2005年10月28日
公 務 労 組 連 絡 会
事務局長 若井 雅明

1、国家公務員一般職の給与法および退職手当法は、本日午前の参議院本会議で共産・社民をのぞく各党の賛成多数により可決・成立した。
 「不利益不遡及」の原則を踏みにじる賃下げとあわせ、全国的な俸給表水準の4.8%引き下げや勤務実績の反映強化を柱とした「給与構造の見直し」を盛り込んだ法案は多くの問題点を持っていた。地域給与の「見直し」は、賃金の地域間格差拡大を招き、地場賃金にも波及し、地域経済や住民の暮らしへの悪影響は避けがたい。こうした視点からの議論は不十分なまま、衆参あわせてわずか約5時間の審議で成立をはかったことは重大である。

2、いま、地方切り捨ての「三位一体の改革」によって地方財政の悪化がすすみ、過半数の地方自治体で、総額1,450億円もの独自の給与削減措置がとられている。これに加えた「給与構造の見直し」で、公務員労働者の生活をさらに悪化させることは必至である。
 こうしたもと、地方自治法を一方的に「改正」して調整手当を廃止し、自治体に対して「国準拠」の「見直し」を求めるなど、政府が干渉・介入を強めるなかにあっても、宮城県や政令市の人事委員会勧告では、今回の「給与構造の見直し」を見送っている。
 これらは、「国準拠」での「見直し」が、地方ほど矛盾が深まらざるをえないことを示しており、これからヤマ場をむかえる地方での賃金確定闘争で、「給与構造の見直し」を導入させないたたかいが重要となっている。

3、今回の給与法案は、総選挙後の特別国会に提出され、「小さな政府」論にもとづく公務員総人件費削減が声高に叫ばれるなかでの審議となった。国・地方あわせて5年間で6800億円の人件費を削減する「給与構造の見直し」こそ、国民犠牲の「構造改革」に沿ったものであるが、他方では、経済財政諮問会議で大胆な公務員の純減が議論され、自民党も、「10年間20%純減」の基本方針を決定している。
 しかし、総務委員会の審議では、麻生総務大臣みずからが、日本の公務員数が欧米の先進国と比較しても極端に少ないと強調し、削減数だけを競い合う乱暴な「改革」議論に政府の一員として異論を唱えている。言うまでもなく、公務・公共サービスのあり方、「全体の奉仕者」としての公務員が果たす役割など深い議論が求められており、「小さな政府」によって国民生活を切り捨てる公務員総人件費削減に断固反対してたたかうものである。

4、開会中の特別国会では、郵政民営化関連法とともに、先の通常国会で廃案となった「障害者自立支援法」の成立がねらわれている。「支援」どころか、障害者の自立を阻害する悪法に反対する。また、政府税調は、定率減税全廃によるサラリーマン増税、消費税の二桁への増税を表明し、労働者・国民にさらなる負担を強制している。このような、弱者切り捨て、格差拡大の社会をつくる「構造改革」は、断じて認められない。
 公務労組連絡会は、引き続き、公共サービス破壊と総人件費削減をねらう「構造改革」と正面から対決し、国民犠牲の悪政阻止にむけて国民的なたたかいを前進させるため奮闘する決意である。(以上)